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結構良くなりますよ BPF

 BPF(ビッグピストンフロントフォーク )を肯定する布教活動をしている新保です。

 私自身もBPFについては致命的な問題を抱える、出来損ないのフロントフォーク(とまでは言ってませんが)くらいの事を書いてきました。

 しかし、今年BPFを改造する中で、方法次第でかなり良くなると体感できました。私が考えるBPFの致命的な問題とは圧(縮)の減衰調整方法にあります。ニードルによる隙間を変化させる手法は、基本特性を平行移動させるような感覚です。しかもダイアルを締めればオイルロックのポイントは漸進性を得られます。
 ですがBPFの圧減衰調整はシム(円盤状の板)にスプリングでプレッシャーをかける方法です。これはターボのブローオフと同様で、減衰特性の屈折点を(ブローオフのポイントを移す)だけのような感じです。これがどうにも気に入らないと常日頃から感じていました。そう思ってはいましたが現実に触り始めると、それ以上に問題だったのは単に減衰特性(シムの組かた)が良くないだけでした。これを組み替えるとあら不思議、とても素直な動きに早変わり。前述した調整方式の問題点は変わりませんが、基本特性を作り込み、そこに少しの調整としてコンプレッションアジャスタをいじるなら、なんら問題を感じませんでした。

 サーキットでとことん追求するなら話は別かもしれません。でも街乗りではそこまで細部を詰める必要にかられませんし、大枠でセットがハマっていれば大抵は満足できます。そう言った意味ではフルアジャスタブルのBPFに価値を見出せます。

 写真のCB1000Rは数度の組み換えにより、とても楽しいと思える特性を得られました。

 

 一方、リアのオーリンズは昨日の組み直しにより、だいぶ変化しました。過減衰の圧を抜き、伸び減衰はほんの少しですがいじりました。ガスの封入圧力も下げ、全体としてリアを入りやすくしてあります。
 昨日の試乗でイニシャルの増減よりも、コンプレッションアジャスタ2段の方が車高に物凄く影響し、それは私をとても驚かせました。スプリングと減衰は密接に絡み合い、スプリングが決まらなければ減衰を詰めて行く事は叶いません。このCBは予算を潤沢に用意してもらえたおかげで、私の知的好奇心は大きく満たされました。前回の伝票を確認し、今回の請求書と併せると55万円もかかっています。

 私は常々「50万あればとても楽しいサスペンションが出来上がる」と公言してきました。まさしく自分の言葉を立証するかのように、そのようになりました。これ以上を目指すならば、フロントはオーリンズのFKRシリーズのようなレース用のスプリング加圧カートリッジが必要です。二ヶ月前に作業したRG500ガンマのフロントに収めましたが、10メートル乗っただけでその動きを素晴らしいと感じました。
 そのFKRとリアダンパーを新品で用意し、車体へ組み混むと100万円は優にかかります。ですが、次に私の目指す世界はここであると確信しています。その世界を標準にして、お客様のバイク・車へその乗り味のエキスを注入できたならば、それはもう悦楽といえます。

 

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シリンダーが仕上がりました。

 本日、シリンダーが内径の仕上げを終え、手元に戻ってきました。

 シリンダー製作は色々と課題が多く、これまで作るのを躊躇しましたが、加工業者さんが大きな機械を入れたり研磨屋さんが頑張ってくれたりと、周りの環境が整った事もあり可能になりました。

 写真のシリンダーは四輪のクアンタム用なので、長い上にインチネジとミリネジが混在し、非常に複雑です。そのため価格は一本6〜8万円と少々高くなりました。

 内径の仕上げはとても滑らかで、一流メーカーのアルマイト仕上げと同等の滑りを感じます。高級ヴァージョンとして、ステンレスに表面処理を行う仕様も考えています。技術的に可能であれば、焼入れしてから内筒研磨を行いその上にコーティングを施せば、磨耗しないのではないかと思えるほど長持ちしそうです。

 これまでにシリンダーヘッド、ピストン、ロッド、シールヘッド、エンドアイ、ロッドのベースそして今回のシリンダーとリアショックを作るための部品は全て製作可能になりました。

 この長さのシリンダーが作れると言うことは、フロントフォークのアウターチューブも作れると言うことです。近いうちに一本くらいは完全自社製のダンパーを作ってみたいと考えています。

 

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BMW R1100S、セッティングについて

 YouTubeのセッティング動画の続きをどのようにしようかと考えていましたが、本日BMWのR1100Sを試乗セッティングした事により、良い解決案が生まれました。

 この度依頼があったR1100Sは前後にFGが使われており、O/Hとセッティングを同時に進めました。内部のシム組やスプリングを確認しながら、気になる部分は変更を加えました。キャンペーン期間中という事もあり、リアの減衰特性は割と大胆に使用変更を施してあります。
 それ以外は前後とも丁寧に組み直し、ガス圧を見直す事でふんわりと動くサスペンションを目指しました。

 お客様は休日の関係で26日までしか猶予がなく、小雨が降る中での試乗となりましたが、楽しく走れました。元来私は雨の中で走るのを怖いと感じません。濡れるとか事故の確率が上がる意味では面倒とは思いますが、接地感が希薄などの理由で雨天走行を遠ざけません。
 お客様から雨天走行の了承をいただき、早速走り出しました。

 走り出してすぐ、フロントの高さを感じました。高いとどのような感触なるかと言えば、フロントタイアが外へ逃げてゆく感じです。それを厳密に表現すると、ハンドルが切れているのにキャスターが寝ているせいで実舵角が減り、曲がらないのです。
 Ninja900のように設計段階でキャスターが寝ていれば、リアとの調律は保たれ、曲がらないが不快感は感じないこともあります。しかし、サスペンションやスプリングを交換して、もともと良い設定だった車が変化すると、非常に不愉快な感触を得ます。

 反対にフロントが低い(リアが高い)と内向性が高まり、不必要にフロントがインへと入って行きます。これは実舵角が大きくなり起こる現象です。つまり私は車高の高さをハンドルの切れ込む量、舵角で判断しています。

 車高に関しては絶対値と相対値がありますので、以前のブログを読むか、また改めてブログか動画で解説いたします。

 話が長いのは私の欠点なので今日は短めに、ここで終わらせますが、セッティングにおいて私が重要視しているのは、つまりは車高です。その車高は加速、減速、停止、旋回と各々の場面により最適な姿勢があり、その場に合わせた車高(姿勢)を作り出すのがセッティングだと定義しています。

 

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温故知新BPF

 温故知新と言うには新しすぎるきらいもありますが、BPFを仕様変更しています。

 BPFはビッグピストンフロントフォークの略です。何がビッグピストンなのかと言えば、旧来の20mmや25mmのピストンではなく40mm近い大径ピストンがその名前の由来となっています。

 ピストンが大きのは良いのですが、ダイアル調整に関わる部分やシムの組み方が、メーカー自身も理解し切れていなかったのではないかと、私はそのように感じています。問題点が多く十年も経たずにSHOWAはSFFと呼ばれる新機構に移ってゆきました。

 しかしフルアジャスタブルを名乗るには、片側にスプリング調整、反対に減衰調整を設ければよく、しかもトップキャップ に全てが集約し、アクスルブラケット部分の作りが簡素になるBPFは費用面でかなり優位なのではないかと推測します。そのため、近年のネイキッドや600ccクラスのフロントにはCB1000Rと同様の片方減衰調整、片方スプリング調整のBPFが重宝されているようです。

 今年はCB1000RとZX-10RでBPFを何度も触るうちに、その問題点と改良点が見えてきました。そうなると意外に使えるなと思えるようになり、お客様への提案も自然と自信を持って勧められるようになります。

 写真のCB1000Rは2月に仕様変更を行いました。その時点ではかなり満足できたはずなのに、この9ヶ月間で多くの経験を積み、更に上のバランス感を発見した今となっては、少々物足りない感じがしていました。
 そこでお客様には金銭面の負担を強いるのは覚悟していましたが、改良の提案をし了承を得られたので減衰特性の変更を進めました。

 前回のシム組をPCに入力し、それを眺めつつ新たな仕様を模索しましたが、割合サクッと方向性を決められました。実際に車両に取り付けた時の動きと、シム組、ダイアルの値を読み解きながら、照準を定めます(今時の表現ではフォーカスするとでも申しましょうか)。

 ここから先は車体に取り付けての実走セッティングへと移行します。天気が不順ですが、明日はなんとか持ち堪えそうなので、十分に走り込みを行うつもりです。

 

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CB1000Rのオーリンズ を仕様変更

 先週依頼があり、車両を引き揚げたCB1000Rのリアショックを仕様変更です。

 当社でリアにFGのFFX(ツインチューブ機構)を取り付けていましたが、バイク屋さんの甘い誘惑があり、オーリンズに交換したそう(FGもまだ持っているそうです)。

 お客様のところまで車両引き上げにゆき、軽くまたがりその感触を確認した際の、私の所感を書き記した後で、今後の方向性を提示してみます。

 私見ではCB1000Rは数年前に発売され、ある種の潮流を作り出した、MT-09の流れの中にあると言えます。この流れには最近のNINJA1000やZ1000も当てはまります。これはどのような乗り味かと言えば、フロントタイアを軸にかなりコンパクトに曲がる、癖の強い車両たちです。伝統的なネイキッドのようにリアタイアを軸に安定と安心を伴わず、フロントタイアだけを当てにして曲がり、リアは荷重がかかりづらいため、倒し込みからアクセル開まで常にリアからのスリップダウンに気を使わなければなりません。

 このCB1000Rも同様です。ホンダ純正のサスペンションがそのような設定であるため、オーリンズもそれを継承しています。敵を作る可能性もありますがそれを厭わずに申し上げますと、私には全く理解できないのです。
 好みのやセッティングの問題。では片付けられない、重大な見落としを車両メーカーがしているのではないかとの疑義を持っています。
勿論、メーカーが求める物の対価として、私が感じる「重大見落とし」を許容している可能性はあります。しかしそれは、私には許せる水準ではありません。そこでかなり大幅な作り替えを提案しました。

 お客様はFGの乗り味を体感していたため、オーリンズへ換装し走り出してすぐに「思い通りに動かない」と感じ、しかし折角買ったオーリンズをすぐにFGへ戻すのも悔しいとの思いから、仕様変更を依頼くださいました。

 ホンダ純正、オーリンズともに私が感じる致命的な欠陥は、車高です。リアが滅法高く安定しません。そこでリアを大きく下げます。次いで、スプリングレートにも問題を感じます。私はこのCB1000Rのリアのレバー比を測定していましたし、一度FGを作った経験からバネ定数に関してもこれが良さそうだとの当たりはつけてありました。
 前回のFGと全く同じ仕様を作っても面白くないので、スプリングレートとダンパ自由長は更に理想値へと踏み込んでみます。

 シム(減衰を発生するのに重要な薄い円盤状の板)の組み方も一直線で色気にかけます。これをしっとりと動くように変更しようと思います。シム組に関しても、いつか動画で話してみたいと思っています。

 予算は車両引き上げや、交換部品、セッティング料金を含めると最大で15万円超。安く済ませる場合でも10万円程になります。「オーリンズ がもう一本買える!」との声が聞こえてきそうですが、全くその通り。

 本当に良い物を求めると時間もお金も際限なくかかります。しかしお金と時間を費やせば、本当に良い物が手に入るのかと言えば、それはまた違います。そこには求める形を具現化するための技術力とセッティング能力が不可欠です。そのため、私共は常に技術と感性の向上に努めております。

 外側のダイアルなどでは賄い切れない、一段も二段も上の上質な乗り味を求める方は、是非一度相談ください。

 

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MotoGuzziのKONI

 KONIのダンパーをオーバーホールしました。

 KONIといえば、旧車のツインショックが想起(イメージ)されますが、今回のダンパはモノショックです。この形状ですが、実は四輪において主に使われている仕様です。

 今年の年頭に作業したVolvoの社外KONI、フェラーリのF40も同様の寸法を持っていました。ただしそちらは鉄シリンダーを用いていました。写真の品はバイク用のために軽量性も大きく求められるからか、アルミボディーでした。

 ガスバルブはとても特殊で、当社の様な小規模事業者ではガス入れの治具を用意するのは不可能です。そこで、新たに超小型ガスバルブを開発しました。この形状に至るまでに二十分程度の熟考が必要でしたが、上手にできたと思います。しかし、その二十分に至る過程は数年の試行錯誤が招いた結果であり、見える範囲ではパパッと終わらせた様でも、現実にはかなりの長期間を要します。


 この小型バルブが完成した事で、これまでよりも大幅にガスバルブによる制約がなくなります。

 当社は私が新たな技法を開発し、それを平準化し社内で共通化(共有化)する事により会社全体の技術水準を引き上げています。その代わりに、普段の私はかなり自由に遊ばせてもらっています。これはアルバイトも含めて従業員の筆頭、小野寺が私の自由行動を許容してくれるからこそ、可能になったと考えています。良い従業員に恵まれるのは何よりも尊い事だと感じました。

 

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 先日も旧いFGのコンプレッションアジャスターを分解する治具を製作しました。長年懸案になっていたのですが、簡単に、今ある工具を使いつつ、ちょっとした時間で使い勝手の良いものが作れないかと感じていましたが、ようやっとこさえる事ができました。 
 肉厚は一番薄い部分で0.25mmですが、これを可能にするために材料はステンレス スティールを選択しました。いつもは削りやすい303を用いますが、丈夫である事を優先し今回は304としました。このジグの説明はまた後日、ブログでとりあげようと思います。
 この治具製作に関しても、日常業務の制約を大幅に低減してもらっている今の状況が許した結果だと考えています。

 

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 まだまだ多くの技術課題を抱えていますので、それらを一つ一つ解決し、お客様へ利益を還元しつつ自分らを楽しませて行こうと思います。

大掃除を進めつつ

 秋も深まりつつ、冬も目前の今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 今週は大掃除の下準備として、工場内の片付けを行いながら配置替えを進めています。歳も押し迫った年末の末に大掃除を行うのではなく、時間に余裕のある秋に進めようと思い立ちまして、今回は早めの大掃除となりました。
 先週の休日出勤で小野寺がPCとプリンタの配置を変えたのに気を良くし、今は旧事務所にあるFAXを第一工場に移設するべく電話回線の電波飛ばし器具を発注し、届くのを楽しみに待っています。

 時間に余裕がありますから、新たに必要となった配線や機材を手配し、11月中にはある程度片付けの目処が立ちます。第一工場は今月中に、事務所と第二工場は来月の前半に掃除を進め、気分良く年末を迎えるつもりです。

 12月に入れば年賀状やその他の準備も色々とありますから、早めに物事を処理しようと思いますが、この考えに至ったのもうちのカミさんに「年賀状は?」、「今年の大掃除はどうするの?」と割とキツめの口調で言われるため、戦々恐々としておる訳です。

 来週は鈴鹿サーキットのNGK杯があり、それに時間を割かなければなりませんので、効率を考えて日々の業務にあたります。

 

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サスペンションで語らう

 先日お店へ納品したダンパーを取り付け、試乗を終えたお客様からメールが届きました。

 四輪の仕事でしたが、動き出しの良さと自然に曲がってゆく感覚を、痛く喜んでくださいました。

 当社は作業風景をデジタルカメラで撮影し、QRコードを読み取ることで写真を見られる様にしています。その写真をご覧になったお客様が詳細を知りたい、とメールに電話番号も記してあったので、電話にて解説いたしました。

 私よりもだいぶ年齢が上の方でしたが、車というよりも作り込みの話で意気投合し長電話になってしまいました。しかしそこで驚いたのは、私が理想とするサスペンションの(ひいては車の)動きを実際にお客様が体感し口にした点です。
 ハンドルを切り舵角を与えると極めてアナログ的な切り替えポイントのないロールが始まり、それと連動して車の向きも変わります。もちろんブレーキング時の踏ん張りや路面追従性なども考えますが、車の質感を大きく決定するのは、その微細な部分です。

 大切にしている部分が運転するドライバーに伝わっていたのは、とてもうれしかったと同時に、なんだかサスペンション(車)を通して会話している様な、妙な感覚を得ました。初めての事でしたが非常に嬉しく感じます。

 

従業員に助けられ

 今年入った小野寺にはとても助けられております。

 昨日の土曜日は半日休日出勤してもらい、パソコンやプリンタの再設定をお願いしました。Windowsで動かしていたプリンタをGoogleドライブで動かせる様にできたそうです。これにより、余ったノートPCを事務所へ持ってゆきました。

 私はタブレットやスマートフォンよりPCを重用しています。それには明確な理由があり、処理速度の高さと情報量の多さです。

 機械や発想に関する事ではそれほど苦労しないのですが、ことインフォメーション・テクノロジーに関わることはどうにも理解の外です。そこに努力の時間を注ぎ込む力もないのです。
 そう言った訳で、私の劣った部分を補ってくれるアルバイトを含む社員には、心底感謝しています。

 当社は初期投資を抑えるため、古い工場を改装して始めたのですが、その外観も少しは改善し見栄えを良くしてゆこうかと考えております。そこにはカミさんの美的センスが活かされてゆくはずです

 

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曖昧さこそ必要

 世間一般では「曖昧さの回避」という言葉があるように、厳密性がより求められる世の中に思います。

 あるテレビプログラムにおいては「世界は数式でできている」などと表現される様に緻密、厳密、再現性、確証など確かな事が正義だとする節がある様に、私は感じています。

 確かにバイク、車を含む機械全般、それに物理法則を読み解こうと思えば、その厳密性や正確性はとても重要です。ただ、その厳密性は絶対的な正しさではないと、私は断言します。

 人間の感性は数値化できない部分があり、その数値化できない曖昧な部分をどうセッティングに落とし込んでゆくのかが、楽しくもあり難しい部分なのです。
 数値化するとは究極はデジタル表現で、そのデジタルの合間を繋ぐ文脈こそ、一番価値のある部分であろうと考察します。ですが可能な限り数値化しておけば、かなり細かい部分まで視覚化したり簡単に再現できるのも事実ですから、それ自体を単純に否定する訳ではありません。
 ただ、いくら数値を極小化しても0.01と0.02の間には隔絶した世界があり、1,000分台に細分化してもその先には10,000分台が控えています。

 エンジニアリングはその合間を埋める作業だと理解はしていますが、エンジニアはその合間を埋める手段(この場合、数値の細分化)に没頭し過ぎているのではないかとの疑義を感じずには居られません。

 この合間を埋める文脈はどの様に繋げて行くのかと言えば、私が得た答えは「芸術的表現」に他なりません。思考と行動により得られる経験を多く積む事により、直感力を高められます。と同時に音楽、文学(この二つが私にとっての主な芸術ですが、もちろん絵画や写真、漫画にアニメなど芸術的要素を含んだ全て)を対象として、美意識を鍛えなければ良いバイクや車は作れないと、これも断言します。

 私が大切にしている三つのP、哲学、規範、思想(フィロソフィー、パラダイム、ポリシー)の枝葉であるポリシーすら持たない乗り物が、質感の高さを持ち得るはずがありません。
 ですから、芸術性が大切になるのだと思います。しかし逆説的に芸術性を高めるには何が必要なのかと考えれば、そこにある種の厳密性が必要となります。対象を観察し分析して、得られた情報を再構築しなければ再現性のある芸術ではなく「偶発」でしかないからです。
 そうなれば、先ほどから展開していたエンジニアリングとしての緻密性は、その必要性を十分に帯びてきます。つまり結論はいつも中庸となりますが、エンジニアリングを高めつつもアートの要素も同時に高なければ、求める質感を得る事が叶わないはずです。

 どちらか一方に偏らず、同時進行であるべきです。ただ、私自身はエンジニアリング的緻密性が欠如している様で、芸術性の方法論をエンジニアリングに用いている事が、最大の特徴であり、それは他者比較で非常に優位であると同時に大きく劣った部分と言えます。
 その劣った部分を補うのは私自身ではなく、周りにいる友人知人を頼り、彼らの知見を自分の一部とする事で大きな飛躍がなされる(し、なされてきた)のです。

 これからも曖昧さを求めつつ、そこに内在される厳密性を読み解く事により、最良のパッケージを車両に落とし込んで行きたいと思います。

 

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