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SACRED GROUND STAFF BLOG

サーキット、現場での思考

 金曜日と土曜日は筑波選手権へ行ってきました。

 昨年はほとんどサーキットへは行きませんでしたから、久しぶりの筑波です。

 正直、サーキットに行くと暇です。担当しているティームは多くても2つ程度。ライダーは3人でしかも作業も担当しておらず時間を持て余します。しかしそれが良い。

 昔の貴族は時間を持て余したから多くの思想に耽り、新たな発見や学問が発展した訳で、常に作業なりに追われていると新たな発見がおぼつきません。今回、久しぶりにサーキットで時間を持て余す事により、サスペンションセッティングだけでない多方面にも思考が及び良い時間を過ごせました。

 例えばアスファルトの材質、ライダーのフォーム、ラインどり。サーキットの経営やレース参加者から二輪業界の様相を想像するなどです。

 私はライディングは全くの素人ですから細かい部分をあれこれ書きはしませんが、タイムが出ているライダーでも疑問に感じる姿勢があり、それはなぜそうなっているのか考えるのは非常に有益です。バイクが走るのは物理現象の塊です。ライダーの着座位置で大きな無駄が生まれます。何かしらの意味があるのでしょうが、それを解きほぐすのが面白い。と言うわけで、今年はサーキットへ出没予定です。

 

 

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久しぶりの筑波選手権

 昨年の夏以来、筑波選手権へ56Racingのレースサポートへ行ってきました。

 私の成さねばならぬ事は特段ありませんでしたが、走りを常に確認し続けライダーの変化を自分に覚え込ませる必要があり、観にゆきました。他にもキジマ・Kissレーシングも同時サポートでダンパの手直しやスプリングの手配も行いました。

 これまでと違い、コース脇から観察するのが仕事です。昨年からカメラも良い物を買い今回は撮影も楽しみにしていましたが、考えていた通り良い出張にできました。

 私はブログや動画の内容は、自身が撮影した写真から着想を得ています。今後は沢山撮影した写真からサスセットやライディングの話をして行こうと思いますし、それが皆さんの役に立てるなら嬉しいです。なぜなら若い頃に無知、無謀な走りで散々痛い思いをし、散財をしたため皆さんにはそんな無駄はしないで有効なお金の使い方をしてもらって、その一部でセイクレッドグランドを利用していただけると幸いです。

 

 

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タイアの未使用領域(アマリング)は気にしない。

 https://youtu.be/glvcEakuMls

 この動画で、ある程度は話していますのでこの記事では細部を話します。

 次回の動画とも関連しますが、タイアを端まで使い切る事に意味も意義もありません。安全に走れるならそれが一番です。しかし端まで使い切るから危険でその逆は安全とは言い切れないのです。

 写真をご覧いただければわかりますが、バイクを大きく倒さなくてもタイアはご覧の通り使い切れます。これはタイアを潰し変形させるからです。タイアを潰せば接地面積を大きくでき、接地力を高められ安全性は増します。逆にタイアがほとんど変形しない場合は接地面が減るために転倒可能性は高まります。ここでは接地面積と面圧の関係は省きます。

 タイアを変形させるには強く押し付ける技術が必要となりますので、初心者の方には難しいのも事実です。これらはサスペンションセッティングで大きく緩和できるものの、操縦者の技術力が一番大切なのは事実であり、それを高めて行くのは公道を走る上では大切な修練でもあります。

 タイアには性能の限界があります。その限界域を使えば安全に走れます。これは速度を一定とした場合です。速度を上げれば接地力と旋回速度の交換(トレードオフ)が大きくなり、危険度がます。タイアの使い切りにおいて、安全性の高い場合もあるし逆もある。
 これは技術だけでなく自制心も大切だと言う事です。

 

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YZF-R6 2008年型のコンプレッションアジャスタ

 先日、インナーチューブ交換の依頼があり、TOTレーサーのフロントフォークを作業いたしました。

 その車両はフロントフォークに2008年型のR6を用いていますが、このフォークは多機能です。スプリングイニシャル、伸びと圧の低速、高速の両方を調整可能です。写真をご覧になるとわかりますが、写真右の中心部分に青いダイアルがあり、それは低速を調整します。
 その外周にある6角形の金色部品が高速の調整です。

 この部品はネジになっており、回すとスプリングを圧縮しそれが積層板弁に圧力を載せ、開き難くして流路を狭め動きを鈍化させるのです。ただし、この方法は高速のみならず低速にも明らかな影響を強く与えます。
 設定した減衰の強さが、高速の調整で変化するのではどうにもなりません。先日調整ニードルとシムの関係は動画にしていますので、ご覧ください。

 https://youtu.be/8uILs7G523c

 というわけで、件のレーサーはその事を説明して低速のみの調整にしてあります。ピストンは以前に私が設計したオリジナルピストンを使っています。今ではそれほど高性能ではないと認識していますが、14〜15年前に懸命に図面を引き実車で実験した経験が、シムとピストンデザイン、オリフィスとポートの関連性を実感する良い題材となりました。

 リアショックの様にメインピストンと別にセカンダリピストンのシムに対し圧を掛けるのは問題が起こらないようです。
 R6のフロントはメインピストンのシムに圧を掛けるのが宜しくないのです。後年のR6はKYBフォークを採用し、この低速:高速調整をやや違った手法にしてあります。それでも根本構造は同じなため、部品配置の都合上で一体にしなければならぬようで、ならば低速調整のみにした方がセッティングの正確さが損なわれず良いとはずです。

 低速・高速調整あり。とすれば格好は良いと思いますが、実益を優先するのでしたらこの様な削ぎ落とす改造も選択できます。

 

 

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月が綺麗ですね

 「月が綺麗ですね」は愛していますの隠語だそうですが、私の場合は言葉の通りです。

 月が綺麗、というよりも「月が綺麗に撮影できましたね」というべきでしょうか。300mmの望遠で撮り拡大しました。綺麗に見える限界がこれです。もっと望遠の利くレンズでクレーターを綺麗に撮影してみたい欲求にかられますが、ニコンの高額125倍ズームのカメラはレンズ一体型ですが、かなり綺麗に望遠撮影できるようで、憧れます。価格もヤマダ電機の販売価格は10万円以下でした。

 買ってしまったらカミさんに離婚を言い渡されそうなので、自重します。

 月の他にも星を撮影しましたが、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真のようになっており、面白い。実は幼い頃から宇宙に対する興味があり、物理に限らずハッブルの写真集も買い求めておりました。

 そのうち、500mmやそれ以上の望遠レンズを買い求め、月や星の撮影をしてみたいと思います。

 

 

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高性能の謳い文句は本当か

 とある大陸アジア性のリアショックを整備しました。

 コンプレッションアジャスタからのOリング漏れ修理ですが、その原因はOリングの寸法が小さい、または穴の内径が加工の失敗で拡がっていたかのどちらかです。これはOリングを適正な品へと交換し問題は解消しました。

 この圧減衰の調整部分を分解し驚きました。それは環状隙間の、要するにNJ(ニードルジェット)とJN(ジェットニードル)のみで流量が過大になった際の逃がし弁がない、単純な構造でした。これは2乗型なので大きな衝撃ではショックが固まるはずです。
 このメーカーを扱うお店のサイトを覗くと「巷間では高性能と言われている」などと書かれていました。前記の点を見ても私の目には高性能には見えません。

 大陸アジア製造のショックは安い工賃を武器にして、アルミの総削り出しで男心をくすぐります。その外観や色合いは私の目には下品に写りますが、一般的には好まれているようで価格も含めて最近は販売も多い様です。

 しかし価格が安い分、内部の構造は未だ一級品とされる会社には遠く及びません。ピストンリングの材質や内部部品の形状、前述のコンプレッションアジャスタの構造などがそれです。

 宣伝文句として高性能を謳うのは致し方ないでしょう。購入される方は、本当の性能がどの程度なのかを吟味し極力情報を集めた上で、購入の判断をして下されば余計な出費もなく賢いお金の使い方ができ様、このブログが一助になれば幸と思います。

 

S1000RRの前後ショック

 昨日納車したBMWのS1000RR・2020年型。前後ショックは想定していた通りの作りでした。

 2018年まではザックス製造で分解組み立てが面倒な作りでしたが、特にリアショックはエア抜きが困難であり、好ましく思いませんでしたが現行のマルゾッキは痒い所に手が届く、アフターパーツとして販売されている品のように整備が楽になっています。

 現行S1000RRはフロントのスプリングレートが1.1Kgf/mmで、かなり硬い。バネはイニシャル量(初期の縮める値)とスプリング本来の定数で使い方を選べます。
 S1000RRは硬いバネを柔らかく使おうとしていますが、1.1Kではそれも限界があり、ストロークエンドの重さが際立ちます。他方、リアショックはスプリングが程よい感じで、イニシャルにより狙いどころへ落とし込めます。しかし減衰がよろしくない。ダンパがゆっくり動く際はそれなりに沈むのですが、勢いが強く動く時は踏ん張り過ぎで途端に固まります。

 そのため、フロントはバネを柔らかくしつつ、イニシャル量を見直す(外部調整ではなく内部において)。リアはバネをそのままに圧減衰を大きく弱めます。

 これにより成人男性が乗っても、女性のように比較的体重の軽い場合でもしっかり動きます。これらの改造を専用スプリングを開発し、リアのメニューも定量かし前後ショックの仕様変更で10万円程度で収まるようにしたいと考えています。

 今回は電制サスでない昔ながらのマニュアル調整でしたが、今後は機会があれば電制版も仕様違いを作り込んでみたいと思います。

 

 

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AI イラストレーター

 うちのカミさんがね〜っとコロンボのような導入ですが、うちのカミさんは高校生の頃、絵画コンクールで入賞した事もある、絵を描くのが好きな人です(ちなみに写真部にも在籍しておりました)。

 そんなカミさんはMac G4でイラストレーターを使って簡単な仕事をしていたそうです。私も動画編集ソフトはAdobeのプレミアプロを主にしていますし、写真のRAW現像にはフォトショップやライトルームを用います。会社としてAdobeのクリエイティブクラウドの月額制に加入し、全てのアプリケーションを使えるようにしてあります。

 そこでカミさんがイラストレーターを使えるそうなので、個人で遊びながら作っている猫動画のチャンネル用にイラストやスタンプを描いてもらうと考えています。

 イラストレーターはマウスやトラックパッドでは微細な書き込みが難しいようです。昔ならそれで技術を習得したのでしょうが、現代はペンタブレットという素晴らしい品がありますので、しばらく考えてカミさん自身が選んだ製品を購入しました。
 XP-PENという日本の製品です。

 これにより少しづつイラストレーターを再度習得して、会社の仕事にも役立ててくれたら嬉しいし、カミさん自身が楽しんでもらえればより日常が充実して素晴らしい事です。

 

GSX-R1000のBPF

 筑波選手権を走る方の依頼で、少し前のGSX -R1000のSHOWA・BPFを改造しました。

 車両メーカー問わず、問題の多い構造です。

 問題点1 圧減衰の調整方法 これが環状隙間ではなく、板バルブにスプリングで圧をかけるためバイパスポートがオイルロックを起こすとシム側もオイルが通らず本当に硬くなる。
 これを解消するため、ピストンに大きめのバイパスが空いています。オイルロックを防ぐための措置ですが、拡大均衡を求めているようです。

 問題点2 フォーク内部、中身をカートリッジなどが貫通していないため剛性がやや弱く、インナーとアウターが摩耗しやすい。これはカートリッジなしのフリーバルブ型にも共通した話です。が、高性能、高剛性を求めるには無理があります。

 問題点3 減衰を発生させる機構がフォーク上部に集中しており、油面を下げられない。そして減衰を発生するとオイルは泡立つのですが、気泡は上部に集まるのに減衰発生機構も上部にあるため、減衰特性が安定しづらい。

 問題点4 構造上、スプリングをフォーク下部に置かなければならず、重量配分がばね下になってします。フォーク下部は上下動が激しく慣性が強く働く結果になります。BPF以外のカートリッジ型はスプリングを据える場所の自由度が高く、任意の場所へ設置できます。

 良い点1 ピストン径が大きくピストンデザイン、シムの内径、外径の自由度が大きく、設定を微細に作り込みやすい。反面フォークスプリングは1K程度でありこれほどの大容量は不要とも言える。
 しかし容量が多いのはダンパに置いて有益ではある。

 良い点2 ダンパーピストンが特殊工具を持っていれば簡単に外せるので、特性変更にかかる時間が短い。スプリングがフォーク下部にあり、それら部品を外す際に邪魔にならないので、部品点数も少なく極めて簡便である。
 

 現代のフロントフォークに共通する問題点 トップアウトスプリングと主スプリング、それにフォークのストローク量が間違っていると、強く感じています。これはBPFに限らずBFFも同様。KYBのR1やH2等は良い動きをするのでSHOWA特有の問題点でしょう

 BPFはどのようにするのが良いのか?
 上記の良い点、問題点を併せて良い点を引き出す手法を提案するなら、まずはストロークを十分に(120mm)確保します。減衰は最高性能を発揮するのは難しいのですが、先ほど挙げたように特性変更が容易に行えるため、俊敏にダイアルを変更するかのようにシム組を変えて好みの仕様に作り込むのが良いでしょう。

 BPFの問題点はサスセットでは改善すれど解消しません。根本的な解決策はスプリング・減衰系の両方を大きく手直ししなければなりません。無駄な時間を費やすよりも懇意にしているバイク屋さんやサス屋さんに相談してください。

 

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BT1100にモーテックのデータロガー

 長い間、手をつけなければと考えつつも先延ばしにしてきたBT1100にデータロガーを搭載する事案、インターポールが重い腰をあげるかのように、私も作業にかかりました。

 一般道でロガーをつけている人は、ごく少数でしょう。私どもは会社の近くの試乗路が固定されていますので、サーキットを走るようにいつも同じ場所を走行し様子を観ています。

 モーテックのロガーはかなり詳細な情報収集が可能となっています。ダンパーテスターとは違いますが、現実の使用状況においてダイアルの一段、イニシャルの微妙な変更。車高で何が変わるのか?それを追求してみようと思います。

 まだ決まってはいませんが、例えばフロントフォークの左右にストロークセンサを用いて、どれほどの左右差が起こるのかを精密測定してみたい。しかも現在はオーリンズのNIX(右が伸び減衰、左が圧減衰)を使っていますから、体感できない違いを調べてみたいのです。

 この案件は動画でロガーの画面をみながら説明しようとも考えていますので、今後はロガーが活躍する場が増えるよう頻繁に使ってゆきます。

 

 

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