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MVアグスタF3のフォークカートリッジ・キット

 F3のフォークカートリッジキット

 数年前に販売したF3のフォークカートリッジキットですが、街乗りように製作したこのフォークでした。それを筑波TTに出走するため中古として購入したお客様からO/Hの依頼があり、作業を行い無事に終えました。

 このカートリッジは圧力が変化しないためにプレっスィオーネ(圧力)ゼロという面白い仕組みです。簡単にいうと、ステアリングダンパーにシムをのせたピストンが入っているのですが、元全日本でメーカー契約をしていた様なライダーさんからも高評価をいただけました。

 価格は26万円ほどもしますが、これは到着してから車種別に合わせ込む作業に加え、全分解で点検を行うためです。

 O/Hも普通のフロントフォークと比較し高額になります。カートリッジとフロントフォーク全体のO/H費用は約8〜10万円です。ただし格別な乗り味を提供できる自信がありますので、イタリアブランドに拘りを持つ方には最適な一品です。

 一番面白いのはトップキャップです。非常に凝った作りで、減衰調整、スプリングプリロードの他に車高調整も可能にしています。これは説明が難しいので省きますが、突き出しの変更を行わず、トップキャップにある調整箇所を使い変更できる様になります。

 この利点は0.1mmの変更にも容易に対応可能な事にあります。しかもバイクに跨ったままで変更可能であり、素早く微細な調整が行えればライダーの思うままにセットアップが仕上げられる訳です。

 興味のある方は一度問い合わせ下さい。

 

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R6のTTxと前後ショック

 お客様からの依頼でヤマハ・YZF-R6の前後ショックを手掛けました。

 フロントフォークは難しい

 2007年位から採用されたYHS製造のフロントフォークは特殊工具がなければコンプレッションアジャスタと減衰を発生するカートリッジが外せません。普通の工具しか持たないお店でO/Hを行うと、シール交換とオイル交換だけが可能です。

 エンジンのO/Hを行いたいのに、漏れた部分のシール交換とオイル交換しかできないのと同義です。当社はもちろん工具を用意していますので完全分解が可能です。
 今回はシール交換を主としてスタンダード・ラインでの作業でしたが、おまけとして減衰機構を分解し有効ストロークの延長と洗浄をしっかり行いました。

 スプリングはオーリンズの品が使える様に、アルミで変換カラーを製作してサーキット走行に備えます。

 リアはオーリンズのTTxRTを採用

 リアショックお客様の要望でオーリンズのTTxを用いました。新品を発注したのですが、国内在庫がなく納期も数ヶ月先と返事があり、納期を優先する事から丁度中古で在庫していた品をO/Hして取り付けました。

 リアは特別な仕様変更はなく、オイルと部品交換を行い取り付けます。そこから前後の帳尻合わせに終始し、セットアップは上手く出せたと思います。

 この頃のR6はフロントからの旋回性を重視した車体作りな様で、他社と比較しても旋回初期の回頭性は高く、出口では(当時としてかなりパワフルな)アクセルをきっちり開けて脱出する狙いに思います。

 この車両はサーキットを主に街乗りもたまにするのですが、茂原や筑波コース1000の様な小さめのサーキットを走るので、それを想定して前後のスプリングレートはあまり上げず、姿勢変化を作りやすい仕様で作りました。

 その設定が功を奏して、街乗りでの乗り心地も良好です。乗り心地と聞くとサーキットには不要なのでは?と感じるかもしません。ですが乗り心地が良いとはサスペンションの観点からすると、路面とタイアの接地がしっかりなされている。と言えます。だから乗り心地が良い。接地がしっかりしているとは高いグリップ力が発生される訳で、タイム短縮を図るサーキット走行においても有益です。
 つまり、速く走るためには乗り心地が悪いとタイムは縮まらないのです。これには注意点があります。それは「その速度域に置いて」と言う事です。100Km/hと300Km/hで全く同じセットアップは存在しないので、狙った域内において、乗り心地を優先すれば自ずとタイムは縮まります。その領域を超えタイム短縮を図れば、乗り心地が悪化する場合もありますが、それはスプリングレートやダンパー特性、車両重量、各部品の重量を合わせこめば更に高い均整が可能となります。が、金銭面の負担もプログレッシブ(漸進性)を増し、お財布に厳しい車になりますので、ご自身の都合に合わせた改造が望ましいと思います。

 相変わらず話が長く、補足説明も長くなりましたので、本日はこれにて失礼します。

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959Panigaleのオーリンズ

 959パニガーレのオーリンズを改造

 純正でザックスとオーリンズの二種類のリアショックがある様です。今回は純正オーリンズを改造します。社外品のオーリンズもあり、そちらはTTxGPなどハイエンドが用意されています。

 純正TTxも悪くないが、仕様変更を行います

 購入いただいた方は、自分でセットアップを行いますし、かなり微細な情報を嗅ぎ分けます。その様な方には面白い事を提供してみようと思います。スプリングを三種用意し、その場でスプリングを交換、試乗を繰り返し自分に一番あったバネを選ぶのです。

 普通の方は同日でスプリングを組み替えて、セットアップを繰り返す様な事はなかなかできない経験です。ですからそれは経験値を大いに高め、二輪車の理解をより深めるはずです。

 今回は内部の減衰設定も変えておきます。スプリングの設定をより詳細に構築できる様になると、次に見えてくるのは減衰です。ですからこの仕様変更を行った設定でも足りなくなれば更に乗り手に合わせた仕様変更が求められるはずです。

 

 体験を提供してゆきます

 今回の様にダンパー(20万円)を購入し、スプリング交換、サスペンションの脱着などフルセットで行うと総額は40万円を超えます。しかし、これだけ価値のある体験を提供できればお客様は飛躍的に経験値を高め、ご自身のセッティング能力もそれに合わせて高まります。こういう経験は他ではできませんからご自身の予算に合わせて相談くだされば、最適な経験を可能にする企画を提供します。

 

 

 

なぜオーリンズなのか?

 ここ最近、オーリンズの販売を強化している理由を話します。

 オーリンズは本当に良いのか?

 当社は創業当初からFGの販売とオーバーホールを手がけてきました。しかし昨年からオーリンズにも力を入れています。それはなぜなのか?

 1 性能が”良くなった”
 これまでもオーリンズの良い面と悪い面を見つめてきました。しかし、本当に良いと思える品は数が少なかった。この数年のフロントフォークは本当に素晴らしいと言える品質であり、それに触れる機会が多くなるにつれ、フロントフォーク、カートリッジキットなどは他メーカーに勝と感じています。
 ピストンのデザイン、表面処理、精度、製品の安定性(要するに品質)などがその主因です。FGは発想は良いのですが、精度、品質に問題があり手直しを行うと価格が大幅に高くなってしまう大きな課題が未だに解決できません。

 2 入手が容易で安定している
 販売しているお店も多く、入手経路が多いのは買い手にとっては良い事です。製品群として販売されていれば性能は同じですから、あとは価格競争となり買い手にとっては良い環境が生まれます。逆に売り手には厳しい競争が課せられます。
 当社は定価販売しか行いませんし、手直しやセッティングを含めると定価の2倍となる場合もありますが、他ではできない事をして競争相手を排除する事で生き残りをかけています。

 3 どこでもオーバーホールできる
 販売量が多いだけにオーバーホールを行うお店は多く存在します。これも良い反面、作業水準の高低も多いため作業するお店を厳選しなければ、痛い目に合うこともしばしばです。

 4 固定観念が良い
 皆さんも”オーリンズ”と聞けばレースやGPを思い浮かべるのではありませんか。これはブランディングの成功事例として典型です。レースで勝ち販売量を増やし利益を出す。そしてまた同じ循環を繰り返す。ロレックスに代表される寡占企業の優位な点です。これにより皆さんのオーリンズに対する固定観念はより向上するわけです。

 これからの方針

 当社のオーリンズ販売方針は良い物、お客様の求める物を販売し、その良い点・悪い点の情報発信を行いお客様の選択の一助になるよう心掛けます。

 もちろん継続してFGの販売も行いますが、こちらはかなり高額なのであり、普通とは違った逸品を求める方の選択肢として大切にしたいと思います。

 

 

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クアンタム

 一昨年から当社の主要なオーバーホール業務であるクアンタムについて説明します。

 Quantum クアンタム

 イギリスのメーカーで90年大はかなりの人気があったようです。私がサスペンションに関わり始めた2000年代の前半ではまだまだ元気の良かった会社です。しかしながら多種の問題があったようで現在ではあまり活発な活動はしていないようです。

 オーバーホールを行う日本代理店もあるようなのですが、お客様からの情報では現在は連絡が取りづらい、取れないそうで当社に作業依頼が多く回ってくる状況となっています。

 作業に関する問題点は?

 クアンタムはインチとミリが混在する品です。そのため日本では入手の難しい部品が多くあります。この辺りはクアンタムに限らずインチサイズを採用するメーカーに共通する課題ですが、クアンタムに関してはそれらを解消する手法を発案し、O/Hを可能にしています。

 一番の問題はシリンダーが削れる点にあります。アルミは柔らかいですから、そのままでは早期に摩耗します。それだけでなくアルミの削れかすはオイルを派手に汚し、性能の低下は必至であり、減ってしまったシリンダーは要交換となります。
 クアンタムのシリンダーは材質、酸化被膜両方ともあまり質が高くないために、耐久性は高くありません。一番の問題は材質で次に被膜の質です。幾らアルマイトを良くしても、母材が柔らかければ意味をなさないのです。

 シリンダー交換が必要な場合、当社ではステンレスで作り直します。より質を高める場合はイオンプレーティング(いわゆるチタンコート)も行います。

 また機会があればクアンタムに関する情報を公開しますので、またブログをご覧ください。

 

 

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チェーンに関する理論破綻

 昨今、BMWが採用するイタリアのチェーンメーカー「Reggina」(イタリア語で女王の意味)が、完全にメンテナンスフリーの品を発売するようです。

 自己愛に溺れると理論破綻を起こす

 元〜エンジニアを自称する方が自身の経験から「シールチェーンはメンテナンスフリーで使用できる」とSNS等で公言されていました。

 チェーンに関して私も色々と経験もありますが、全く整備をしないでどうなるかは試していないので、私に言える事は「発信者の方の使用車種や方法など限定的な面に関しては注油不要でも問題が起こらないこともある」と賛意を示すに値します。

 しかしかなりの方からバッシングがあったようで、だいぶお怒りのようです。

 感情論に落ちては自らを貶める

 冒頭のメンテフリーチェーンの発表にあたり、その方は「俺に楯突いてきた奴らは、どうするのか?」、「日本のチェーンメーカーはビビって発表(メンテフリーを)できないだろうな」と書いていました。

 これが完全な理論破綻を起こしています。それは時間軸をみなければなりません。完全メンテフリーのチェーン発表は彼のSNS発言よりも数ヶ月はあとの出来事です。

 そして技術発表を見る限りでは、ピン部分に特殊なコーティングを施すことでメンテフリーを可能にしている。とあります。

 つまり今回の完全メンテフリーチェーンは「最近」新たな「技術革新」の上に成り立っているのです。ですから日本のメーカーは以前からメンテナンスフリーを公言できるはずもないし、これからも現行品においては公言することもないでしょう。

 元〜エンジニアの方は論理的な方のようですから、本当は自分の理論破綻・矛盾を理解しているはずです。しかし、過去に敵対した人間を攻撃(口撃?)したい欲に囚われ不要な敵を余計に増やしたように思います。今回の彼のツイートを理知的な人間が見ればそれは直ぐに看破できるはずです。

 理論、筋道を自身の感情を排除し、結果を受け入れなければエンジニアや技術職はつとまりません。現〜エンジニアの方と話す機会があり、この方の前職を強調する手法には疑問を呈していました。私も同様に思います。自身で一本立ちしたのに在籍していた大手メーカーの名前で商売をするのは少々残念に思います。
 能力に自信があれば、自分の名前で生きてゆけば良いのです。これは元〜と自称できない中卒の私のひがみかも知れませんが。

 基本的には商売上手に見える方なので、周りの雑音に影響されない強さをもてれば、より活躍できると思うので今後もこの方の活躍に期待したいと思います。

 

 

 

 

経路依存性と認識共同体

 経路依存性

 「けいろいぞんせい」と読みます。つまりこれまで辿ってきた道筋をそのままなぞり、逸脱せず同じ事を続ける。惰性で進むような事を指します。

 認識共同体

 「にんしききょうどうたい」と読みます。簡単に言うと村社会のような(それ自体が悪いわけでないく)、認識を共にする仲間の集まり(パーティー)です。

 車両運動に限らず、全ての物事は上記二つの危険性、逆を言えば安定性を含んでいると思います。途中で経路を変えるのは難しい事です。過去の自分や研究を「否定」とまでは行かなくとも疑う姿勢を持たねば依存体質を見破ることは叶わないからです。

 認識共同体に関しても、この党に属していれば楽ができます。話は通じるし自分が間違っていないと安心感もある。しかしこれも上と同様に疑う事を怠ればあっという間に道を違えると思います。

 デカルトは言った

 Penso dunque sono これはイタリア語ですが読み方は「ペンソ ドゥンクエ ソーノ」日本語訳は「我思う故に我あり」となります。意訳では「考える・従って(つまり)私である」。考える事は常に必要であり、考えるはこの場合に限らずかなりの部分で「疑う」と同義なのかも知れません。ですから経路依存性と認識共同体の甘い罠から抜け出すにはPenso dunque sonoとなるわけです。

 しかし!前記二つが必ずしも悪ではありません。要所要所で間違いを正す必要はありますが、安住するなと言う意味であり、昨日は是とした事柄を今日は非とすれば進歩は遅々として起こらないと思います。ですから一定の割合で疑うことが必要であると、そういう事です。

 

筑波選手権をみてきました。

 本日は56レーシングの小田喜亜門さんがJ-GP3を走ると言うことで、その走りを視察に行ってきました。

 走り自体は小さな体でもなんら問題なく予選で1秒6のタイムを出し、素晴らしいと感じました。

 セッティングは私が口を出す必要もなく、ティーム内で上手にまとめられていたようです。
 走りの確認はダンロップの切り返しと1コーナーで走りを見ることにしました。詳細は省きますが、まだまだ細かい部分で安定しないようですが、乗り始めてからまも無い事を考慮すれば上出来です。

 決勝レースは1コーナーでみましたが、このクラスには慣れていないせいか集団にのまれ他のライダーに遠慮し引いてしまう場面もありましたが、数周して落ち着いてからは引く場面も見かけなくなり安堵しました。

 結果は転倒リタイアとなり残念ではありますが、タイムも悪く無いので今後の成長で優勝を手にするのは間違いなさそうです。

 これほど若いライダーがJ-GP3を走るのは難しい面もありますが、世界GPを走るライダーの低年齢化(私はこれを是とはしませんが)に対応するには仕方のない事なのでしょう。

 今年の前半はミニバイクを主としたレース活動の56Racingでしたが、今後はNSF250Rの出番も増えるそうなので、そうなれば私の出番も増えると思います。次戦の筑波選手権も出走する可能性があるようなので、また現場に顔を出そうと思います。

 

 

 

 

R6のスプリングカラー製作

車種専用はあるものの、在庫が無いので作りました

 2009年以降のYZF-R6に使えるスプリングカラーを製作しました。

 オーリンズのカタログに車種専用のバネは設定ありますが、ラボ・カロッツェリアさんへ問い合わせたら在庫は無いとの返事でしたので、ならば変換カラーをこさえて汎用スプリングが使えるようにしてみました。

 スプリングは10Nmと9Nmを合わせて9.5Nmを作りました。街乗りから小さめのサーキットを走るのであれば、これくらいが良いと思います。好み、使い方によって9Nmでも10Nmでも良いのですが、今回は中庸を選択しました。

 スプリングは二本セットで2万円くらいです。変換カラーは二つで1万円で作りました。

 

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