ホーム>SACRED GROUND STAFF BLOG>FG

FG

フロントフォーク大改造

 昨日納車したアプリリアのRS250ですが、人生において1〜2位を争うほどの大改造を行いました。

 インナーチューブとアクスルブラケットを分解し、純正のカシメを旋盤で削り取り、ネジを切り直しそれにハマるアダプタを製作。さらにそこに嵌合するカートリッジの部品を旋盤で作りました。その辺りはOリングで密封する必要があり、オイル漏れ対策の加工も施します。

 カートリッジ減衰の設定も大排気量向けに使う事が多い社外の品であり、250の2ストロークには設定が難しい部分があります。そうは言えども作らなければなりませんから、いろいろ考えを巡らせ簡単な解決方法に至りました。
 その手法を用いて圧減衰は一度の組み直し、伸び減衰は考えたそのままでかなり良い動きをみせ、とても助かりました。

 その後はスプリングカラーの製作など簡単な部品を作り無事に終わりました。

 この経験を踏まえ自分のBT1100には、ガス加圧などの複雑な要素を取り入れた仕組みを自作し、実験材料としてみます。それにしても、今回のフォーク製作における問題解決と部品製作は為になりました。

 

 

202038231057.JPG202038231154.JPG202038231220.JPG

NSR250,MC18のリア周りを仕立て直す

 昨年依頼をいただいていた、NSR250MC18のリア周りがなんとか完成しました。

 レース用車両のため車高が大幅に上がり、何よりMC18にガルアームがついておりリアショックの寸法が大きく変わってしまい、普通の手段では取り付けできません。そこで純正のMC18のリンクプレートを用いて、コネクティングロッドとダンパーの長さを変更し(調整式に改める)事で普通に使えるようになりました。

 MC18のリンク周りは以前にも計測した事があります。しかしMC21以降は未計測なので今回はかなり手間取りました。

 フレームとリンクプレートは88、スウィングアームは90を選ぶと、ダンパー自由長はかなり短くしなければなりません。コネクティングロッドの長さも変更した方がダンパーを作る際の自由度は上がります。

 以前はターンバックル型の調整式コネクティングロッドを製作していましたが、価格が合わないので販売を中止しました。販売数が見込めそうなら、使い勝手をよくしたターバックル型、価格を追求するのであれば調整の手間はかかりますが、正ネジ式のコネクティングロッドも製作可能です。

 コネクティングロッドとダンパーの両方に長さ調整機能を持たせると、レバー比が変更可能になり難しい反面、面白さもあります。同じスプリングでもリンク比を変更すると驚くほどに硬さが変わります。変化率なども好みの位置へ移動させられますが、純正値をしっかり把握し元に戻せるようにする準備と、バイクの動きの良し悪しを判断できなければ無用の長物どころか、害悪もありますので全ての方に勧めるわけではありませんが、レースなどで使う方には良いと思います。

 ダンパーとコネクティングロッドのセット販売も行っています。選ぶ品にもよりますが、20〜30万円程度が目安となります。NSRのリア周りで悩む方は連絡ください。

 

 

2020228215143.JPG

 

高性能ダンパーの製作

 埼玉県、所沢市のバイクショップANDY様から依頼いただき、CBR250RR/MC22のリアショックを製作しました。

 中古のボディーを使いFGの最高峰であるFFX31で作ってあります。

 純正のダンパー長は実測で282mmとかなり短い部類です。ダンパーストロークが短いので、なんとか成立しましたが、かなり厳しい寸法のやり取りの末に、形になりました。

 純正はリアの車高がかなり低く、サーキット走行でタイムを求めると、低さからくる旋回性の限界が早期に訪れるのは否めません。
 サーキット走行のみとの前提を元に、かなり長めの自由長を設定しました。ここ数年でFFXもかなりの数を製作したので、減衰特性はバネ定数と併せてそれほど悩まずに済みました。

 とりあえず初回の動きとしては満足できる仕様です。今後はサーキットを実走行して問題点を洗い出し、バネ、減衰、車高を併せこんで行き、最良のサスペンションを目指します。

https://www.facebook.com/640650852697004/videos/549404819123176/

 Facebookに動画を上げています。よろしければご覧ください。

求めるのは感性にあうエンジン

 今日はCB1100EXの動画をアップしました。

 https://www.youtube.com/watch?v=zHZ8DLzPn5U&t=44s

 私がバイクや車に求めるのは、結局エンジンフィールなのだと改めて認識しています。

 CB1100のエンジンはボア73.5mm/ストローク67.2mmのショートストロークです。ネットで検索すればすぐに見つかりますが、同エンジンはバルブタイミングに変化を持たせ、回転上昇に独特の味を持たせています。
 この記事を読む前に乗って、私が感じた素直な印象は4千回転位までは2気筒のような、ある種のザラつきやガサツさを持たせていますが、表現がおかしいのは承知で言えば、洗練された雑味とでも言いましょうか、そういった類の新しい感覚です。
 普段2気筒に乗っている私には好ましい特性ですが、これが高回転まで続くとさらに嬉しくなります。それに、余計なお世話と思いますが、個人的に、あんなに高回転まで回らなくても良いと思います。7千回転程度で低速にもっとゴリゴリのトルク感をだし、アイドリングから7千回転まで全域で「洗練された雑味」を表現できれば、信じられないくらいの世界観を表現できると考えました。

 否定しているわけではなく、私の好みを前面に出すとそういった感じになります。ただ、現代に空冷エンジンでこのような車両に挑戦するホンダには尊敬と敬意の念を抱きます。

 これまでに乗った中で特筆すべき好ましいエンジンは、ハーレーの883Rです。何が重要かと言えば、ロングストロークな点です。四輪車のエンジンが良いのはほとんどの場合でロングストロークであり、粘り強いトルクを持っているから、私は好ましいと感じます。

 この観点から論ずれば、ヤマハのMT-01やXV1900のエンジンでスポーツバイクに仕立て、乗ってみたいと夢想します。

 私はサスペンションを主にした仕事をしていますが、二輪四輪問わず車両を決めるのはエンジンだと、その様な結論に至りました。その答えに行き着いたのは、足回りを通じ車両に変化をもたらした際、行き着く先はエンジンなのだと、私自身が感じたからです。

 多くの経験をバイクと車を通じて得てきました。それも全てお客様のおかげです。

 

 

20191222214915.JPG

BMW R1100S、セッティングについて

 YouTubeのセッティング動画の続きをどのようにしようかと考えていましたが、本日BMWのR1100Sを試乗セッティングした事により、良い解決案が生まれました。

 この度依頼があったR1100Sは前後にFGが使われており、O/Hとセッティングを同時に進めました。内部のシム組やスプリングを確認しながら、気になる部分は変更を加えました。キャンペーン期間中という事もあり、リアの減衰特性は割と大胆に使用変更を施してあります。
 それ以外は前後とも丁寧に組み直し、ガス圧を見直す事でふんわりと動くサスペンションを目指しました。

 お客様は休日の関係で26日までしか猶予がなく、小雨が降る中での試乗となりましたが、楽しく走れました。元来私は雨の中で走るのを怖いと感じません。濡れるとか事故の確率が上がる意味では面倒とは思いますが、接地感が希薄などの理由で雨天走行を遠ざけません。
 お客様から雨天走行の了承をいただき、早速走り出しました。

 走り出してすぐ、フロントの高さを感じました。高いとどのような感触なるかと言えば、フロントタイアが外へ逃げてゆく感じです。それを厳密に表現すると、ハンドルが切れているのにキャスターが寝ているせいで実舵角が減り、曲がらないのです。
 Ninja900のように設計段階でキャスターが寝ていれば、リアとの調律は保たれ、曲がらないが不快感は感じないこともあります。しかし、サスペンションやスプリングを交換して、もともと良い設定だった車が変化すると、非常に不愉快な感触を得ます。

 反対にフロントが低い(リアが高い)と内向性が高まり、不必要にフロントがインへと入って行きます。これは実舵角が大きくなり起こる現象です。つまり私は車高の高さをハンドルの切れ込む量、舵角で判断しています。

 車高に関しては絶対値と相対値がありますので、以前のブログを読むか、また改めてブログか動画で解説いたします。

 話が長いのは私の欠点なので今日は短めに、ここで終わらせますが、セッティングにおいて私が重要視しているのは、つまりは車高です。その車高は加速、減速、停止、旋回と各々の場面により最適な姿勢があり、その場に合わせた車高(姿勢)を作り出すのがセッティングだと定義しています。

 

201911261369.JPG2019112613632.JPG2019112613659.JPG

 

MotoGuzziのKONI

 KONIのダンパーをオーバーホールしました。

 KONIといえば、旧車のツインショックが想起(イメージ)されますが、今回のダンパはモノショックです。この形状ですが、実は四輪において主に使われている仕様です。

 今年の年頭に作業したVolvoの社外KONI、フェラーリのF40も同様の寸法を持っていました。ただしそちらは鉄シリンダーを用いていました。写真の品はバイク用のために軽量性も大きく求められるからか、アルミボディーでした。

 ガスバルブはとても特殊で、当社の様な小規模事業者ではガス入れの治具を用意するのは不可能です。そこで、新たに超小型ガスバルブを開発しました。この形状に至るまでに二十分程度の熟考が必要でしたが、上手にできたと思います。しかし、その二十分に至る過程は数年の試行錯誤が招いた結果であり、見える範囲ではパパッと終わらせた様でも、現実にはかなりの長期間を要します。


 この小型バルブが完成した事で、これまでよりも大幅にガスバルブによる制約がなくなります。

 当社は私が新たな技法を開発し、それを平準化し社内で共通化(共有化)する事により会社全体の技術水準を引き上げています。その代わりに、普段の私はかなり自由に遊ばせてもらっています。これはアルバイトも含めて従業員の筆頭、小野寺が私の自由行動を許容してくれるからこそ、可能になったと考えています。良い従業員に恵まれるのは何よりも尊い事だと感じました。

 

20191122103748.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先日も旧いFGのコンプレッションアジャスターを分解する治具を製作しました。長年懸案になっていたのですが、簡単に、今ある工具を使いつつ、ちょっとした時間で使い勝手の良いものが作れないかと感じていましたが、ようやっとこさえる事ができました。 
 肉厚は一番薄い部分で0.25mmですが、これを可能にするために材料はステンレス スティールを選択しました。いつもは削りやすい303を用いますが、丈夫である事を優先し今回は304としました。このジグの説明はまた後日、ブログでとりあげようと思います。
 この治具製作に関しても、日常業務の制約を大幅に低減してもらっている今の状況が許した結果だと考えています。

 

 20191122104224.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019112210438.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだまだ多くの技術課題を抱えていますので、それらを一つ一つ解決し、お客様へ利益を還元しつつ自分らを楽しませて行こうと思います。

嬉しい総合優勝

 九州のオートポリスで行われたJP250の全日本選手権を手伝いに行ってきました。

 水曜日の朝、足立区にあるキジマさんの会社へ行き、丸一日以上かけてオートポリスへ到着しました。道中、キジマのツイッターの中の人と仕事、思想、哲学に教育など多岐にわたる話をして、新たな考え方を吸収する良い時間を得られました。

 木曜日は天気が良ければ練習走行を予定していましたが、雨、強風、濃霧でとても走れるような状況ではありませんでした。
 従って、走行は金曜日からとなりました。金曜の一本目は早朝ということもあり、雨は止んでいましたが路面はまだまだ湿っていました。とりあえず感触を見るために走り、タイアもドライタイアでタイム云々を論じるような状況でもありません。

 2本目はしっかり晴れて、やっとまともな走行ができました。ここで、前回の練習走行とタイムが変わらないどころか、コンマ数秒遅く2分11秒半ばと正直とてもレースにはならないタイムに、チームとして考えを改なければいけませんでした。
 以下に問題点を列挙します。

 1 ジェットコースターを下りきった右60Rを超え、上りの始まる右90Rから先でリアが高い気がする。
 2 それによりアクセルを開け曲がってゆく場面(いわゆる二次旋回)において、バイクが曲がらない。アクセルを開けても蹴り出し(前に進む力)が弱い。
 3 バイクに機敏性がなく、どちらかと言えばモッサイ(重ったるい)バイクであり、切り返しなどで向きがえがきつい。

 上記三点を分析してゆきます。
 1のリアが高いですが、その時のセットを考えると、「プリロードは緩いのにリアが高い」と感じています。これは動的姿勢(ダイナミック)ではなく静的姿勢(スタティック)が高い証拠です。そこで、車高を下げる提案をしました。

 2の二次旋回において向きが変わらない、においては、リアが高くアクセルを開けた際にまだ一次旋回の続きをしているため、リアに荷重が掛かり難くそのためアクセルを開けても内向性が高まらない。ここではアクセルを開けてリアに荷重が乗りやすくするため、リアの車高を下げる提案をしました。それとアクセル開で素早く加速に移る姿勢を作るため、リアのプリロードをかける提案も同時にします。

 3の機敏性がなく重ったるいバイクには、プリロードをかけ反応を高める提案を行いました。

 1〜3の問題点を合わせた結果は、プリロードをかけ(ダイナミックバランスにおいて)反応をあげ問題2を解消し、上がってしまう車高に対して車高調整(スタティックバランス)で下げ、1の問題点も解消します。これを行えば3の問題は自然と解消します。

 上記のように、ライダーのコメントを解析し現実と照らし合わせ、一つ一つの変更点がどのような効果を生み出し、どこが重なり合うか(オーバーラップ)を考えて総合的な変更量を決定します。この度はイニシャル量を1回転(1.5mm)締め、車高を1回転(1.25mm)下げ対処しました。
 この変更で予選は2分9秒前半と2秒以上も短縮に成功し、総合4番手、クラス2位の予選順位を得られました。

 

 決勝に向けて

 予選では好感触でしたがライダーはまだ若干リアが高いとの印象を持っていました。そのコメントを基にどうやってリアを下げるのか検討します。
 かなり好感触ではあるが、先述のジェットコースター先の連続する右コーナーでリアの高さを訴えるのに、良い部分を殺さず下げる方法は無いものかと思案していました。
「イニシャルを抜いて下げつつ、伸び減衰も弱めリアの反応を保つ」や「車高をただ下げる」などがパッと思い浮かぶのですが、せっかく良いバランスを崩すのが怖い。テストであれば試せることが、本番直前にそこまで変更するのかは、少なくからず危険性を伴います。
 そこまで考え、パッと思い浮かんだのは圧減衰(コンプレッション)を抜く手法です。直進次はほとんど影響がないはずのコンプレッションですが、現実はほんの少しではありますが、リアは下がります。しかも倒し込みではより深く下がるようになり、全てを殺さずに問題を解決できそうです。

 これらの提案は全て担当メカニックであるファイアーガレージの飯高さんを通して、変更を施します。そこで飯高さんと直前まで相談したところ、変更なしでゆくと飯高さんが決断しました。結果はナショナルライセンスながら、インター勢を抑え総合優勝を果たしました。
 しかも最後の二周で先頭に出てからは、譲ることなくチェッカーフラッグを受け、ピットにいた私を含む四人は大はしゃぎとなりました。

 エンジンパワーでは不利とされるヤマハのR25で、登り傾斜がきつくホンダトラックと言えそうなオートポリスでの優勝は、ライダーを褒められると思います。そう言えば、ホンダトラックと言われていたホッケンハイムでも、意外にホンダが勝てなかったのを思い出しました。
 この優勝で、最終戦にノーポイントで終わったとしてもポイントランキング2位のライダーと同ポイント、優勝回数により松岡玲選手のシリーズチャンピオンが決定しました(はずです)。正式アナウンスを待たなければいけませんが、二年連続のチャンピオン獲得は、チームの方向性が正しいことを証明しつつ、FGの性能も立証させてもらいました。全日本では少数派のFGですが、これまでのデータを基にライダーに合わせ個別に作り上げてきた結果が出たのだと思います。
 これに慢心することなく、常に最善を模索してゆきます。

 このように、JP250でもライダー、メカニック、チーム関係者の思考と葛藤が一台のバイクを作り上げ、レースを走っています。今週末の筑波選手権では56レーシングの二台が走ります。そこでもまた、新たな発見や葛藤があるかと思いますが、それもまた楽しみにしています。

 

 20191071580.jpg201910715954.jpg2019107151014.jpg2019107151030.jpg201910715123.jpg

 

 

 

VFR400R/NC30

 リアの17インチ化を進めるVFR400Rのメンテナンス準備を行いました。

 プロアーム車両の整備はリアスタンドが課題ですが、これまではちょっとした部品で誤魔化しながら作業していました。
しかし、今回はしっかりした部品を作り対応する事に決め、そのように致しました。FGの片持ちリアスタンドにアルミの変換カラーを作り、綺麗に持ち上がるようにします。

 アルミカラーの削り出しは、アルバイトの中村に任せます。彼は工業高校出身なので旋盤はまるっきりの初心者ではありません。ですが常に触り続けていたわけではない為、一つ一つに時間がかかります。私が自分で作れば30分も掛からないと思いますが、それではいつまで経っても彼は成長できません。彼は結局、測定から完成まで3時間近くを要しました。アルバイトとは言え社員が成長するのは会社の成長と同義ですから、少しの時間を惜しむよりも今後の事を考えました。

 少し前にも削りを任せたのですが、その時は削り過ぎて材料を無駄にし、時間もなかったので外注に出す事になってしまいました。これは想定していた事なので、うまくできたら運が良い程度に考えていました。

 今回の部品は単純な竹輪型のカラーですから、しっかりとした手順を踏めば問題なく完成するだろうと考えていました。実際その通りに時間はかかりましたが、満足できる品になりました。このように一つ一つ問題を解決し、上手く行くことで自信を養い、また失敗し叱られながら次の仕事を任せて行くのが人材育成です。
 この考え方は落合博満さんの影響かもしれません。任せ失敗したら私が責任をとる。上手く行けば褒めるのではなく、新たな仕事を任せる。

 最近の若者は叱るとヘソを曲げたり、拗ねたりすると言いますが、当社で今も働いてくれている若者たちはそのような気配はありません。私が課す作業を失敗し問題を抱え怒られながらも、上を目指して頑張ってくれます。
 退社した中には若者もお年寄りもいますが、彼らは私の仕事の手法が合わなかったのかもしれません。時にはもう少し優しく接すればよかったのかと(刹那と言うべき一瞬だけ)思うこともありますが、合う合わないは生き方の問題もあるので、今では「仕方ないかな」とクヨクヨ考えずにおります。

 たった一つの部品を作るだけで、多くの事に気づく1日でした。

 

 201910123330.JPG20191012350.JPG

プレミアムライン・プラスを解説

 本日は千葉県東金市まで納品へ行きました。

 CB1300SBのリアショック 、FGをプレミアムライン・プラスで依頼いただきその納品です。
 当社のオーバーホールは通常3種類から選択いただけます。一般のお店が提供するのと同じスタンダードライン、洗浄などいくつかの作業内容を更に手を尽くします。プレミアムラインはカートリッジタイプであればシムの一枚一枚を丁寧に拭き取り、入手可能な交換部品はなるべく変えるのが基本です。
 リアショックは全数で、シム洗浄を一枚一枚手で拭き取りしています。

 プレミアムライン・プラスは「プラス」と付けるだけあり、追加作業があります。その内容は特別に決まっておりません。お客様と相談し狙うバイクの動き、そこから導かれるダンパーの仕様により予算を提示し、そこに向かって作業を組み立てて行きます。

 今回依頼いただいたCB1300SFのFGは、私が個人所有しているヤマハBT1100Bulldogと先日完成したCB1100EXを試乗して、その滑らかな作動性と車両運動に惚れてくださり、今回の依頼に繋がりました。
オーバーホールに際し、シリンダー、ピストン、シムは新品にしました。ロッドとシリンダーは表面を当社独自の仕上げにより滑らかにしてあります。
 減衰を発生させるピストンに乗るシムも組み替え、更にはコンプレッションアジャスターにあるセカンダリーピストンのシムも組み替えてあります。この減衰特性と滑らかな摩擦感を得られるピストンとロッドの効果で、艶のあるシットリとしたダンパー特性を実現できました。

 ガスの圧力は、メンテナンスサイクルが早くなりますが、フワッと動く適度な値としています。それを可能にするのは極限までエアを抜けるからです。少しでもエアが入り込めば減衰は一気に不安定化し、酸化と熱がオイルを蝕みます。それを誤魔化すのに(実際は無意味なのですが)高いガス圧を必要とします。オーバーホールの期間を2年程度とする事で、とことん「今の良さ」を追求したのがプレミアムライン・プラスです。

 この作業内容は他にも利点を生み出します。この度、料金は税込定価で約18万円です。部品代も入りますので、工賃としては12〜13万円となりますが、これだけ頂ければ、工賃の高い熟練工を丸一日以上、二日程度は一つのダンパーに没頭させられます。それにより、細部まで詰めた作業が可能になりお客様の満足度を上げられはずですし、これまでも実際に喜んでいただけました。
 会社の利益の大きさだけを追うならば、スタンダードラインなどを1日に数セットこなす方が、より大きな利益額を手に入れられます。しかしそれだでは満足できないのが、バイク乗りです。出来るのならとことん追求したくなる、その様な方々の受け皿として超高価格オーバーホールを用意しています。

 ツイッターで見かけた中に、「そろそろ『品質を上げたいので、値上げします』って世の中にならないかな?」という一文がありました。我が意を得たりとはこの事です。安いだけではなく、その行為自体に価値を見出せる、高級で上質な質感を持ち合わせたオーバーホールにより、お客様のバイクをより思い入れの深くなる、特別な一台にする手伝いをして行きたいと考えております。

 普通のオーバーホールはもとより、オーバーホールの域を出たバイクを仕立て直す(リデザイン)程の作り込みを体験したい方は、ぜひ一度相談ください。

 

 201992320926.JPG2019923201045.JPG2019923201122.JPG2019923201142.JPG201992320127.JPG2019923201230.JPG2019923201255.JPG2019923201312.JPG2019923201331.JPG

挑戦

 このところ手掛けているCB1100EXですが、お客様の要望である街乗りでのしなやかな乗り味を求め、今日は出かけてきました。

 前回の試乗は首都高で速度域が高く、街乗りの評価とはならないため本日はなるべく高速を乗らないよう心がけました。

 柏から所沢までは常磐道、外環、関越の所沢まで行き、そこからは全て下道です。高速に乗る前に会社から自宅までいつもの通勤路を走り、簡単なリセットを行い方個性を出し、所沢を降りた後もチョコチョコ変更し、ホンダドリーム 所沢店に到着です。

 サービスと営業の従業員さん計四人が試乗をして下さいました。異口同音に、乗り心地が良い、バイクが軽い、疲れないとの評価をいただけました。皆さん普段から接しているCBなので評価対象としてスタンダード車両も知っている上での発言です。
 取り回しの段階で軽く感じるのには、訳があります。人が乗らない状態(空車1G)でサイドスタンドからバイクを直立させると、純正と違いこの車両はサスペンションが幾分か沈みます。これにより重心が下がるため重いものが下に移動し軽く感じさせます。
 CB1100RS(17インチホイール)の試乗車があり、それを同様に起こしてみましたが、その重さに驚きました。

 乗った時の軽さはどの様に演出するかといえば、動力性能とサスペンションの動きで作ります。トルクのある車両は重量があっても軽く前に進められます。曲がる、止まるに関してはサスペンションを適度に動かすと「スパッ」や「フワッ」など狙った方向性に軽くしたりシットリと、調整機構が多くついていればより緻密に演出可能です。

 良い評価を頂き気分を良くしてホンダドリーム 狭山店へ到着しました。
 ここでは3人の方に試乗してもらえました。数年ぶりにバイク業界へ復帰した方からは「よくわからないが軽くて乗り心地が良い、柔らかいと思って意地悪く強めのブレーキでも踏ん張る」、次の方は「もう少しフロントを低くして曲がりやすくしたい、ちょこっと硬くしてメリハリを出した方が好み」、最後のスタッフさんは「乗り心地が良い、軽い」とこちらのお店は色々な意見をもらえました。

 狭山から柏まで一路16号をひた走り、低速での車両の動きをつぶさに観察して、最善のセットを模索しながら、かなり良いと思える仕上がりに到達する事が出来ました。しかし、試してみればもっと良くなりそうな気もします。スプリング交換、シム組の更なる組み替え、それらのセットアップ方法にタイア交換など。これで良しとせず、更なる挑戦する心構えが大切だと気持ちを引き締めました。

 サスペンションセッティングの頂きに到達するには、まだ遠い道のりです。

 

 2019919195030.JPG201991919522.JPG2019919195225.png

  

ページ上部へ