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オーバーホール

NSR250Rのリアショック

 最近は仕事の依頼も多くないので、過去の溜まった仕事を消化しながら作業を進めております。

 今日のお題はNSR250Rのリザーブタンク無しダンパーです。シリンダーは46mmと大きなサイズを使い、アフターパーツの品と比較しても引けを取りません。別体のリザーブタンクはありませんが、内部にはしっかりとガス室がブラダ(ゴム風船のような部品)で仕切られており、性能は安定しています。
 しかしエア抜きが通常では行えないため、設計値の動きをしているとは言いがたく、そこに対して常に不満を持っていました。

 数年前にこの形状のダンパーのエア抜きをどうにかならないか?と知恵を絞り、色々な仕組みのダンパーから着想を得て、エア抜きができる仕組みを完成しました。
この加工には追加料金がかかるので、全てのお客様に提供している訳ではありませんが、NSRの様に思い入れの強い方が多い車種は、施工する割合が多いように思います。

 エア抜きが(ほぼ)完璧に行われたダンパーはとても不思議な感触です。しっかりとした動きなので、走ると硬いのかと思わせますが、その実は走り出せば路面のギャップをスルスルといなして行きます。これには理論的な背景がしっかりあります。私は実践感覚派なのですが、ダンパーメーカーに勤める友人がその辺りの計算を行い、なぜ前述のような不思議な動きが起こるのかを解き明かしてくれました。
 逆にエア抜きがしっかりできていないダンパーは、またがるとフワフワするのに、走り出すと硬いという、なんとも迷惑な代物に成ってしまいます。

 良質、上質な乗り味を追求するならば、ダンパーのエア抜きは必要条件であり、それら諸条件の上にセッティングや仕様変更が成り立ちます。

 お客様におかれましても、一度その完璧に近いエア抜きを体験して頂ければ、バイク(四輪)が更なる面白みに満ち溢れていると知れ、もっとバイクが好きになると思います。

 

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GPZ900R、アンチノーズダイブ修理

 以前から車両を預かっていたGPZ900Rのアンチノーズダイブが修理を終えました。

 ブレーキと連動しつつも、ダイアルを変更により初期値を変えられる構造です。30年近く前の部品のために、ゴム部品に留まらず傷みはありましたが、超音波洗浄機を使用し簡単な研磨により、無事にオイル漏れが治りました。

 ダイアル変更による調整もしっかり体感できましたので、安心して納車できます。

 

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レース用のリアショック、仕様変更

 本日は通常業務の納品へ、柏のACサンクチュアリ様へ行って来ました。

 ナイトロンのダンパーを納品しましたが、都合よく昨日のテストを終えたオリジナルフレームレーサーのオーリンズを預かり、若干の仕様変更を行う予定です。

 ダンパーの自由長を短くするのが最大の目的ですが、他にもデータ採取を行うつもりです。今回も分解時にエアの混入がどの程度なのかを調べ、把握しておきます。走行は40〜50分程度なため劣化はほとんど無いと予想していますが、そんな短時間での分解する機会はあまり無いと思いますので、写真に撮って皆さんにご覧頂き楽しんでもらえれば幸いです。
 因みに仕様変更を行うと、その辺を試走しすぐに分解という事は多々ありますので、レース関係や仕様変更を主に扱う業者さんからすれば、当たり前です。

 オーリンズのグランドツインと呼ばれるツインショックは、街乗りからサーキットまで広い範囲で使える万能な減衰を備えています。ライダーの國川さんはスーパースポーツやレーサーを乗り継いで来られた方なので、今後、もう少しレーサーっぽい減衰に仕上げるのもありかと考えています。

 

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コンプレッションアジャスターの仕組み

 今日はKissレーシングのFGを組み立てていました。

 その時にコンプレッションアジャスターの写真を撮影しましが、見慣れた部品もその構造を知らない方には不思議な集合体にしか見えないと思いますので、簡単に解説してみます。

 いくつかの手法が存在する調整方法ですが、リアショック やフロントフォークにおいては2種に大別できます。一つは環状隙間型と呼べる、いわゆるニードル調整です。これは穴の中に針を差し込んでゆき、その円の隙間の変化で流量を調整します。
 もう一つは2/3乗型と呼ばれるポートとシムを組み合わせた物です。FGの調整器に限らずほぼ全てのメーカーはこの二種類を併用しています。

 なぜ併用するのかといえば、ニードル調整だけでは二乗型いうオイルの流量が増えると漸進的に抵抗が増し、急激に動かなくなるいわゆる「オイルロック」が起こるからです。これを嫌って緩めのダイアル位置にすると、狙った動きを演出できなので本末転倒となります。
 そこでブローオフバルブのような2/3乗型を併用することにより、任意でオイルロックポイントを移動させられます。この2/3乗型にも調整を持たせたアジャスターを「低速、高速の調整可能な2ウェイアジャスター」と呼びます。

 ただしこのままだと行き帰り(伸び工程と圧工程の両方)で減衰が効きっぱなしになるため、伸び工程では解消(キャンセル)できるように逃がし弁が働き、縮み工程のみ減衰を発生するようになっています。

 この機構を伸び減衰調整にも付与したダンパーを、伸び圧合わせた4ウェイアジャスターと呼びます。これはF1などで有名なザックスから始まったように記憶していますが、どこの特許なのかは把握していません。ダンパーの内部は単純な機構を小さな部品に収める事で、複雑に見えるように思います。実際に一つ一つを紐解けば、意外なほどに簡単な作りです。

 

 

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KissレーシングのFG破損

 前回の全日本で優勝したKissレーシングのYZF-R25に使用するFGが、修理のため帰って来ました。

 FGでは設定のないアルミシリンダーを用いた特別仕様です。今回修理となった理由は、練習走行時の転倒から動きに違和感があると乗り手が訴えたためです。

 車両についた状態での動作確認では、その問題を感じなかったそうです。届いたダンパーを確認して原因を発見しました。車高調整のエンドアイが不自然に見えます。詳細に観察するとネジ山が削れていました。そこで推論を立てました。
 レース車両は車高の変更を俊敏に行うため、これまでの使用によりネジ山が痩せていた。変更を俊敏に行うが故にロックナットは軽く締める程度で、その状態で転倒し強引に引っ張られたエンドアイがネジを飛ばしたため、しっかりと固定されなくなったエンドアイとベース部分のガタが、一瞬の減衰抜けに感じられたと思います。
 分解時の写真からは、シールヘッドを抜いた後の泡立ちもなく、ピストンを抜いてすら少々の泡しか確認できませんでした。これでエア抜きがしっかり出来た証拠です。

 ですが安易に原因を特定するのは次の問題を起こす可能性があるため、ダンパー本体も分解し細かく確認しました。急な力が加わるとシリンダーが変形する事もあるので、特に内壁は入念に調べます。そのほか、ロッドやリザーブタンク、シムなどもその対象です。
 JSBやST600で使われるあるメーカーのシムは、ハイサイドや路面の段差などストロークスピードが想定以上に速いと、シムが変形し孔を塞げなくなり狙った動きをしなくなります。今回はシムには問題がありませんでしたので、そのまま再使用します。
 来年も同じダンパーを使う場合は、シム交換も必要となりそうです。シムは簡単に言えば板バネですから、過酷な使用でへたります。過酷とは大きくたわむ、長い時間使うなどの意味です。

 オイル交換を行い、上下のピロボールを交換して出荷となります。

 

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小改造、フロントフォーク

 茨城県のK2プロジェクト様から依頼のあった、ヤマハのフロントフォークが作業を終えました。

 スタンダードラインの作業内容でしたが、スプリングはオーリンズ、シールはSKFを希望され用意しました。
 SKFは埼玉県春日部市のテクニクス様が販売されており、在庫もあり問題ありませんでした。しかし、フォークスプリングは難しい面があります。それはオーリンズに車種設定がなく、寸法と車格から合う品を考え選ぶ必要があるからです。

 インナーチューブが41mmでも、車種により内径は様々です。年式と車格、車重を考慮しばね定数を私が決定しました。初期のイニシャル量もカートリッジ有りと無しでは変えています。減衰の強さでもプリロードは変化させると乗りやすさが段違いとなります。

 今回はTRX850のオーリンズフォークスプリングを使用しました。スプリングレートが7Nm,7.5Nm,8Nm,8.5Nmと豊富に選べ、長さも純正に近似しており使い勝手がよく助かりました。

 車種設定のないフォークスプリングの選定、スプリングカラーの製作には別途料金が掛かります。ですが、最良のフロントフォークを作るには避けて通れない部分でもあります。
 興味のある方はぜひ連絡ください。楽しい車両を作る一助になれば幸いです。

 

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FGのツインショック分解

 五月の連休にフロントフォークをプレミアムライン・プラスでオーバーホールを行ったCB1300SBですが、今度はリアショックのオーバーホールを依頼いただきました。

 オイル漏れもなく1年10ヶ月で15,000kmの使用です。お客様はなぜオーバーホールを決断されたかと言えば、フロントフォークの動きが格段に良くなってしまい、その動きにリアを合わせられない為に、フロントフォークの質感に見合った作動性をリアにも求めたからです。

 フロントフォークのオーバーホールは、プレミアムライン・プラスと呼ぶ作業内容です。このプラスがつく意味は、当社がこれまでに実践し得てきた作動性向上やシム組の変更を行う、定価設定のない裏メニューです。
 その為、サスペンションの形態により、金額は大きく変わります。このCB1300SBは以前にスプリング交換、減衰特性の変更、カートリッジの改造によるフルアジャスタブル化を行ってありました。
 そこまでしてあっても「プラス」で作業する余地が大幅にあり、オーバーホールを行いお客様にはその作動性、減衰特性に驚いてもらえました。

 今回預かるFGのツインショックも内容はプレミアムライン・プラスです。必要な部分は全て分解を行い、微細に手を入れてゆきます。特にこれまではイタリアで設定した減衰特性に対し、少し疑問を持つ様になり少しの組み替えを考えています。

 分解の写真でご覧いただける様に、シールヘッドを抜いた写真では泡立ちがみられません。これも徹底したエア抜き作業による恩恵です。エア抜きが充分でなければこの段階において、振りに振った炭酸水の蓋を栓を開けたかと勘違いするほど、泡が溢れてきます。
 エア抜きの重要性は分解時にも強く感じます。観察をじっくり行えば多くの事が見えてきて、その事象を繋ぎ合わせ答えが求められます。

 取り付けを行ったお客様の評価が今から楽しみです。

 

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NSXのクアンタムを作業中

 今週もクアンタムのダンパーを作業しています。

 ホンダ・NSXのダンパーですが、正規取扱店に連絡がつかないため困って探していた中で、当社を探し当ててくださいました。

 クアンタムに限らず、アルミシリンダーを採用する場合にはその磨耗が問題になります。鉄系のシリンダーでも当然減ってゆきますが、減り方はほぼ一定です。しかしアルミの場合においては、アルマイトが剥がれると磨耗は一気に加速します。驚くぐらい急速に減ってゆきますし、アルミの削れカスは真っ黒でオイルも急速に劣化します。
 アルミシリンダーのダンパーも数多くみましたが、丈夫で長持ちするのはオーリンズとショーワです。これは使う車種によりますが、オーリンズで10万Km近く持った例もあります。CBR600RRやCBR1000RRは5~6万Kmくらい持ちます。

 クアンタムは少々アルマイトが弱く、剥がれやすいと感じています。今回は鉄系のシリンダーで作り直す予定で作業を進めております。他にもエア抜きを機械で行える様に、細部に加工を施します。

 ロッドは状態が良く再利用ができそうです。

 

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またフロントフォーク祭り

 このところ、フロントフォークの入荷が増えてまいりました。

 当社のフロントフォークオーバーホールは安価ではありませんが、多く依頼を頂いているのは品質を買って頂いていると考えています。

 昨日も近所のお店からXJR400のフロントフォークのオーバーホールが入荷しました。オイルシールとダストシールの部品持ち込みでの作業でしたが、そのお陰で直ぐ作業に取りかかれ、今日には作業を終えました。
 XJR400のフロントフォークはごく一般的な構造で、部品点数も多くありませんが、部品の組み付け方によっては作動性を大きく損ないます。メーカー自身もそれ程の手間暇をかけ組むわけではないので、そこに「新車以上」の品質を付与する余地が生まれます。

 エンジンは部品点数が多く、締め付けトルクやほんの少しの気遣いにより回り方やフィーリングは大きく変わります。ダンパーの部品は頭の中で数えられる程度ですが、それでも組み付け手法による作動性の差は体感できます。
 中には体感できない方もいらっしゃいますが、要点を説明差し上げ簡単な試乗と訓練により、殆どの方はサスペンションへの理解が可能となります。

 先週末の筑波選手権で、56号車に乗る梶山選手はフロント周りに問題を抱えていました。
 監督との話し合いでフォークのオーバーホール、スプリングレートの変更を行いライダーの気分を一新しようとなり、プレミアムラインと呼ぶ最上級の裏メニューである「プレミアムライン・プラス」で作業を行いました。
 競技規則の厳しいCBRカップのレギュレーションを犯さない範囲で、手を出せる部分は徹底して組み直しを行い、そのフォークで前日練習と予選、決勝を走りきった梶山選手からは、これまでで一番フロント周りのフィーリングが良いと、高い評価を頂きました。

 ライダーは心理的な安心感があると、自身の持てる力を最大限に発揮してくれます。街乗りにおいても同様だと考えています。上質な作動性はライダーに豊富な情報を提供し、走る楽しさだけでなく、緊急回避や急制動においても転倒の可能性を下げられます。

 スタンダードラインと称したオーバーホールでは、プレミアムラインの美味しいところだけ、一番重要な部分は残しつつ作業を簡略化した、実は一番お得な品書き(メニュー)だと思っています。

 スタンダードライン、ハイライン、プレミアムラインどの選択肢でもお客様に満足頂けると思いますが、オーバーホールか迷っていらっしゃる方は、電話やメールで相談ください。

 

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キャンペーンと当社の女性モデル

 午前中にツイッターで告知しましたが、久しぶりにキャンペーンを行います。

 前後サスペンションの同時オーバーホールを依頼頂いたお客様に、無料セッティングを行います。

 普段はエントリーPKG(¥9,800)と名付けた簡単なベース設定のみ行っていますが、より緻密にセットを出すプログレッシヴPKG(¥29,800)でセットアップします。
価格面では2万円の差があります。乗り味に関しても十分その差を埋めて余りある、楽しさを得られます。

 これまでの経験で前後ショックのオーバーホールは15〜20万円程度が相場です。

 写真は当社アルバイトの梅山の恋人で、バイクの免許を取ったばかりの女性です。若くて綺麗な女性の写真を使いお客様を増やしたい・・・のも正直あります。が、これまでの当社の行ってきた走りに特化しセットアップを行うのではなく、楽しい走りのイメージを伝えたくて、モデルになってもらいました。
 梅山と彼女が二人でツーリングへ行き、充実した時間を過ごせたようです。バイク(車)で出かけるだけでも楽しいのですが、走っている最中に(サスペンションのセッティング)も楽しめるような素晴らしい車両に仕上げたいと考えております。

 サーキットや走りを追求する方、旅先の楽しい走りをイメージされる方、街乗りを軽快に走りたいと想像する方。お客様それぞれの楽しみを伺い、そのイメージを実車に落とし込む手伝いをさせて頂ければ、仕事冥利に尽きます。

 

 

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