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オーバーホール

Ferrari F430の電子制御 ザックス

 

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フェラーリ F430のショック

 同車種はドイツのZF、ザックスという会社のショックを採用しています。

 磁性流体というかなり特殊な機構を採用し、世間ではオーバーホール不可とされるダンパーです。しかし、そんなことで諦める当社ではございません。
 友人からも手を出すなと忠告を受けていたにも関わらず、手を出しました。ただ、分解してみるとたくさんの情報を得られます。ネットで流布している情報も取り入れ、O/Hが可能だと判断し依頼を受ける運びとなりました。

 これまでに数多くの機構、メーカーを手掛けてきたのが活きて、十分に対応できる品です。そうは言っても工数が多く、壊した場合の費用も高額であり作業工賃もそれに見合った価格となりますが、新品の半額前後で作業可能となりそうです。

 O/Hが完了したらブログでも詳細を報告します。

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VFR1200F ホンダでは珍しい・・・

 VFR1200Fの前後ショック

 この車両は改めていう必要もありませんが、ホンダです。ホンダといえばSHOWAのサスですが、希少ですがKYBを採用していました。

 KYBのサスペンションを採用している場合、指定オイルがKHL15−10であるなら気をつけてください。このオイルは倒立フォーク用と呼ばれるSAE表記で五番に相当します。

 フロントフォーク

 特殊な作りではありませんでした。普通の倒立フォークですが、調整はスプリングイニシャルと伸び減衰が可能でした。スプリングレートを測定しましたが、複合定数で初期は0.85Kから最終的には1Kを超える範囲です。シングルレートへ交換もできますので、興味のある方は連絡ください。

 リアショック 

 リアショックもKYBです。シリンダー径40mmで極めて一般的です。バネは基本、単一定数ではありますが、実際は14Kスタートで17Kへ変化する「ほぼシングルレート」です。
 相対的に硬いスプリングを有するため、減衰も強めです。この形状はエア抜きが簡単ではないため、ジグを用意して機械でのエア抜きを可能にすることで安定し高い性能を実現しました。

 ガスバルブの増設は会社により手法は様々です。当社は外観からそれとはわからないような、超小型化を果たしました。

 総論

 フロントフォーク、リアショックは難しい作業ではないものの、脱着に手間のかかる車両です。リアショックを外すために外装を多く外さなければなりません。センタースタンドがない場合は、リアショック脱着はさらに困難な作業となります。 
 バイク自体は魅力的に思いますので、サスペンションのメンテナンスでより楽しめるようになりますので、オーバーホールを考える方は参考にしてください。

 

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テスターの誤差を解消する原始的な手法

 本日はフロントフォークのスプリングを測定しました

 当社のテスターは最低単位が0.5Kからです。つまり0.9Kの値は測定できません。ではどうすれば測定可能になるのか?簡単な話で測定単位を上げます。0.9×10mmで9Kとなりますから、スプリングの圧縮量を1mmではなくもっと増やせば良いのです。

 測定誤差を解消するのにも、この手法は役立ちます。10Kのスプリングを10、20、30mmと圧縮量を増やしてゆけば、小数点以下の数値が繰り上がり、測定可能になり誤差も解消に近づきます。

 リアショックでは問題となりづらいのですが、フォークスプリングは圧縮量が増えるに従い、たわみが大きくなりやすい傾向があり、そうなると測定値に変動が起こります。従って圧縮量を増やしつつもたわみが現れない範囲での測定が必要となります。

 

 スプリング測定に興味がある方は、是非当社を活用ください。

 

 

2020921232120.JPG写真はリアスプリングの測定風景

 

GPZ900Rの純正エアサス

 初期のGPZ900R・ニンジャは一般的なコイルスプリングの他に、エアで加圧し調整を可能にする機構が採用されていました。

 このダンパーは当社でもO/H不可としていましたが、近年では古い物を古いままに乗りたいと考える方が増えた様で、多様な旧車の純正ショックをオーバーホール可能にしてきました。
 この度の依頼でGPZのエア加圧型も作業可能にし、いくつかのオプションも設けることでなるべく価格を抑える手法からトコトン手を尽くす内容など、選択肢を用意できました。

 金額よりも純正そのままという点にこだわりを持つ方には推奨いたします。

 

 

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オーリンズのフロントフォークをO/H

 今年はオーリンズ祭り

 オーリンズのオーバーホールは以前から沢山依頼がありました。今年に入り販売も多くなりました。ですが、右から左へそのまま流すというよりも仕様変更や設定のない車両へ作り替える事も多くあります。

 今回の話は通常O/Hに関してです。写真は旧倒立フォークです。難しい構造ではありませんので、作業は捗ります。気をつけなければならないのは、オイル粘度が一般的な倒立ようとは若干違います。
 専用のオーリンズフォークオイルは税別定価が4800円とかなり高価です。しかし代理店との約束があり、オイルは専用品を用います。

 性能面でも悪くないと思います。非公式にはMotoGPと同じオイルだそうです。

 部品代も高く、作業工賃も相応に高額なのでオーリンズのフォークを高級する際は後々のメンテナンス費用も事前調査を行った上で、購入を決定するのが良いと思います。

 改造しセッティングを詰めサスで遊びたい人には良い品なので、どうぞ楽しんでください。

 

 

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MVアグスタF3のフォークカートリッジ・キット

 F3のフォークカートリッジキット

 数年前に販売したF3のフォークカートリッジキットですが、街乗りように製作したこのフォークでした。それを筑波TTに出走するため中古として購入したお客様からO/Hの依頼があり、作業を行い無事に終えました。

 このカートリッジは圧力が変化しないためにプレっスィオーネ(圧力)ゼロという面白い仕組みです。簡単にいうと、ステアリングダンパーにシムをのせたピストンが入っているのですが、元全日本でメーカー契約をしていた様なライダーさんからも高評価をいただけました。

 価格は26万円ほどもしますが、これは到着してから車種別に合わせ込む作業に加え、全分解で点検を行うためです。

 O/Hも普通のフロントフォークと比較し高額になります。カートリッジとフロントフォーク全体のO/H費用は約8〜10万円です。ただし格別な乗り味を提供できる自信がありますので、イタリアブランドに拘りを持つ方には最適な一品です。

 一番面白いのはトップキャップです。非常に凝った作りで、減衰調整、スプリングプリロードの他に車高調整も可能にしています。これは説明が難しいので省きますが、突き出しの変更を行わず、トップキャップにある調整箇所を使い変更できる様になります。

 この利点は0.1mmの変更にも容易に対応可能な事にあります。しかもバイクに跨ったままで変更可能であり、素早く微細な調整が行えればライダーの思うままにセットアップが仕上げられる訳です。

 興味のある方は一度問い合わせ下さい。

 

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なぜオーリンズなのか?

 ここ最近、オーリンズの販売を強化している理由を話します。

 オーリンズは本当に良いのか?

 当社は創業当初からFGの販売とオーバーホールを手がけてきました。しかし昨年からオーリンズにも力を入れています。それはなぜなのか?

 1 性能が”良くなった”
 これまでもオーリンズの良い面と悪い面を見つめてきました。しかし、本当に良いと思える品は数が少なかった。この数年のフロントフォークは本当に素晴らしいと言える品質であり、それに触れる機会が多くなるにつれ、フロントフォーク、カートリッジキットなどは他メーカーに勝と感じています。
 ピストンのデザイン、表面処理、精度、製品の安定性(要するに品質)などがその主因です。FGは発想は良いのですが、精度、品質に問題があり手直しを行うと価格が大幅に高くなってしまう大きな課題が未だに解決できません。

 2 入手が容易で安定している
 販売しているお店も多く、入手経路が多いのは買い手にとっては良い事です。製品群として販売されていれば性能は同じですから、あとは価格競争となり買い手にとっては良い環境が生まれます。逆に売り手には厳しい競争が課せられます。
 当社は定価販売しか行いませんし、手直しやセッティングを含めると定価の2倍となる場合もありますが、他ではできない事をして競争相手を排除する事で生き残りをかけています。

 3 どこでもオーバーホールできる
 販売量が多いだけにオーバーホールを行うお店は多く存在します。これも良い反面、作業水準の高低も多いため作業するお店を厳選しなければ、痛い目に合うこともしばしばです。

 4 固定観念が良い
 皆さんも”オーリンズ”と聞けばレースやGPを思い浮かべるのではありませんか。これはブランディングの成功事例として典型です。レースで勝ち販売量を増やし利益を出す。そしてまた同じ循環を繰り返す。ロレックスに代表される寡占企業の優位な点です。これにより皆さんのオーリンズに対する固定観念はより向上するわけです。

 これからの方針

 当社のオーリンズ販売方針は良い物、お客様の求める物を販売し、その良い点・悪い点の情報発信を行いお客様の選択の一助になるよう心掛けます。

 もちろん継続してFGの販売も行いますが、こちらはかなり高額なのであり、普通とは違った逸品を求める方の選択肢として大切にしたいと思います。

 

 

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クアンタム

 一昨年から当社の主要なオーバーホール業務であるクアンタムについて説明します。

 Quantum クアンタム

 イギリスのメーカーで90年大はかなりの人気があったようです。私がサスペンションに関わり始めた2000年代の前半ではまだまだ元気の良かった会社です。しかしながら多種の問題があったようで現在ではあまり活発な活動はしていないようです。

 オーバーホールを行う日本代理店もあるようなのですが、お客様からの情報では現在は連絡が取りづらい、取れないそうで当社に作業依頼が多く回ってくる状況となっています。

 作業に関する問題点は?

 クアンタムはインチとミリが混在する品です。そのため日本では入手の難しい部品が多くあります。この辺りはクアンタムに限らずインチサイズを採用するメーカーに共通する課題ですが、クアンタムに関してはそれらを解消する手法を発案し、O/Hを可能にしています。

 一番の問題はシリンダーが削れる点にあります。アルミは柔らかいですから、そのままでは早期に摩耗します。それだけでなくアルミの削れかすはオイルを派手に汚し、性能の低下は必至であり、減ってしまったシリンダーは要交換となります。
 クアンタムのシリンダーは材質、酸化被膜両方ともあまり質が高くないために、耐久性は高くありません。一番の問題は材質で次に被膜の質です。幾らアルマイトを良くしても、母材が柔らかければ意味をなさないのです。

 シリンダー交換が必要な場合、当社ではステンレスで作り直します。より質を高める場合はイオンプレーティング(いわゆるチタンコート)も行います。

 また機会があればクアンタムに関する情報を公開しますので、またブログをご覧ください。

 

 

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ロッドガイド改造、KONIとNZ250

 今日のお題はガイドブッシュの加工についてです。

 なぜガイドブッシュがないのか?

 現行車種でも稀に見かける事はありますが、ロッド(フロントフォークのインナーチューブに相当)を保持するロッドガイドと呼ばれる部品にブッシュ(ドライベアリング)のない製品があります。

 過去にはこの様な仕組みのダンパーは多数ありました。現行ではベアリングが採用されるのに以前はなぜ使わなかったのか?この点について私は二つの推測を持っています。1点目は学術書に乗っているので間違いないと思いますが、このロッドガイドを焼結材と呼ばれる金属粉を焼き固めた品を使う事で、潤滑性を確保する事でオイルにベアリング効果を期待した場合です。
 ではなぜ焼結材に潤滑性を期待できるのか?ですが、パッと見では分からないと思いますが焼結材は隙間だらけの構造です。金属ではありますがその隙間から液体(もちろん気体も)は通り抜けます。つまり構造体がオイルを保持し、ロッドとロッドガイドの間には常にオイルが存在するために、摩耗を遅らせることができるのです。

 ただしこの仕組みを用いる場合は、ロッドガイドをオイルシールより内側に置かなければなりません。ですが驚くべき事にオイルシール よりも外側に置く例も知っています。つまりこれは誤用だと思いますが、法律で決まっている訳でもありませんので、責める必要もありません。

 ガイドブッシュを加工して圧入

 上記の焼結材を用いた潤滑方法の他には、ベアリングを用いた手法が一般的です。これは滑りの良い材質を使い、オイルなどの潤滑環境下でなくとも滑りを保証する物です。これをオイルの中で使うのが一番良いのです。

 と言うことで焼結材を切削加工しガイドブッシュを圧入します。この穴径拡大加工は難易度高めの加工です。許される(と言うより私が許せる)加工公差は±1/100mmです。バイトの先端を尖らせ5/1000mmの切削も可能にし、数度に分けて加工を行います。

 この加工によりロッドの摩耗を抑え、ガタ付きを減らし作動性を上げられます。簡単に言えば乗り心地を良くして、なお耐久性が良くなります。

 

 KONIや古いショックには追加料金は必要ですが、是非行ってもらいたいと思います。

 

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ダエグの前後ショックとホイールカスタムに関して

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 昨日、ZRX1200ダエグの前後ショックをオーリンズへと交換しましたので、その顛末を書こうと思います。

 前後オーリンズをなぜ選んだのか?

 グランドツインと呼ばれるオーリンズのツインショックですが、これは発売されたのが10年以上前と今では古いと言えるくらいなのですが、その性能は現在でも一級品です。一番素晴らしいのはスプリングの定数だと考えています。
 ですから、このスプリングのみを他のオーリンズツインショックへ転用しても良い結果を得られます。

 次いでコンプレッションアジャスターが微細な調整を可能にした(モノショックと同様の機構)ために、多くの場面(厳密に言えば多彩なストロークスピード)に対応できる様になっています。街乗りで乗り心地を追求できるのに、ライダーによっては販売状態のままダイアル調整次第で筑波サーキットを1分切ることも可能な、懐の深い仕上がりとなっています。

 フロントフォークは数年前に改訂版が発売されました。15年くらい前に発売された初期型は私も自分のBT1100に使い、その性能を試しています。残念ながらこの初期型正立フォークは価格に見合っているとは感じられませんでした。従ってお客様にも積極的に推奨、販売は行っていません。
 それが新型のNIX(左右で減衰調整が異なる)は、昨年CB1300SF用をセッティングした際にその性能の高さに驚きました。適正なバネ定数、動きの良い表面仕上げ、狙い通りに動く減衰。これは価格に見合う良い品だと感じ、昨年からはこの前後セットを積極的に販売しています。

 

 取り付け、問題点が発覚

 リアショックに関しては何ら問題なく取り付けが進みました。

 問題はフロントです。社外品のホイール、ゲイルスピードがオーリンズとの組み合わせではそのまま取り付けられませんでした。寸法を測定し、カラーを作ることで対応しましたが、0.1mm単位で合わせ込むとかなり時間がかかります。
 カスタム屋さんも日々、この様な問題と格闘しているのかと思うと、頭の下がる思いです。

 ホイールセンターを合わせると、ディスクとキャリパーの中心がそろわなくなります。かなり大きなズレがあり、そのままというわけにはゆかず最後はキャリパーの取り付け部分に薄いワッシャーを入れセンター出しを行い、形になりました。

 全ての部品の中心を出し、無理なく取り付けができる様になったことで、ホイールの回転は極めて滑らかです。これはゲイルのホイールが悪いとか、オーリンズが悪いという事ではなく、カスタムを進めてゆくと誤差(0.1mmを誤差と捉えるかは人それぞれ)をそのままにするか、ぴっちり揃えるかに悩みます。

 私は後者でぴっちり揃えました。完璧とは言えないまでも、今見えている不具合をそのままにするのが気持ち悪いからです。

 メーカー純正で驚くべき不良品

 これらを確認している最中に、驚くべき不具合を発見しました。
 右側のブレーキローターが偏心していたのです。じっと眺めたりホイールを回転させている途中で何だかウネウネするなと思ったら、ディスクの中心がずれており異常を認めました。

 これはお客様に異常を伝え、販売店さんなどに話をする様勧めておきました。

 まとめ

 カスタムは素材を活かせれば純正よりも質感を高め、楽しい車両にする事もできると思いますが、何も考えず何も見ずに組み付けると、驚く様な惨事を招く事もありますので、しっかりと確認してその上で、楽しんで頂きたいと思います。

 

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