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ダンパー仕様変更

GSX-S750の前後ショックを改造

 昨年、ローダウンの依頼で作業を行なったGSX-S750が、ハンドリングを向上させたいとの意向により預かりました。

 40mm下げだったのを慣れてきたから20mmほど上げ、それ以外は自由にさせてもらえるので前後ショックを仕様変更する運びとなった訳ですが、予算もそれなりに潤沢でありましたから、リアショックは在庫で持っていたFGへ交換です。FQEというイニシャル、伸び減衰、車高の基本3点を抑えた割と好きなモデルです。

 今回の依頼でのべ3台目となるGSX-Sなので勘所は把握していました。各部の寸法は問題なく収まり、スプリングレートが決まっていれば使い慣れているピストンデザインなら減衰設定も簡単に決まります。とは言いつつも初めて作る車両にはそれなりの熟慮は存在します。

 フロントフォークはスプリングレートに0.9Kを採用しました。ストロークがそれなりに確保できる20mm下げなので、硬すぎる値を選んで操舵性が悪化するのを嫌った結果です。
 アクセル開けまくりの人にはほんの少し柔らかく感じそうですが、それにしても悪くない値です。それに減衰も変更したのですが、単純に硬めるよりも、低速域を少し太らせつつ軽い入力ではスーッと動くようにして、更にグイッと大きな入力に対しては減衰を持ち上げる事により、ズボッと一気にフォークが沈み込まないように設定しました。

 内部の細かい話になりますがGSX-Sのフロントフォークは片側のみ減衰を発生し、反対はスプリングだけです。カートリッジは入っていますがダンパーの伸び切り寸法を規制しているにとどまります。そのため、インナーチューブ、アウタチューブのみの剛性に依っています。そこでカートリッジロッドの先端にシムを省いたピストンを取り付け、剛性部材になるよう改造を行いました。

 他方、減衰発生側のフォーク(今回は右フォークに当たります)は減衰調整機構を追加しています。これにもかなり悩む部分はありましたが、部品取りで在庫していた部材が都合よくあり、すんなりと作れました。
 単に調整機構を追加しても動きは良くなりません。調整を可能にするためにはピストン・シム系の減衰も変更しなければ良くならないのです。それだけでなく、根本の動きを変更したかったのでシム組を変更した次第です。

 一番考えたのは調整機構における調整方法です。この車両、ハンドルがフォークの直上にありマイナスドライバではかなり効率が悪い、というか不可能に近い感じでした。
 どうしたものかと思案した結果、イニシャル調整の部品に手を加えそれを減衰調整に改めました。そのため、右は減衰調整のみで左はイニシャル調整のみ。
 この着想の発端は同日に作業を行っていたカワサキのZX-6R、SFF-BFから得たのです。最近は左右でスプリングレートが違うのは当たり前、減衰もバラバラなので、今回の改造はそれに習いました。倒立フォークで剛性の高いアクスルシャフトを採用しているおかげで、このようなバラバラな部品構成が可能になっています。

 実際、車両に組み込み跨り前後ショックを動かした刹那、設定がかなり高い水準にあると確信できました。走り出しても印象そのままにとても楽しい。
 お客様も交えて意見を伺うと、直立付近から倒し込んである程度バンクするまでフロントが落ち着かない。その原因は前が高く、後ろが低いと見極め、リアの伸び減衰を抜いてなるべくリアショックが高い位置にあるよう変更し、改善できました。

 自分が試乗する前にお客様に乗って頂くの面白い経験です。サーキットでは当たり前ですが街乗りのお客様においては、殆どの場合においてお客様が乗るのは一番最後です。
 今回のように納車時はお客様の意見を取り入れ、ほんの少し手直しを行います。

 サイレンサーがヨシムラに代わって、燃料マネジメントにも変更が加えられており、タイア、チエン、ホイルベアリングも新品でした。走るには最高の状態に、今日の天気は絶好の試乗日和。試走も本当に楽しかったので施主が喜ぶのも納得でした。

 自分でも買いたくなるほどの楽しさ。スズキの750直4は至宝ですね。

 

 

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