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2021年2月

S1000RRの前後ショック

 昨日納車したBMWのS1000RR・2020年型。前後ショックは想定していた通りの作りでした。

 2018年まではザックス製造で分解組み立てが面倒な作りでしたが、特にリアショックはエア抜きが困難であり、好ましく思いませんでしたが現行のマルゾッキは痒い所に手が届く、アフターパーツとして販売されている品のように整備が楽になっています。

 現行S1000RRはフロントのスプリングレートが1.1Kgf/mmで、かなり硬い。バネはイニシャル量(初期の縮める値)とスプリング本来の定数で使い方を選べます。
 S1000RRは硬いバネを柔らかく使おうとしていますが、1.1Kではそれも限界があり、ストロークエンドの重さが際立ちます。他方、リアショックはスプリングが程よい感じで、イニシャルにより狙いどころへ落とし込めます。しかし減衰がよろしくない。ダンパがゆっくり動く際はそれなりに沈むのですが、勢いが強く動く時は踏ん張り過ぎで途端に固まります。

 そのため、フロントはバネを柔らかくしつつ、イニシャル量を見直す(外部調整ではなく内部において)。リアはバネをそのままに圧減衰を大きく弱めます。

 これにより成人男性が乗っても、女性のように比較的体重の軽い場合でもしっかり動きます。これらの改造を専用スプリングを開発し、リアのメニューも定量かし前後ショックの仕様変更で10万円程度で収まるようにしたいと考えています。

 今回は電制サスでない昔ながらのマニュアル調整でしたが、今後は機会があれば電制版も仕様違いを作り込んでみたいと思います。

 

 

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AI イラストレーター

 うちのカミさんがね〜っとコロンボのような導入ですが、うちのカミさんは高校生の頃、絵画コンクールで入賞した事もある、絵を描くのが好きな人です(ちなみに写真部にも在籍しておりました)。

 そんなカミさんはMac G4でイラストレーターを使って簡単な仕事をしていたそうです。私も動画編集ソフトはAdobeのプレミアプロを主にしていますし、写真のRAW現像にはフォトショップやライトルームを用います。会社としてAdobeのクリエイティブクラウドの月額制に加入し、全てのアプリケーションを使えるようにしてあります。

 そこでカミさんがイラストレーターを使えるそうなので、個人で遊びながら作っている猫動画のチャンネル用にイラストやスタンプを描いてもらうと考えています。

 イラストレーターはマウスやトラックパッドでは微細な書き込みが難しいようです。昔ならそれで技術を習得したのでしょうが、現代はペンタブレットという素晴らしい品がありますので、しばらく考えてカミさん自身が選んだ製品を購入しました。
 XP-PENという日本の製品です。

 これにより少しづつイラストレーターを再度習得して、会社の仕事にも役立ててくれたら嬉しいし、カミさん自身が楽しんでもらえればより日常が充実して素晴らしい事です。

 

GSX-R1000のBPF

 筑波選手権を走る方の依頼で、少し前のGSX -R1000のSHOWA・BPFを改造しました。

 車両メーカー問わず、問題の多い構造です。

 問題点1 圧減衰の調整方法 これが環状隙間ではなく、板バルブにスプリングで圧をかけるためバイパスポートがオイルロックを起こすとシム側もオイルが通らず本当に硬くなる。
 これを解消するため、ピストンに大きめのバイパスが空いています。オイルロックを防ぐための措置ですが、拡大均衡を求めているようです。

 問題点2 フォーク内部、中身をカートリッジなどが貫通していないため剛性がやや弱く、インナーとアウターが摩耗しやすい。これはカートリッジなしのフリーバルブ型にも共通した話です。が、高性能、高剛性を求めるには無理があります。

 問題点3 減衰を発生させる機構がフォーク上部に集中しており、油面を下げられない。そして減衰を発生するとオイルは泡立つのですが、気泡は上部に集まるのに減衰発生機構も上部にあるため、減衰特性が安定しづらい。

 問題点4 構造上、スプリングをフォーク下部に置かなければならず、重量配分がばね下になってします。フォーク下部は上下動が激しく慣性が強く働く結果になります。BPF以外のカートリッジ型はスプリングを据える場所の自由度が高く、任意の場所へ設置できます。

 良い点1 ピストン径が大きくピストンデザイン、シムの内径、外径の自由度が大きく、設定を微細に作り込みやすい。反面フォークスプリングは1K程度でありこれほどの大容量は不要とも言える。
 しかし容量が多いのはダンパに置いて有益ではある。

 良い点2 ダンパーピストンが特殊工具を持っていれば簡単に外せるので、特性変更にかかる時間が短い。スプリングがフォーク下部にあり、それら部品を外す際に邪魔にならないので、部品点数も少なく極めて簡便である。
 

 現代のフロントフォークに共通する問題点 トップアウトスプリングと主スプリング、それにフォークのストローク量が間違っていると、強く感じています。これはBPFに限らずBFFも同様。KYBのR1やH2等は良い動きをするのでSHOWA特有の問題点でしょう

 BPFはどのようにするのが良いのか?
 上記の良い点、問題点を併せて良い点を引き出す手法を提案するなら、まずはストロークを十分に(120mm)確保します。減衰は最高性能を発揮するのは難しいのですが、先ほど挙げたように特性変更が容易に行えるため、俊敏にダイアルを変更するかのようにシム組を変えて好みの仕様に作り込むのが良いでしょう。

 BPFの問題点はサスセットでは改善すれど解消しません。根本的な解決策はスプリング・減衰系の両方を大きく手直ししなければなりません。無駄な時間を費やすよりも懇意にしているバイク屋さんやサス屋さんに相談してください。

 

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BT1100にモーテックのデータロガー

 長い間、手をつけなければと考えつつも先延ばしにしてきたBT1100にデータロガーを搭載する事案、インターポールが重い腰をあげるかのように、私も作業にかかりました。

 一般道でロガーをつけている人は、ごく少数でしょう。私どもは会社の近くの試乗路が固定されていますので、サーキットを走るようにいつも同じ場所を走行し様子を観ています。

 モーテックのロガーはかなり詳細な情報収集が可能となっています。ダンパーテスターとは違いますが、現実の使用状況においてダイアルの一段、イニシャルの微妙な変更。車高で何が変わるのか?それを追求してみようと思います。

 まだ決まってはいませんが、例えばフロントフォークの左右にストロークセンサを用いて、どれほどの左右差が起こるのかを精密測定してみたい。しかも現在はオーリンズのNIX(右が伸び減衰、左が圧減衰)を使っていますから、体感できない違いを調べてみたいのです。

 この案件は動画でロガーの画面をみながら説明しようとも考えていますので、今後はロガーが活躍する場が増えるよう頻繁に使ってゆきます。

 

 

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瞬間中心から車両特性を読み解く

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 先日は動画でスウィングアームのジオメトリを話、瞬間中心の説明をブログでも行いました。今回もその続きです。

 今後は独自に集めた瞬間中心の図を公開して行くつもりですが、参考例として10台ほど線を引き、情報を集めました。

 実際に試乗経験のある車両や、試乗できないようなGPマシンやそれに準ずる車両は中野真矢さんから得た証言を下地に考察を重ねた結果。瞬間中心が車両運動に大きく関わるのは当然として、操舵性に密接と異より、直接的に大きく関連しているとわかりました。

 特にCBR1000RR、RC213V-S、MT-09でその独特な瞬間中心位置(それはエンジン搭載位置とも換言できる)やクランクセンタが、これら車両の個性を強く演出している事実から、上記の「直接的に大きく関連している」を裏付けています。
 CBRやRC213はフロント一輪車のような操舵性で、それは瞬間中心が相当前方にあるためのハンドリングだと結論づけられます。当然、これに加え車両姿勢と前後ショックの設定も大切ですが、それらの合算が空車1Gの瞬間中心に現れるわけです。

 MT-09は引いた線から、エンジン搭載位置がより明確にわかりました。この車両はエンジンが低く後ろに置かれるため、ドカティのLツインや2ストレーサーのような重量配分です。こういった車両はサスを硬めすぎると重心移動が小さくなり、旋回性を下げてしまうため、前後サスは硬めづに柔らかく動く中に踏ん張りを持たせた方が良いと思いますし、過去の実績ではそのように仕上げてきました。

 今後は車両預かりの場合は、瞬間中心を求め車両の運動特性をより深く探究してみます。

 

スウィングアームの瞬間中心

 先日、動画にあげたスウィングアーム回の話の続きです。

 スウィングアームはピヴォットを中心に回転しているのは間違いありませんが、図面をご覧になればわかるように瞬間中心という仮想センターを持っています。

 

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 図の仮想センターである瞬間中心はかなり前方にあります。課題はスウィングアームの角度、スプロケットの大きさなどにより瞬間中心は刻々と変化しており、それにより乗り味を変化させます。

 後日、話をまとめますが瞬間中心によりアンチスクワット比がスウィングアーム角度により変わることは良い面があります。

 

 

 

 

 

 

 

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 写真をご覧ください。

 ACサンクチュアリ様のZレーサーです。当社も前後ショックの仕様変更で関わっていますが、中村社長と整備士鈴木さんの好意で画像の使用許可をいただきました。

 線を引き上の図面は、実車においてどの程度の位置にくるのかを表しました。

 瞬間中心はクランクシャフトよりも前方でやや上方にあるようです。
 これから文献を精読し確認しますが、瞬間中心がクランクセンタ近くにあり、リアタイアから伸びる瞬間中心を通る(写真では黄色)線がキャスターと直角を成すと、ハンドリングやよくなるようです。

 つまり、写真の車両はかなり理想的な配置を持っています。

 今後はこのような車両のエンジン搭載位置(ジオメトリ)などできるだけ多くの参考例を集め、良い車両、悪い車両を見極められるように成りたいと考えております。

アンチスクワットの理論の入り口を解説してもらいました

 昨日は中洲産業大学非常勤講師代理補佐の金岡くん(本当は東工大の院生)を招き、スウィングアームに働く力学を解説願いました。

 和歌山利宏さん著、図説バイク光学入門を題材に、式を読み解きました。他にはレーサーズVol.58の無限・神電の後半に元ホンダの方が解説した部分も大いに参考としました。

 理論を式に則り詳しく論じるというよりも、理論的背景を下にして実際にはどのように動くのかを考察したりと、加速すると実際にはリアが沈むのではないか?との課題を話しています。

 https://youtu.be/1FE9d5ZiFVo お時間があればどうぞご覧ください。

 今後は前記のバイク光学入門を切り取り、題材として動画を継続的にあげて行こうと思います。キャスターとトレールの関係だったり、リアショックのレバー比や、基礎の物理現象などを取り上げたいと考えております。

 下の写真は図説バイク光学入門と金岡くんの手記です。

 

 

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ZX-10Rのフォークスプリングを決めた

 先週分解したZX-10R、2017年型ですがフォークスプリングの値を決めました。

 0.9Kgf/mmを採用するつもりです。一般的には0.9Kは柔らかいのですが、トップアウトスプリングの変更とイニシャル量、それに減衰の設定を組み合わせてムニャっと動く、ストローク初期から程よい反力を感じつつボトム付近でも踏ん張り感よりまだ動きそうな、モトクロッサーやトライアル車のような感触を得られるように作り込みたいと思います。

 動くサスペンションを作るのは簡単です。課題は動く中で要求される耐衝撃性を備えているのか?その点にあります。バネ系と減衰系が高度に調和しなければ作り出せない動きです。ガス加圧された減衰系を持つBF機構ならではの特性を活かして、作り込んでみます。

 

 

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ピストンを造りたい

 技術開発のために、ピストンを造りたいのです。

 最近、友人がシミュレーションで減衰調整ニードル部のオイルにどの様な現象が起きているのかを調べており、その報告を受けました。私の理解力では全てを把握はできませんが、最も重要な課題に関しては解き明かすことが出来たので、今後の減衰設定にはとても有益です。

 先日、動画でピストン/シム系と調整ニードル部分の分担に関して問題にしたオイルロックポイントは、やはり相当程度確信をついており、ならば今後の減衰設定は思うままに進めるのが正解の様です。それはつまり、ピストン/シム系で主要な減衰を発生させ、ニードルは本当に微調整を行う程度が正しい、と言った訳です。

 減衰調整部分の形状はオイルの流れにとても大きな影響を与えます。このニードル形状を細かく追い求めているのはオーリンズのTTxGP以外は今のところ(私の知る限り)は無いようです。このニードル形状も追い求めたいのですが、先ずはピストンから始めたい。なぜなら格好良いからです。やはりこの削り部分の造形は美しい。良質な造形から生み出される上質な減衰を体感したいものです。

 そうなると小型でも良いので、マシニングが欲しくなります。試作品を自社生産できればこれに勝る喜びはありません。おいおい考えてゆきましょう。

 

 

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自社製ロッドを製作

 SRXのツインショックに自社製ロッドのSGSA12を作りました。最後に問題点を論じますので、興味ある方は飛ばして読んでください。

 純正は10.5mmの太さです。80年代はヨーロッパメーカーの影響が色こく、この寸法もビルシュタインを模したのでしょう。

 剛性と作動性の帳尻を考えロッド径をφ12へと改めました。それに関わる部品全てを加工しなければならず、実はロッド径拡大は大ごとです。ガスバルブの蓋もアルミで作り直しました。

 ロッド製作ですがメッキの下に焼き入れ層があり、ダイスでは歯が立ちません。そのため超硬チップでねじ切り加工を行いました。溝を作って逃げ場を設けない切り上げで仕上げました。

 ゲージを使わない目検で仕上げましたが、久しぶりの割には上等です。回転数は100回転で低めにしたのが勝因でしょうか。焼き入れ材の切削は難しい反面、仕上がりが綺麗にしやすい良い面もあります。

 SRXや初期XJR400のリアショック問題点とは?

 これはシリンダーです。アルミを採用していますが、表面処理のない生材のようです。もしくは極めて柔らかいか薄い膜厚で、簡単にえぐれます。だからこのショックのO/Hは推奨していません。
 しかしシリンダー政策も可能であり、価格を考えずどうしても純正が良いと感じていらっしゃる方は、相談いただければ見積もりを算出いたしますので申し付けください。

 

 

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