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2020年9月

テスターの誤差を解消する原始的な手法

 本日はフロントフォークのスプリングを測定しました

 当社のテスターは最低単位が0.5Kからです。つまり0.9Kの値は測定できません。ではどうすれば測定可能になるのか?簡単な話で測定単位を上げます。0.9×10mmで9Kとなりますから、スプリングの圧縮量を1mmではなくもっと増やせば良いのです。

 測定誤差を解消するのにも、この手法は役立ちます。10Kのスプリングを10、20、30mmと圧縮量を増やしてゆけば、小数点以下の数値が繰り上がり、測定可能になり誤差も解消に近づきます。

 リアショックでは問題となりづらいのですが、フォークスプリングは圧縮量が増えるに従い、たわみが大きくなりやすい傾向があり、そうなると測定値に変動が起こります。従って圧縮量を増やしつつもたわみが現れない範囲での測定が必要となります。

 

 スプリング測定に興味がある方は、是非当社を活用ください。

 

 

2020921232120.JPG写真はリアスプリングの測定風景

 

ドビッシューの月の光

 クラスィック音楽は好きですが、今回は音楽に関する話題です。

 日曜の早朝、西部邁さんの「妻と僕」を読みんがらドビッシューの「月の光」を聴いておりました。とある演奏において、大好きな月の光が奇妙に聴こえます。
 つまり慣れ親しんだ、テンポやタッチではないため不快にすら感じます。そこで辻井伸行さんの演奏を聴いてみたところ、とても心地よい感触を得られました。

 辻井さんの演奏はたくさん聴いていた訳ではないのに、彼の音は私には馴染みがある。辿り着いた結論は「美意識」にあると考えるに至りました。

 つまり間の取り方、音の出し方は好き好きであり、そこから演奏者自らが美しい(良い)と感じる手法をとり、それを曲に載せる。そして受取手(聴き手)は自身の経験から形成された美意識に基づき音楽を判断し、良し悪しを決定するのではないでしょうか?

 バイクの乗り味に関しも同様で、セッティングには作り手の感性という名の美意識の集合体であり、美意識のない人間が作った、セッティングした車両は魅力に欠ける物となります。

 以前にもブログに書いたのですが、だからこそメーカーの車両作りを行う方は思想、哲学を知り芸術性を高めなければ愚劣な車両が大量生産される恐ろしい惨状が発現するのです。

 私の様な街のサスペンション屋であれば、対象となるお客様はごく少数ですが、小さなメーカーですら顧客対象は数十万から場合によっては一千万人超となり得るわけで、であるならば軸となる美意識を鍛えなければならないと、感じます。

 

 

GPZ900Rの純正エアサス

 初期のGPZ900R・ニンジャは一般的なコイルスプリングの他に、エアで加圧し調整を可能にする機構が採用されていました。

 このダンパーは当社でもO/H不可としていましたが、近年では古い物を古いままに乗りたいと考える方が増えた様で、多様な旧車の純正ショックをオーバーホール可能にしてきました。
 この度の依頼でGPZのエア加圧型も作業可能にし、いくつかのオプションも設けることでなるべく価格を抑える手法からトコトン手を尽くす内容など、選択肢を用意できました。

 金額よりも純正そのままという点にこだわりを持つ方には推奨いたします。

 

 

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スプリングテスタで知る

 米国からスプリングテスタが届きました

 これまで外注さんに測定をお願いしていたのですが、テスタを購入し自社測定を可能にすることで素早く、それなりの精度で数値を得られる様になりました。

 この結果、O/Hついでに測定する追加作業(オプション)が可能となり、お客様にも喜んでいただける様になりました。
もちろん仕様変更の大幅な時間短縮につながりますから、お客様にも大きな便益をもたらします。

 バネの現実

 https://youtu.be/GBp68t4DuKI

 https://youtu.be/N-n3Issc_SU

 二本の動画で検証し説明していますが、シングルレートのスプリングでも端の一巻きが密着していなければ、本当の単一定数とはなりません。本来なら得られるはずの反力が想定よりも小さい値となり、これがメーカーの違いで同じ値でも柔らかい、固いの評価に繋がるのだと推察できます。

 今後はダンパーテスタも購入し、さらに微細に検証を行って行こうと思います。

 

 

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オーリンズのフロントフォークをO/H

 今年はオーリンズ祭り

 オーリンズのオーバーホールは以前から沢山依頼がありました。今年に入り販売も多くなりました。ですが、右から左へそのまま流すというよりも仕様変更や設定のない車両へ作り替える事も多くあります。

 今回の話は通常O/Hに関してです。写真は旧倒立フォークです。難しい構造ではありませんので、作業は捗ります。気をつけなければならないのは、オイル粘度が一般的な倒立ようとは若干違います。
 専用のオーリンズフォークオイルは税別定価が4800円とかなり高価です。しかし代理店との約束があり、オイルは専用品を用います。

 性能面でも悪くないと思います。非公式にはMotoGPと同じオイルだそうです。

 部品代も高く、作業工賃も相応に高額なのでオーリンズのフォークを高級する際は後々のメンテナンス費用も事前調査を行った上で、購入を決定するのが良いと思います。

 改造しセッティングを詰めサスで遊びたい人には良い品なので、どうぞ楽しんでください。

 

 

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オーリンズのフロントフォーク959Panigale

 CB1300SFとパニガーレの2台持ちのお客様が、ドカティにオーリンズを取り付けたいと申し出があり、前後に投入しました。

 フロントフォークはスプリングレートを交換し、シム組みも変更し納車。ギャップのいなし方など純正フォークでは味わえない喜びを見出した様です。

 オーリンズのリアショックが届くまでの間、フロントのみオーリンズ、リア純正改造状態で走行していただきましたが、それでもかなりの性能向上を感じ取れたそうですが、満を期して投入したリアのオーリンズにより、フロントと高い水準で前後の均衡を調和させられる様になり、驚くべき潜在能力を有する車体はセッティングでその能力を十二分に発揮させています。

 純正では改善点が多く、機構上の制約により上記の素晴らしいセッティングはなかなか達成が難しく、だからこそ社外品を投入します。しかし、オーリンズですらそのままでは全ての乗り手を満足させる事は無理なので、個人個人に合わせた仕様変更を当社が担います。

 近年のオーリンズは性能、品質、機構が価格と高度にバランスしており、価値のある仕上がりになっていると評価できます。

 ご自分の車両をより自身に合わせ込みたいと考える方は、是非相談ください。

 

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MVアグスタF3のフォークカートリッジ・キット

 F3のフォークカートリッジキット

 数年前に販売したF3のフォークカートリッジキットですが、街乗りように製作したこのフォークでした。それを筑波TTに出走するため中古として購入したお客様からO/Hの依頼があり、作業を行い無事に終えました。

 このカートリッジは圧力が変化しないためにプレっスィオーネ(圧力)ゼロという面白い仕組みです。簡単にいうと、ステアリングダンパーにシムをのせたピストンが入っているのですが、元全日本でメーカー契約をしていた様なライダーさんからも高評価をいただけました。

 価格は26万円ほどもしますが、これは到着してから車種別に合わせ込む作業に加え、全分解で点検を行うためです。

 O/Hも普通のフロントフォークと比較し高額になります。カートリッジとフロントフォーク全体のO/H費用は約8〜10万円です。ただし格別な乗り味を提供できる自信がありますので、イタリアブランドに拘りを持つ方には最適な一品です。

 一番面白いのはトップキャップです。非常に凝った作りで、減衰調整、スプリングプリロードの他に車高調整も可能にしています。これは説明が難しいので省きますが、突き出しの変更を行わず、トップキャップにある調整箇所を使い変更できる様になります。

 この利点は0.1mmの変更にも容易に対応可能な事にあります。しかもバイクに跨ったままで変更可能であり、素早く微細な調整が行えればライダーの思うままにセットアップが仕上げられる訳です。

 興味のある方は一度問い合わせ下さい。

 

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R6のTTxと前後ショック

 お客様からの依頼でヤマハ・YZF-R6の前後ショックを手掛けました。

 フロントフォークは難しい

 2007年位から採用されたYHS製造のフロントフォークは特殊工具がなければコンプレッションアジャスタと減衰を発生するカートリッジが外せません。普通の工具しか持たないお店でO/Hを行うと、シール交換とオイル交換だけが可能です。

 エンジンのO/Hを行いたいのに、漏れた部分のシール交換とオイル交換しかできないのと同義です。当社はもちろん工具を用意していますので完全分解が可能です。
 今回はシール交換を主としてスタンダード・ラインでの作業でしたが、おまけとして減衰機構を分解し有効ストロークの延長と洗浄をしっかり行いました。

 スプリングはオーリンズの品が使える様に、アルミで変換カラーを製作してサーキット走行に備えます。

 リアはオーリンズのTTxRTを採用

 リアショックお客様の要望でオーリンズのTTxを用いました。新品を発注したのですが、国内在庫がなく納期も数ヶ月先と返事があり、納期を優先する事から丁度中古で在庫していた品をO/Hして取り付けました。

 リアは特別な仕様変更はなく、オイルと部品交換を行い取り付けます。そこから前後の帳尻合わせに終始し、セットアップは上手く出せたと思います。

 この頃のR6はフロントからの旋回性を重視した車体作りな様で、他社と比較しても旋回初期の回頭性は高く、出口では(当時としてかなりパワフルな)アクセルをきっちり開けて脱出する狙いに思います。

 この車両はサーキットを主に街乗りもたまにするのですが、茂原や筑波コース1000の様な小さめのサーキットを走るので、それを想定して前後のスプリングレートはあまり上げず、姿勢変化を作りやすい仕様で作りました。

 その設定が功を奏して、街乗りでの乗り心地も良好です。乗り心地と聞くとサーキットには不要なのでは?と感じるかもしません。ですが乗り心地が良いとはサスペンションの観点からすると、路面とタイアの接地がしっかりなされている。と言えます。だから乗り心地が良い。接地がしっかりしているとは高いグリップ力が発生される訳で、タイム短縮を図るサーキット走行においても有益です。
 つまり、速く走るためには乗り心地が悪いとタイムは縮まらないのです。これには注意点があります。それは「その速度域に置いて」と言う事です。100Km/hと300Km/hで全く同じセットアップは存在しないので、狙った域内において、乗り心地を優先すれば自ずとタイムは縮まります。その領域を超えタイム短縮を図れば、乗り心地が悪化する場合もありますが、それはスプリングレートやダンパー特性、車両重量、各部品の重量を合わせこめば更に高い均整が可能となります。が、金銭面の負担もプログレッシブ(漸進性)を増し、お財布に厳しい車になりますので、ご自身の都合に合わせた改造が望ましいと思います。

 相変わらず話が長く、補足説明も長くなりましたので、本日はこれにて失礼します。

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959Panigaleのオーリンズ

 959パニガーレのオーリンズを改造

 純正でザックスとオーリンズの二種類のリアショックがある様です。今回は純正オーリンズを改造します。社外品のオーリンズもあり、そちらはTTxGPなどハイエンドが用意されています。

 純正TTxも悪くないが、仕様変更を行います

 購入いただいた方は、自分でセットアップを行いますし、かなり微細な情報を嗅ぎ分けます。その様な方には面白い事を提供してみようと思います。スプリングを三種用意し、その場でスプリングを交換、試乗を繰り返し自分に一番あったバネを選ぶのです。

 普通の方は同日でスプリングを組み替えて、セットアップを繰り返す様な事はなかなかできない経験です。ですからそれは経験値を大いに高め、二輪車の理解をより深めるはずです。

 今回は内部の減衰設定も変えておきます。スプリングの設定をより詳細に構築できる様になると、次に見えてくるのは減衰です。ですからこの仕様変更を行った設定でも足りなくなれば更に乗り手に合わせた仕様変更が求められるはずです。

 

 体験を提供してゆきます

 今回の様にダンパー(20万円)を購入し、スプリング交換、サスペンションの脱着などフルセットで行うと総額は40万円を超えます。しかし、これだけ価値のある体験を提供できればお客様は飛躍的に経験値を高め、ご自身のセッティング能力もそれに合わせて高まります。こういう経験は他ではできませんからご自身の予算に合わせて相談くだされば、最適な経験を可能にする企画を提供します。

 

 

 

なぜオーリンズなのか?

 ここ最近、オーリンズの販売を強化している理由を話します。

 オーリンズは本当に良いのか?

 当社は創業当初からFGの販売とオーバーホールを手がけてきました。しかし昨年からオーリンズにも力を入れています。それはなぜなのか?

 1 性能が”良くなった”
 これまでもオーリンズの良い面と悪い面を見つめてきました。しかし、本当に良いと思える品は数が少なかった。この数年のフロントフォークは本当に素晴らしいと言える品質であり、それに触れる機会が多くなるにつれ、フロントフォーク、カートリッジキットなどは他メーカーに勝と感じています。
 ピストンのデザイン、表面処理、精度、製品の安定性(要するに品質)などがその主因です。FGは発想は良いのですが、精度、品質に問題があり手直しを行うと価格が大幅に高くなってしまう大きな課題が未だに解決できません。

 2 入手が容易で安定している
 販売しているお店も多く、入手経路が多いのは買い手にとっては良い事です。製品群として販売されていれば性能は同じですから、あとは価格競争となり買い手にとっては良い環境が生まれます。逆に売り手には厳しい競争が課せられます。
 当社は定価販売しか行いませんし、手直しやセッティングを含めると定価の2倍となる場合もありますが、他ではできない事をして競争相手を排除する事で生き残りをかけています。

 3 どこでもオーバーホールできる
 販売量が多いだけにオーバーホールを行うお店は多く存在します。これも良い反面、作業水準の高低も多いため作業するお店を厳選しなければ、痛い目に合うこともしばしばです。

 4 固定観念が良い
 皆さんも”オーリンズ”と聞けばレースやGPを思い浮かべるのではありませんか。これはブランディングの成功事例として典型です。レースで勝ち販売量を増やし利益を出す。そしてまた同じ循環を繰り返す。ロレックスに代表される寡占企業の優位な点です。これにより皆さんのオーリンズに対する固定観念はより向上するわけです。

 これからの方針

 当社のオーリンズ販売方針は良い物、お客様の求める物を販売し、その良い点・悪い点の情報発信を行いお客様の選択の一助になるよう心掛けます。

 もちろん継続してFGの販売も行いますが、こちらはかなり高額なのであり、普通とは違った逸品を求める方の選択肢として大切にしたいと思います。

 

 

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