2020年3月
DR-Z400の前後ショック
いつものお客様から新たな依頼があり、スズキのDRーZ400の前後ショックを改造します。
走行風景を簡単な動画で公開していますので、興味のある方はご覧ください。
https://youtu.be/09VHYU9vv30
リアショックはシリンダー径が50mmある、十分な容量を備えた造りです。しかしスプリングレートは街乗りからミニバイクコースを走るには不足気味で、これを走る環境に合わせ変更します。減衰特性もそれに合わせ変更です。
大きな課題として今回はフロントフォークを考えています。それはスプリング加圧されるこのサス(国内4メーカーが採用するモトクロッサー全般に当て嵌まる)は、加圧するのは良いと思います。しかし加圧される密閉空間のカートリッジ内部が、構造上エア抜きが行えずかなりの量の空気が入り込んでしまいます。それらの影響を極力抑えようと、カートリッジ内部(密閉空間)に空気だまりとも言える部分を用意していますが、対処療法たるこの手法では根本が解決しません。そこでどうにかしてその構造を改められないか、それを題材に今回の改良を進めます。
オーリンズはWPは同様の手法を持ちながらも、解決策を明示しています。これは勿論「マニュアルなどで公表している」のではなく「造りを見て考えれば分かる」という事です。
前後のスプリングレート、イニシャル量、減衰特性、エア抜きの技術、表面処理の改質。これらをどのように改善するかを技術的に公表できない部分はありますが、なるべく公にして報告してゆきます。
モンローのダンパーを作業中
旧車乗りにはマルゾッキやコニーが注目の的のようですが、モンローファンの方もいるようです。
数年前に依頼いただいたモンローのオーバーホールを紹介したブログをご覧いただいた方から、新たに依頼がありモンローのオーバーホールを進めています。
溶接タイプのダンパーはその性質上、どうしても大掛かりな加工を必要とします。今回も純正のボディーを削り取りアダプタを製作し再利用可能にします。30〜40年前の品です。開けると強烈なオイルの悪臭が周囲を包みます。
リバウンドストッパーと呼ばれる衝撃吸収用の部品は朽ち果て、ボロボロになってダンパー性能に問題を起こしていました。それらの問題を解消し、製図を終えたこれからは、実際の部品制作へと写ってゆきます。2週間程度で作業をえる予定です。
PCの効率を追求する
このところ人気のないYoutube日々更新しているのですが、動画をアップロードするのに編集作業が必要となります。それに加えてフォトショップやイラストレーターを同時に動かすと2019年のiMacでは荷が重い様です。こうなるとiMac Pro、Macbook Proに触手が伸びるわけですが、これらの作業ではまだ利益を生み出していない現状、今ある物でなんとかするしかありません。デスクトップの動きが遅くなるなら手持ちのMacbookを使い二台同時起動で対応しています。
実は事務所にウィンドウズ機があり、そちらも使い道がないので活用方法を模索しています。
キーボードやマウスをロジクールの品に交換します。このメーカーであれば同時に3台まで簡単な切り替えで使える上に、違うPC(クラウドで繋がっていなくても)間をフロウという機能で(マウスに記憶させ)データを移し替える事ができます。
現在のメインiMac、先ほどのウィンドウズとMacBookをこれらのマウスとキーボードで行き来すれば、かなりの時間短縮が可能になります。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07XQ6XD8G/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o00_s00?ie=UTF8&psc=1
コンピューターを活用してどれだけサスペンションの機能を高められるのか?お客様に還元できるのかを追求してゆきます。
高福祉社会と税率、焦点はインフレ
今日はアルバイトに梅山が来てくれました。
彼とはたびたび経済政策やMMTに関して話題にします。
MMTが正しいと仮定し、なぜ北欧の高福祉国家にて税率が高いのかを話していました。
税率が高いのは一般に「その分のお金を福祉に使うから」と考えられている、またはそのように報道されていると思います。
しかしMMTから導き出せる答えは違ったものになるはずです。私の理解が正しければ、税率はインフレ率を調整しているに過ぎない。つまり題材としている高福祉国家の税率が高いのを私の言葉を持って説明すると「稼いだ所得の大半を税金として持ってゆかれると、否応なく消費は抑えられる。その抑えられた消費=社会の資源(リソース)を高齢者等の福祉に充てる」という事です。
税金というお金を使うのではなく、税金により使えなくなった資源(リソース)を充てているのです。
サスペンション、バイクや車に留まらず物理現象、相対性理論から導き出せるミクロとマクロの現象を考えたりと、日々楽しく過ごしています。
Moto GuzziのV9Roamer
近日、動画で報告しようと予定している車両はモトグッツィのV9Roamerです。
依頼につながった経緯として、純正の乗り味がなんだが刺々しく感じる為、乗り心地を改善したいと希望されていました。
またがりサスを動かして感じるのは、殊更フロントの雑味に強い印象を持ちます。オイルシールに代表される摩擦部品の抵抗感が拡大され伝わってるく感じでとても不快です。
リアはスプリングが2段ばねになっており、ソフト側がとても柔らかくハード側に切り替わるスイッチ感が明確で、高級感がありません。それに伸び減衰が大きく不足している事でバイクが落ち着かない。
これらの点を改善する為に前後ショックの仕様変更を行いました。両者とも完全分解により細部まで研磨に減衰特性の変更、バネ交換を含め純正ベースでこれ以上ないという程、私の考える理想の仕様へと手を入れました。
リアで肝になるのは、スプリングレートと伸び減衰です。対してフロントは摩擦抵抗のコントロールに焦点を当てました。
ついでにシート高で10~20mmの少しのローダウンも行い、足つきを若干ですが改善しています。この程度の数字であれば、乗り心地と操縦性を犠牲にしない・・・というよりも向上させる事が可能です。
本日は天気が悪く試乗を行えませんでしたが、明日の日曜日は天候の回復を待って試乗を行いその模様を動画にて報告しようと思います。
焼入れ部品を削る
旧知の車屋さんから、エンジン部品の加工依頼がありました。
どの部品かはわかりませんが、ギアの軸に圧入した部品が取れなくなり、旋盤で削り取って欲しいとの依頼です。ベアリングのレースは焼入れされており非常に硬く、それゆえに対磨耗性は非常に高いものがあります。それ故に削るのはとても困難です。
当社の旋盤は汎用機としては一番大きな部類に入り、バイトの太さは1インチ(25mm角)ありまして、かなり力強く削れます。それだけガッチリしている機械でも超硬チップで一度に削り取る量は0.1~0.2mmが限界です。それを30~40回繰り返して、ベアリングレースが無事に削り取れました。
技術というよりも、道具と忍耐力があれば誰にでも削りとれますが、なかなか骨の折れる加工でした。
BMWのS1000XR
本日は表題にあるBMWのS1000XRを50mmローダウンし、その車両が完成したので試乗を行いました。
少し涼しいけれども好天に恵まれた中、バイクで走るのはとても心地の良い行為です。50mmのローダウンで身長165cmの私でも全く不安なく取り回せる様になったS1000XRですが、走らせてもかなり好感触です。
短くなったストロークをしっかり使える様、前後ともにスプリングレートは上げました。ブレーキ、旋回、加速を過不足なくこなし、Uターンも気軽でした。
ストロークが短くなりましたが、フロントフォークには不満がありません。ただ、リアは速度が高めで負荷の大きい段差を越えると、バンプラバーに接触しているのがわかります。この辺りは極端なローダウンを行った際に、厳しくなる局面です。
電子制御のサスペンションに目をうつせば、切り替えスイッチで「ダイナミック」と「ロード」を選択可能です。ダイナイックの方が柔らかい様です。
この仕様で少しキツめの減速から倒し込みを行うと、リアの接地が弱まり怖さを感じます。ロードでも若干不足気味なリアの伸び減衰は、ダイナミックではより顕著となります。
正直、それ以外の場面で両者の明確な差は体感しづらいと言うのが、私の評価です。ただし走行距離は20km程度な為に、1日走ってツーリングを楽しめばまた違った評価がある様に思います。
特筆すべきは強烈なエンジンです。S1000RRよりはかなりパワーダウンされていると思いますし、レブリミットも下がっている様ですが、不必要に速い様に感じます。低速のトルクはかなり好感をもていますが、高回転は恐ろしく速くて、この車体構成であれば120馬力くらいで十分だろと考えます。ただ視点(環境)を変えれば、速度無制限の場所では200km/hで巡航するにはこの出力があると便利なのかもしれません。
そのほかグリップヒーターは強烈に暖かく、この辺りはBMWが昔から優れている点です。シフターも低速できれいに作動するし、全体的にとても良く出来たバイクです。
この様な新しい車両を預けていただき、大きな改造を行えるのはとても幸せに感じます。そろそろ17年目になりますが、開業から1年くらいは大きな仕様変更の依頼もなく、現在の一月に何台もこの様な依頼をいただけるとは考えもしませんでした。有り難いことです。
今後も質の高い仕立てを行えるよう、いろいろな環境を整備してゆきたいと思います。
フロントフォーク大改造
昨日納車したアプリリアのRS250ですが、人生において1〜2位を争うほどの大改造を行いました。
インナーチューブとアクスルブラケットを分解し、純正のカシメを旋盤で削り取り、ネジを切り直しそれにハマるアダプタを製作。さらにそこに嵌合するカートリッジの部品を旋盤で作りました。その辺りはOリングで密封する必要があり、オイル漏れ対策の加工も施します。
カートリッジ減衰の設定も大排気量向けに使う事が多い社外の品であり、250の2ストロークには設定が難しい部分があります。そうは言えども作らなければなりませんから、いろいろ考えを巡らせ簡単な解決方法に至りました。
その手法を用いて圧減衰は一度の組み直し、伸び減衰は考えたそのままでかなり良い動きをみせ、とても助かりました。
その後はスプリングカラーの製作など簡単な部品を作り無事に終わりました。
この経験を踏まえ自分のBT1100には、ガス加圧などの複雑な要素を取り入れた仕組みを自作し、実験材料としてみます。それにしても、今回のフォーク製作における問題解決と部品製作は為になりました。
失敗談
先日納車したマセラティの222SRですが、過大な失敗談があります。
フロントの純正ストラットにおいてスプリングを受ける皿を、車高を下げるため下方に移設しました。ところが車体に組み付けホイールを取り付けようとしたら、タイアと干渉します。
取り付けを担当していた梅山の敗残兵の様な顔が、今でも脳裏から離れません。しかし、そこで気持ちが折れたのではいけません。中小企業の親父は常に問題を解決する事で生き延びるしかないのです。
そこで早速溶接した皿を切り離し、低温で再度溶接することにより短時間で皿の移設を終わらせ、その間にリアショックの組み付けを進め11:30に車体への組み付けを完了しました。遅くまで残ってくれた小野寺と中村には感謝の念が絶えません。
組み付けから三人で試乗を行いましたが、これがまた良い出来で路面のギャップをたやすくいなして行きます。フロントの純正ストラットは伸び減衰を少し強めつつ、縮み側は少し大きく抜きました。
リアのビルシュタイン(社外)も大きく抜いた縮み減衰と、立ち上がりのポイントを動かした伸び減衰の組み合わせが中々に絶妙でした。
お客様にも満足いただけて、私も良い勉強になる一台でした。次の四輪はスウィフトスポーツが予定されており、これも折角なのでさらに洗練した乗り味を追求する一台に仕立て直すつもりです。
春のキャンペーンを企画します
コロナといえば、ファンヒーターか車名、私にとっては太陽コロナと言ったところです。
しかし昨今はウィルスのコロナと消費税のダブルパンチで景気の減速も一層の高まりを見せるので、増税とコロナを吹き飛ばすキャンペーン(仮名)を考えております。今週中には内容をまとめ、各種ソーシャルメディアで発表いたしますので、バイクや車の改造を考えていた方は楽しみにしてください。