2020年2月
NSR250,MC18のリア周りを仕立て直す
昨年依頼をいただいていた、NSR250MC18のリア周りがなんとか完成しました。
レース用車両のため車高が大幅に上がり、何よりMC18にガルアームがついておりリアショックの寸法が大きく変わってしまい、普通の手段では取り付けできません。そこで純正のMC18のリンクプレートを用いて、コネクティングロッドとダンパーの長さを変更し(調整式に改める)事で普通に使えるようになりました。
MC18のリンク周りは以前にも計測した事があります。しかしMC21以降は未計測なので今回はかなり手間取りました。
フレームとリンクプレートは88、スウィングアームは90を選ぶと、ダンパー自由長はかなり短くしなければなりません。コネクティングロッドの長さも変更した方がダンパーを作る際の自由度は上がります。
以前はターンバックル型の調整式コネクティングロッドを製作していましたが、価格が合わないので販売を中止しました。販売数が見込めそうなら、使い勝手をよくしたターバックル型、価格を追求するのであれば調整の手間はかかりますが、正ネジ式のコネクティングロッドも製作可能です。
コネクティングロッドとダンパーの両方に長さ調整機能を持たせると、レバー比が変更可能になり難しい反面、面白さもあります。同じスプリングでもリンク比を変更すると驚くほどに硬さが変わります。変化率なども好みの位置へ移動させられますが、純正値をしっかり把握し元に戻せるようにする準備と、バイクの動きの良し悪しを判断できなければ無用の長物どころか、害悪もありますので全ての方に勧めるわけではありませんが、レースなどで使う方には良いと思います。
ダンパーとコネクティングロッドのセット販売も行っています。選ぶ品にもよりますが、20〜30万円程度が目安となります。NSRのリア周りで悩む方は連絡ください。
今日の反省。
今日は夜になり販売店様から電話を頂き、当社の気配りの不足で末端のお客様に不快な思いをさせてしまったと、連絡がありました。
具体的な話はできませんが、これを踏まえ私用で残っていた社員の小野寺とともに反省点を確認し、今後へ活かして行こうと話し合いました。
車両の素性をよくすれば・・・
本日の夕方公開の動画は、昨年仕上げたヤマハのFZ1フェザーを取り上げました。
動画でその感触を説明していますが、前後ショック、タイア、ブレーキを上手に取りまとめると車両の素性がとてもよくなります。試乗の時に50~60km/hから急減速して、フロントタイアが鳴くまでブレーキレバーを握り込みます。その際に安定性、制御性、伝わってくる情報量など判断基準は多々あります。
上記の作り込みが素晴らしいと、タイアの限界点が素直に伝わって来て全く怖さがなくABSを人間の感覚で作動させられる「人間ABS」が発動します。フロントエンドの構築だけでなく、リア周りの作り込みを含めたパッケージ(PKG)でこれらの特性が作り出せます。
電子制御を否定する訳ではありませんが、それらに頼る前に車両の作り込みがよく出来ていると、電制が不要と思える様になります。そこから更に緻密な電制を介入させれば鬼に金棒なのですが、一般に走っている車両は「小学生に金棒」といった様相で金棒=電子制御を使い切れません。はっきり言えば余計な制御を介入されて不愉快に感じます。
この辺りはライダー・ドライバーの技量も合わせた話なので、絶対ではありません。が、私の様なサーキットを走ったことがある程度の一般ライダーで、この感覚を得られるので、それなりの数のライダーにはも当てはまる話ではないかと思います。
このフェザーが仕上がったのは4月ごろだったと記憶していますが、その後にこれと同じくらい素性の良い車に乗りました。それはMarcedes BenzのW211型E350です。タイアのロック限界でタイアが鳴り始めると、それをブレーキペダルで調整できる上に、そこから更に踏み込んだところでABSの介入が始まります。
二年前、 Ferrariに乗って感じたのは「自分の作る車両はフェラーリと同じスポーツ性を有している」という点です。これを街乗りの車両で(私なりの)最上を模索してゆくとメルセデスに行き着く。もちろん他にもポルシェなどの素晴らしいメーカーはありますが、代表的な二つのメーカーが私の目指した乗り味と同一線上にある様です。
二輪車の市販状態でこれほどの質感を感じたことはありませんが、四輪では存在する事実。新車価格で2,000万円以上するフェラーリ。800万円近辺のメルセデスでこの価値観をぶつけてくるとは感服します。
近年でこれに迫ろうかという車両は一台だけ、現行型の前後KYBショックのYZF-R1が、調整は必要とするもののかなり上質に感じました。
昨晩、二十年の付き合いがある知人とだいぶ長く話をしました。その方は私がバイク屋へ就職する前からの知り合いなのですが、これからセイクレッドグランドがより繁栄するのではないか?と言ってくれました。確かに40歳を迎え、提供できる乗り味が年齢に見合って来たこともあり、四輪で私が求める格好良さである「大人のセダン」を、二輪車にも落とし込める様になったという証左が、前記のFZ1フェザーの仕上がり具合です。
別の友人が提唱してくれたRCT(ロードコンタクトテクノロジー)という概念がこれらを支える根底にあります。この件は以前にもブログで何度も取り上げましたが、近日、この概念について話す動画を撮影しようと思います。
自宅のネット環境
昨年の夏の終わり、家族で千葉ニュータウンにあるイオンへ出かけました。
それまで自宅のネット環境はポケットWi-Fiでした。この持ち運び可能なWi-Fiは電波の入りが悪く、充電等の問題もあり正直使い勝手の良いものでは無いと感じていました。
そこで私とカミさんの電話契約を50GBへと大幅に容量を上げ、ポケットWi-Fiを解約。月額料金はほぼ変動ありませんでしたが、使い勝手は大幅に向上しました。携帯の電波は強力でほとんど問題が起こりません。契約の内容でYouTube,Twitter,Facebookなどは容量に干渉しないため、とても助かっています。
自宅でのPC 業務はMacBookを使っています。これは携帯のテザリングでネットに接続します。何ら問題もなく動画鑑賞やAdobeも十分な動作です。しかしPCの能力がそれほど大きく無いので、動画編集後の書き出しにとても時間がかかります。iMovieは元々書き出しに時間を費やしますが、この自宅環境ではさらに悪化します。
プレミアプロの書き出し速度はとても早いのですが、このPCで動かすのは負担が大きそうです。
意外なことにイラストレーターは何ら不満なく動くので、自宅でカミさんに習いながら少しづつ勉強しています。
一年前では考えられないほどパソコン関連に時間を割いておりますが、これも案外サスペンションに繋がってくるので、自分でも楽しんでいます。
プレミアプロのレガシータイトルから学ぶ
Adobeのフルセットを購入しました。
すでに一月近く使っていますが、プレミアプロにはだいぶ慣れてきました。しかし、簡単な編集のみでカット、ディゾルブ(モヤモヤ〜っと画像が変わる、あの感じです)などの超基本ばかりです。
そこでレガシータイトルと呼ばれる文字を入れ始めたのですが、これの編集がいまいち上手にできませんでした。が、触っているうちに少しづつ慣れ、簡単に短時間で色々な編集ができる様になりました。人間は放っておいても日々作業を続けると年率で2~3%は効率が向上するそうです。
ちょっとの興味が作業可能な範囲を広げ、作業の質を向上し時間を短縮させます。
このレガシータイトルを編集しているときに、ふと触り方がさっぱり分からなかったAdobeのイラストレーター(略してイラレ)も、似た様な操作方法に思えてきました。イラストレーターはあまり触る時間がないので、現状ではさっぱりわかりませんが、会社のPC(iMac)は画面が大きいのでそれを使いたい思いもありますが、自宅でも使えるMacbookが便利で・・・などとあれこれ考え、結局は未だ手付かずでございます。
そのうちに動画クリエーターとしてお金を稼いでみたいものです。
NSR250SPなどのピストンリング加工
NSRのリアショックは通常、ピストンリングの交換ができません。
ピストン丸ごと交換なら問題ありませんが、そのピストン自体が販売されておらず、使い回しが常です。今回は分解時にピストンリングが傷んでしまったので、ピストンを加工して対処しました。
旋盤加工で作業を行いますが、芯をキッチリだして加工寸法も1/100mm程度の±で仕上げます。この加工を済ませれば今後はピストンリング料金だけでメンテナンスが行えますので、お勧めの作業です。古くても新しくてもこのピストンを使うダンパーは数多くあるので、オーバーホールの際はお客様に提案させていただいております。
NSR250に限らず、特にヤマハのランツァは代替え品もなく同加工は必ず施工するのが良いと考えております。
オーリンズも販売しています。
実は、当社はひっそりとオーリンズの取扱店です。
先日、NSRmini・NSF100用のTTxが同時に2セット売れました。これはミニバイクライダー、カワイちゃんRが紹介してくれた若者二人が縁あって購入してくれました。
他に近所のバイクショップ、ライダース様がZRX1200ダエグのリアショックを購入くださり、今年はオーリンズの年になりそうな基調です。
当社はFGに限らず、オーリンズの購入に対して助言等を差し上げながら、お客様に最良の選択を行える様な活動をしております。
価格は定価からメーカーの販売価格よりも更に上乗せする場合があります。しかし、それには各種のサービスが含まれており、価格以上の価値を提供できると確信しておりますので、興味をもたれた方は、ぜひ相談ください。
動画編集も楽しい
最近は動画編集はAdobeのPrenierePro2020というソフトで行っています。
以前はAppleのiMovieで作業していました。
両者の違いは前者がプロフェッショナル向けであるのに対し、後者は入門用というか簡単に誰でも編集しやすい物です。これらを使い作業を行う中で新たな発見というか、考えるべき問題に突き当たりました。
それというのも、初心者用のiMovieは簡単にまとまりのある動画を作ることができます。微細な調整は行えませんが大枠でのまとまり感を演出するのが簡単です。
対してPremiereProはと言えば、初めて触ると何がなんだかわからない。どこから始めれば良いのか?全くわからないといった感じです。これは調整機能の少ないサスペンションとフルアジャスタブルの足回りに似ています。
初心者の方には色々と変更できたとしても、自分の望む方向性もわかっていないし技術もないので、ある程度集約というか収斂された、調整できる範囲は少ないがゴールを目指しやすい方が有益であると、実感しました。
逆にフルアジャスタブルで調整機構が多岐にわたり、しかもスプリングレートにシムを組み替え可能であれば表現の幅は大きく広がります。しかし、初心者の方には無用の長物なわけです。
今の私は手詰まりになったら調べながら、なんとか編集を行える程度まで到達しました。今iMovieで編集するとなると、1秒以下の領域を細かく制御できなのがとても歯痒く感じられ、結局プレミアプロしか使わなくなりました。
新しい挑戦をしていると、新しい発見や忘れていた事を思い出せて楽しく感じています。
フロントフォークが忙しい。
あるバイク屋の社長さんは「バイク屋潰しには刃物はいらない、雨が降れば良い」と話していました。
前述の言葉を適正化するなら「天候」と言うべきでしょう。暑い寒いはバイク業界の景気には非常に大きく影響します。
昨年の夏から秋にかけ暑かった夏から、急に台風で10月の週末は全て雨となり、この時は殆どのバイク屋さんが大変だったようです。
しかし、悪い事もあれば良い事もある。暖冬のおかげで今年に入りすでに春の様な陽気は、バイク業界にとっては追い風で、当社も忙しい状況です。その中で近年、営業活動を進めていたフロントフォークの依頼が徐々に増えています。
純正改造のプレミアムライン・プラスと言うメニュー化されていない(美味しんぼ的に言えば)究極の改造(または至高の改造)。スタンダードラインの基本部品交換を前提としてO/Hなど様々な内容です。
昨日はドカティのモンスター821用KYB、茨城県守谷市のK2プロジェクト様からはオーリンズの正立フォークを数セット、ローダウン用で車体預かりのショート加工用フロントフォークなど、様々なメーカーと仕様を作業しています。
モトラッド店様からはBMWのS1000RRの電子制御フロントフォークの作業も依頼がありました。このフロントはかなり特別な形状の特殊工具が必要で、自作しましたが上手に仕上がりました。
フロントフォークは作業、仕様変更で全分解した場合は非常に手間がかかります。しかし大幅に性能が向上するのが面白く、お客様に色々と提案しています。リアに限らずフロントフォークの改善を考えられている方は、相談いただければ良い改善策が見つかると思いますので、連絡頂ければ幸いです。