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CB1100EX試乗の感想

 CB1100EXの前後ショック改造を施した車両の試乗を行いました。

 前後ショックで50万円以上かけるとバイクは別物になります。と、お客様には常に申し上げております。今回の車両もその例にもれず前後ショックだけで50万円以上。総額では80万円に迫ろうかという改造費用をかけております。

 部品点数が多いカートリッジフォークの摩擦抵抗を減らすための徹底的な仕上げ、シム組による減衰設定、スプリングレート、油面、前後ショックの取り付けによる車高合わせにタイアの空気圧調整まで含めて全てが調和して、本当に楽しいバイクになると考えています。
 細部に目をやれば長く語ることになりますので、いくつかの要点を取り上げ説明します。先ずはサスペンションの動作、入力に対する反応とCBに求められる乗り味の順に話を進めます。

 サスペンションの動作ですが、これにおいて一番大切だと考えているのは摩擦抵抗です。これを可能な限り減らすことにより細かな路面の荒れもまるで存在しないかの如く、走れるようになります。そのために重要となるのがプレミアムライン・プラスと呼ぶどこまでも作動性を追求する分解組立作業です。皆様が想像する以上に全てと申し上げても良い部分までトコトン手を入れてゆきます。

 次に入力に対する反応ですが、これは主に後からは変更できない設定を指します。つまりばね定数、スプリングイニシャル(後から変更できない本当の初期値)、オイル粘度、油面、ガス圧、自由長にシム組などが当たります。これら不動の要素を基に後から変更可能なダイアル等により走りを作ってゆきます。
 ブレーキレバーを握った際のフォークの沈み込み(量、速度)をどれだけにするか?それに連動し持ち上がるリア部分の動き。一言で表現すれば「ピッチングをどうするか?」なのですが、そのたった一言を実現するためには前述の多岐に渡る内容を吟味する必要があります。
 ブレーキパッドもこの範疇に入ります。パッドにより初期制動がかなり強い品から握り込む程に効いてくるリニア型などで、フォークの動きは別物になってしまいます。

 入力に対する反応は、フロントはブレーキで変化させますが、リアはアクセル操作で変化を作り出します。開け方によりバイクの印象はガラッと変わるため、人によって好き嫌いが大きく分かれます。これはフロントのブレーキパッド選びに似た性質がリアではアクセル操作に該当するのではないでしょうか。走るのが速い遅いにかかわらず、丁寧にスッと開く方もいれば、豪快にグッと開ける方もいます。
 これによりアンチスクワットの出方が変わりますので、プリロードや伸び減衰の設定でバイクの印象が大きく変化するのです。

 CB1100という前後18インチのホイールを採用した車両は、どういった味付けが適正なのか試乗しつつ考えてみました。
 現代のスーパースポーツは加減速の際、それぞれフロントとリアに最適な荷重移動が求められます。減速時にはフロントタイアに100%か、それ以上を求めながら加速時には同様にリアに100%の荷重を求める。これは速く走るためには正解でしょう。しかし街乗りではそれは疲れます。簡単にいうと強いブレーキ操作と大きな開度のアクセル操作が求められるという事に他なりません。ですが街乗りにおいてそこまでの場面はなく、あったとしても危険な要素が増し安全に楽しく走れません。
 そこで昔のバイクのようにこのCB1100はリアへ常に印象で20~30%(実際にはもっと低い値、10%程度)の荷重を残すようにしました。強い原則の場面においてもリアの存在感が強く主張されるような、極めて安定志向の乗り味です。それだけでは曲がらないバイクになるので、フロントフォークはしっかり使えるように硬め過ぎないよう注意を払います。セッティングの当初、リアの存在感が若干希薄に思えたため、プリロードと伸び減衰の変更によりこの安定感を演出しました。この変更でエンジンブレーキを強くかけながら倒し込み回り込む場面(フロント荷重により旋回するコーナー前半)でリアの存在をライダーに伝え、どこからでもアクセルを開けて行けるような安心感を前面に表しました。これで私が考える旧車と、現代のネイキッドの良い面を併せ持つようなとても楽しいバイクにできたと自負しています。

 このバイクで一番驚いたのはフロントフォークの動きです。当社の敷地に入るには縁石がありそれを超える際に大きな衝撃があります。しかしこのCBではその段差がまるで無いかのように感じるのです。正直、タイアの空気圧が1.5kとかそんな値では無いかと疑うほどです。ただ、試乗直前に前後共しっかり調整したのでそんなはずはなく、そもそもパンクしていたらのならすぐにわかります。それでもそう思わせるほどの動きです。
 この素晴らしい衝撃吸収性はMercedes BenzのW211かそれ以上の動きです。Porscheの911タイプ996に乗った際にも感じた動くのにそれを感じさせずしっとりと収まる、ものすごい柔らかながら腰のある実のある動きです。

 この仕事を始め16年目になりましたが、初めて速い遅いの域を超えた高級な乗り味を作れたと思います。これまで四輪には「高級車」があるのに二輪には「高価格車」しかないと(私の拙い経験から)嘆いておりましが、今回のCBにより二輪車でも高級車たり得ると知り、自信を持ちました。いよいよ800~1000万円クラスの乗り味をバイクでも作れるようになって来ました。
 勿論、まだまだ上の世界があると思いますが、ここから更に上を目指し大きな部分から細かな部分まで含め、常に限界以上に挑みたいと思います。

 余談ですが、初めて感じた事象がありました。CB1100EXはハンドルがかなり高くにあります。これはハンドルポストからハンドルを大きく曲げ上方手前へと持ってきます。それにより減速で強い力が加わるとハンドルが開いてしまい、操縦性を落としていると気付きました。この部分は意外な程にライディングの限界を引き下げます。セパレートハンドルにはこの剛性の問題も解消できる利点がるとこの時知りました。
 アルミハンドル、というよりも肉厚のある頑丈な品に替えれば解消すると思います。最近ロードバイクにも用いられるプロテーパーでも良さそうです。BT1100はハンドルポストが高い位置にあり、付け加えて私の乗る後期型はプロテーパーを採用しているため、この問題は発生しません。
 色々なバイクに乗ると、面白発見があり飽きません。

 

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