2019年8月
ほんの少しで大きく変わる
本日は朝から筑波サーキットへ行って来ました。
毎度おなじみの56レーシング、筑波選手権への準備です。
走行は3本を予定し、梶山さんは全て走りました。田中くんはそのうち2本を走行。こららの走行がどの様に進んだか順を追って説明します。
エースナンバーを背負う梶山さんは少々リズムを崩し、乗り切れいて居ないと監督から話がありましたので、メンテナンスを行ったフロントフォークでライダーの気分を一新しようとの結論に至りました。
そこで今年から始めたプレミアムラインと呼ぶ、最上級のオーバーホールを行いレースへ向けた準備を行いました。インナーチューブとブラケットまで外し、全ての部品を分解することでバリや汚れを徹底して排除します。
先日行われたもて耐で得たデータを基に突き出し量も変えました。私は安易に突き出しを増やすのは是としませんが、必要とあらば柔軟に対応します。もて耐でCBRの車体姿勢に疑問が浮かび、突き出し量を変え走らせましたが、梶山さんには上手くはまった様で、安定して速いラップタイムを刻むことができました。
走行が終わる毎にライダーへ確認を行い、曲がり過ぎ、曲がらない、ちょうど良いなどの評価をもらいますが、全ての走行で「ちょうど良い」と評価を得られました。
田中君は2本目から走行を開始しました。梶山さんとはラップタイムで大きな開きがあり、走行姿勢がどうにも曲がりづらそうでした。そこで梶山さんで得られた変化を私自身の解釈により田中君の車両に落とし込み、突き出しを変え(イニシャルも)走行を開始したところ、ラップタイムが2秒も縮まりました。これまでは得られなかったフロントのフィーリングにライダーは自信を深め、走行を続けることでタイムアップが叶いました。
この突き出しの変化は2mmだったのですが、ラップタイムは大きく変化しました。
私は走る車両の姿勢とライダーのフォームを合算し、曲がりやすそうとか、変えなくてはならない等の判断をします。向きの変わらないしバイクに乗ると、体を内側へ入れぶら下がる様に走る格好になります。これは回頭性が低い証左です。
こう言った場合は姿勢を変えますが、それは突き出し、つまりはスタティックバランスで変化させる場合もあるし、スプリング系(定数やプリロード)を変化させるダイナミックバランスの二つが考えられます。両者とも変化させる合わせ技もありです。
突き出しの1mmは私の中では最低単位ではありません。FGのフォークキットを使えば0.1mmの調整も可能になります。リアショック も同様ですが、車高の静的姿勢はかなり変化を与えられます。フォークの突き出し1mmは最初はわかりずらいかもしれませんが、危険の無い範囲で走行を行うなら、5mmぐらいから始めてみるのも良いと思います。これ程変えると流石に初心者でも変化を体感できます。しかし、これは変化を体感するのが目的なのでセットの良し悪しではなく、経験値を高めるのを目標にしてください。
ライダーが良いと納得するのが一番問題が無いとは思いますが、それが必ずしも最善、最良とは限りません。梶山さんの車両はもう少し変化を持たせるべきだと、その走りを観察する中で感じて居たので、走行終了後に監督と担当メカニック(梶山さんのお兄さん)と打ち合わせを行い、突き出しを変更しました。
明日は予選でライダーの評価を確認し、方向性を見定めた後に決勝に向けた微調整を再度行います。
一般には外へ向けて発信されない様な微細な変化を続けることで、ライダーとバイクの両者が高水準に到達する過程を、筑波選手権ではご覧いただけます。それらの裏方作業も知るこ事で、選手権をより楽しんで下されば幸いです。
Showa,KYB,Quantum,Ohlinsなど
多品種、少量作業を続けております。
やはり依頼が多いのはホンダが多く採用するShowaです。ついでKYBも多く入荷しますが、最近では日本、海外問わず純正採用が多くなってきたオーリンズもそれらに匹敵するほどの依頼を頂いております。
クアンタムやマルゾッキ、ザックスならば定期的に仕事はありますが、ビルシュタイン(Bilstein)やボーゲ(Boge)ともなると、古いBMWにしか採用例がなく、私でもその作業数は百件に届きません。
Zシリーズに使われるモンローはかなり難しく、なんとか形にした水準です。
今年の春ころは分解不可能とメーカー自身が作業を行わない、ドイツのKW(カーヴェイ)というダンパーの作業を行いました。四輪は市場が大きいだけに参入するメーカーも多く、まだまだ知らない国内メーカーも多数あります。エンドレスもブレーキだけでなくダンパーを販売しています。ここのダンパーはシリンダーがアルミな上に、多分アルマイトが施されていないので、あっという間にシリンダーが削れ、オイルは真っ黒になってしまいます。
大阪の方のメーカーでクラックスというのも作業を行いました。
一度しか依頼のなかった海外メーカーの品も多数あり、それらを作業する中で面白い手法や、何かの時に役立ちそうだとその手法を控えておいて、実際に分解不可能なダンパーの改造に使ったこともあります。
多様なダンパーを作業する中で多くの手法を知り、発想が柔軟になり問題の解決策も多種多様な持ち合わせを得られました。ただオーバーホールを行うのではなく、「この構造はいつか使えるぞ」と観察しておけば必ず後に役立ちます。
今日はクアンタムの作業を進めてまいります。
BMW 3シリーズ F30試乗
先週の土曜日に初めて兄の買ったBMW3シリーズのF30という型を運転しました。
現行のG20型はホイールベースが2850mmと一昔前の5シリーズ、ベンツのEクラスに匹敵します。試乗したF30はそれよりも若干短いのですが、それでも2810mmと十分大きな車両です。
F30の前E90にも乗っていましたからそこは直接比較が可能で、読んでくださる方にも有益だと思います。
試乗した車両は320iラグジュアリーです。直列四気筒のターボモデルで最大トルクは270Nmと2.7Lクラスのエンジンと同様です。車のスペックを読み解く際に私はホイールベースと最大トルク(発生回転数も含め)を重視しています。この二つの数字が車両の特性を決定する二大要素だと考えるからです。
ホイールベースの長さがサスペンションでは誤魔化しきれない車両運動を決め、エンジントルクが動力性能を決定します。パワーは力ではなく仕事量であり、常用域で乗員はトルクを強く感じています。車が動くときに軽さを感じるには実際の重量以上に、トルク特性が重要だと考えます。
F30はすぐに軽さを感じる車でした。その要因はトルクの厚さもありそうですが、BMW特有のサスペンションセットもかなり影響していそうです。BMWは伸び減衰が必要量に対し不足気味で、逆に圧減衰は強めです。
路面に対する反応は良いのですが、ショックを吸収せずに路面からの入力を(感覚的には)増幅して跳ね返します。跳ね返す相手は車体ですから車は大きく動きます。ベンツやポルシェは逆に伸びを強め圧縮側は弱めます。こうすればサスペンションはスッと沈み、スーと戻るので穏やかな動きを演出します。
F30はフロントサスペンションがリアとの相対比較で弱く、特に伸び減衰は前後共に不足しています。旋回を開始すると内輪が伸び、外輪はあまり沈まないのでロール軸は外輪寄りの高い位置にあります。ベンツは逆に内輪寄りの低い位置にロールセンターが位置します。
F30は前後のバランスにおいてはフロントは柔らかく動かしつつ、逆にリアはあまり動きを感じさせません。
ここでサスペンションについてまとめると、絶対値として伸び減衰が不足しており、圧減衰は高速側を抜きたい。スプリングは悪くないのですが、リアは若干イニシャルが強めのようです。相対比較でフロントは柔らかくリアは硬い。この中間が良さそうです。フロントのプリロードを強め、車高を取り直せばとても良くなりそうです。
フロントが柔らかくリアが硬いということは、前後のねじれは後輪よりにあるという事です。
これまでに乗ったE46、E90、F10、G30と比較しブレーキはとても良いと感じました。ABSの効きどころも操作性もとても好感触です。ただ、フロントのダンパーが合っていないのでブレーキペダルを話すと「ピョコン」と動きます。これでは運転手も同乗者も楽しくありません。
社外品のダンパーに交換すると大抵スプリングが硬すぎて、減衰も縮み側ばかり強め正直ゲンナリします。やはり好みの車に仕上げるには自分で作るしかありません。
これまで乗ったBMW,Porsche,Benz,AudiそしてFerrariで嬉しく思うのはAピラーの位置です。とても上手に配置してあり曲がる際に顔を向けても、邪魔な位置にありません。反して日本車の殆どは、悪意を持って配置したのではないかと疑うほど、視界の中央にAピラーがあります。これは私には許せない事です。設計に関わる方には是非とも改善してほしいポイントです。
この車両はオートマ(AT)です。E90やいま私が乗るベンツW211のATでギアを変更すると、その意思に従いギアをなかなか変えません。F30はATでも切り替えになるべく従うように頑張ってくれている気がします。このおかげで少しはリアタイアの存在感を得られます。
乗降車のし易さはとても好感触です。E46のクーペはそれがとてもし辛く感じました。
BMWはどの型でもエンジンをなるべく後ろに寄せる努力をしている所為で、ミッションも連動して後ろに寄るため運転席は狭くなります。逆にそのタイトな感じがスポーツ性を感じられるので、私には好ましく思います。体感で判断する車両の前後スタティックバランスは、運転席あたりに思います。ベンツはもう少し前、ダッシュボードかその若干前あたりのようです。これはどちらが良いわけでもなく、思想の違いです。
ただ、私はベンツの方がフロントの安定感を得られるため、BMWもエンジンをほんの少しでも前に積んだ方が、より上質になるのではないでしょうか。しかしそれをすれば、BMWらしさも失われるでしょから、そうはならないはずです。
そこで、私の所有するE46318Ciではサスペンションセッティングで可能な限り、重心位置を前に持ってゆこうと考えています。
まとめると、F30は基本の作りはとても良いと感じました。特にブレーキの質を大幅に向上させたのは、目をみはるポイントです。エンジン特性も悪くありません。あとはダンパーの動かし方で車両をどのように演出するか、これでもっと楽しい車になると思います。
純正ダンパーの改造、社外品を改造する場合でもF30をもっと楽しみたい方は問い合わせください。
ネジ切り加工も色々
倒立フロントフォークのブラケット分解作業を行いました。
古くなると鉄とアルミが一体となり、緩めるとアルミがねじ山に引き千切られ悲惨な状態になります。これは保存環境など影響を与える要素は様々なため、運次第ですんなり取れたり取れなかったりします。
今回はは非常に硬く、分解したらばネジ部分にブラケットのアルミが残っておりました。それを綺麗にするにはネジ専用のヤスリや薄いヤスリを使い喰いついたアルミを削り取ってゆきます。しかし、これはとても時間がかかり非効率です。
そこに旋盤のネジ切り機構を用いることで、圧倒的な短時間でネジを綺麗にできます。この手法の問題点と言えば、失敗するとネジ山を破損、下手をするとインナーチューブが使い物にならない可能性が大きい点です。
数度の位置合わせにより、ちょうど良い部分にチップの先端を合わせて加工に入ります。最後の一山は切り上げなので慎重に作業を行います。これまでにもインナーチューブを切り、違う車種に流用した事はありますので、加工自体に緊張はありませんでした。が、機械の作業は慎重に行わなければ取り返しのつかない事になりやすいので、どこまでも慎重さを失わないように気を付けました。
無事に作業を終え、余分なカスは取り除けました。一安心です。
フロントフォークの多種多様な加工を行ってきましたので、何か問題を抱えている方は、連絡ください。
この曲好き!を考えつつ、MTとの共通点を探る
最近知った漫画がアニメ化されておりました。
そのアニメのエンディングは出演者の方が歌っており、2000年代に入った懐メロ(と言いつつ、私には最新の曲に聴こえます)をカヴァーしています。それらカヴァーされていた曲の数々は私には全く関心のない楽曲でした。
しかし、出演者の方が歌う中で「この曲良いな」とか「オリジナルアーティストでは聴きたくないが、この歌い手なら聴きたい」と感じました。
音楽を聴く際にこの曲がよい、このバンドが好き、等々いろいろ感じていたつもりなのですが、上記の一件を省みて、好きな楽曲とはどの様な要素から成り立っているのかと、考察するに至りました。反対を言えば好ましくない楽曲の特徴も答えを出せます。
「好きな曲」を分解してみるとメロディーライン、編曲、歌い手の声、曲調(メジャー又はマイナーKye)、リズム、テンポ、楽器、などかなりの複合要素から成り立ってます。
私が優先するのは歌い手の声(又は主旋律を担う楽器)が第一で、ついで編曲、曲調、楽器、リズムなどと続いて行きます。
何が言いたいのか要約すると、自分が良いと感じている事象を詳細に分析すると、意外と違った答えが導き出されると言う事です。これは私自身かなり驚きました。
私は二輪四輪問わず、マニュアルトランスミッションが好きです。これはギアを変える楽しみもありますが、一番優先しているのは、リアタイアの接地感だと気づきました。特に四輪では顕著ですが、ATでは回転数が常に低く抑えられてしまい、加速でも減速でも荷重がグッとかかりません。MTであれば自分の意思でそこを作り出せるため、MT志向だと理解できます。逆を言うと、FJRのクラッチレバー不要のバイクに乗った時にとても楽しく、カワサキH2のオートシフター、ブリッピング機能付き(つまりはクラッチレスに近い感覚)も好印象でした。
これらの事象からMTが好きなのではなく、減速時に後輪に荷重を載せやすい後輪駆動で、思う様なエンジン回転数を持続できればMT、ATを問わないと詳らかになりました。
皆様もご自身の希望をお話くだされば、いろいろな事が整理され何を求めているのか明確になるはずなので、ぜひお話に当社を訪れて頂ければ幸いです。
新車のCBR650R、ローダウン完成
新車預かりのCBR650Rが完成しました。
ホンダドリーム様からの依頼で、シート高を30mm下げました。
160cmくらいの女性が乗るそうで、シート高を下げ安心感を得られる様に施工いたしました。
フロントフォークは動きが重ったるい印象で、リアも同様でした。そこでフロントフォークはイニシャルを2mm追加し、圧減衰をほんの少し抜き動きに軽やかさを演出しました。リアはただ車高を落としただけですが、イニシャルを1段抜いて、動きやすくしました。これにより前後サスペンション共に綺麗に動く様になり、乗って楽しいバイクに仕上げられたと思います。
これほどの下げ幅となれば、サイドスタンドも切らなければなりません。これまでの蓄積で車高の下げ幅と、サイドスタンドのカット量に対する相関を理解しており、一発で決まりました。
汎用のアジャスタブルサイドスタンドもある様ですが、車種が限定されており、スイッチなどの問題もありやはり個別に対応するのが一番簡単だと考えています。
しかし、このCBR650Rは30mm車高を落とすとまるでCBR250RRの様な印象を受けます。ちょうど隣にKISSレーシングのCBR250RRがあり、比較できました。650は四気筒の分だけ横幅があり、取り回しの重量感はそれなりにあります。
私の持論ですが、二輪、四輪を問わず車両の動きを決定的にするのはエンジンだと考えます。エンジン自体の大きさ、シリンダー配列、搭載位置のちょっとした違いが大きく車両運動に影響します。
CBR650Rは車両の基本が良さそうで好印象でした。前後サスペンションを綺麗に作り込みば、かなり面白バイクができそうで、その様な依頼が来るのを楽しみに待っています。
ベンツのビルシュタインが完成
MercedesBenzの190Eevolution2のダンパーをオーバーホールしました。
ビルシュタインのダンパーでしたが、作業に際して色々と制約は多くありました。リアはモノチューブ、フロントはツインチューブです。特に問題はフロントです。
カシメを外すにも溶接部品が大きく張り出し、旋盤でのチャッキングは不可能です。そこで特殊工具を作りカシメを持ち上げ、部品を引っこ抜きました。非常に薄い部品でできたオイルシールをどの様に交換するのかは、大きな課題となります。しかし、昨年オーバーホールしたポルシェ911のビルシュタインも同様の構造であったため、似た手法を用いながら更に洗練するができました。
今回の様にオイルシールを交換するだけの内容でしたら、ダンパー単体で一台分おおよそ30万円となります。フロントを改造し再カシメではなく何度でもシール交換を行える様に改造した場合は50万円はかかりそうです。
非常に高価にはなりますが、現在の中古相場を考えれば十分に価値のなる内容だと思います。更に作動性の向上を図り各部のチューニングを進めれば、大幅に動きが良くなりそうです。特にリアのモノチューブはピストンリングが実質無いと言える形をしています。これにすべりの良いピストンリングを取り付け、シムを組み直し現代のタイアや道路事情に合わせ込めば、とても楽しい車に仕上がりそうです。
最近は純正のダンパーを見ると「ここを変更すれば、もっと良くなる」とか、「設定変更で楽しい車になる」など、楽しい車に仕上げる事ばかり考えていますし、その考える行為が楽しいのです。自分のバイク、車もまだまだ変更の余地を多く残しています。時間をかけながら、客様と同様に自分の車両を楽しいお気に入りの一台へと進化させてゆきたいと思います。
通常は作業を受けつけていません。
本日、ナイトロンのツインショックを作業依頼いただきました。
ナイトロンのダンパーはナイトロンジャパン様に整備依頼された方が、納期や価格面を考えると良いのではないでしょうか。今回は義理のあるお店からの依頼で、当社の技術力を高く評価いただいている事もあり、自社で作業を行うとことしました。
部品は契約しているナイトロンジャパン様から、正規品を購入し作業に当たります。作業手順は当社で独自に開発した手法、治具を用いて行います。
このナイトロンと同様にクアンタムも、どうしても当社に作業を依頼したい方のみ受け付けております。そのため一般的な用途、仕上がりで充分事足りる方には、むしろ余計な負担(金銭、時間など全体として)をかける事になりますので、ご自分の用途に応じて依頼いただきたいと思います。
それを承知の上で、どうしてもセイクレッドグランドでメンテナンス、セッティングを依頼したいと仰る方が居れば、望外の喜びです。決めかねている方は電話、メール、じかに尋ねて頂き相談ください。
CBR650Rの30mmローダウンが進んでいます。
ホンダドリーム様から依頼を頂いた、新型CBR650Rで車高を30mm落とす作業が順調に進んでおります。
フロントフォークは右のみにカートリッジが在り、減衰力を発生します。反する左側はスプリングだけで、オイルと油面のみでセッティングされます。左右で違う内部部品を有するために形状の違う部品を削り出し、ショート加工を済ませました。
前後ショックのバランス感は悪くなさそうでしたが、スプリングと減衰の調合がしっとりさせる事を重視し過ぎて、バネ系を弱め減衰を強めてしまう、一番わかりやすい罠にはまっている様に感じます。そこで、スプリングカラーを切る量と、シム組をほんの少々変更しパリッとした中にもしっとりした動きを感じられる様に、演出しました。
このフロントフォークは本当に面白く、左右で減衰発生機構の有無、左右でバネが全く違うなどこれまでにない作りのフロントフォークでした。左フォークに減衰機構がない事をスプリングで何かしら補おうとしている様に見受けられます。
リアショックはエンドアイを加工し、切り詰めました。当初は数種類の手法を用意していましたが、旋盤で終わらせられる内容で助かりました。リアショックもシム組を変更すればもっと良くなるはずです。
後は残すところサイドスタンドを短く切って先端を溶接するだけとなりました。この前後30mm下げの内容であれば、車両持ち込みで約13万円程でしがります。前後ショックを組み直し動きを良くさせつつ、減衰とスプリングの見直しにより乗り味の向上を図る場合は、30万円近くなりそうですが、十分にその価値のある車両だと感じました。
細部を検証しましたので、リアショックの新造も可能です。それにフロントフォークの改造。これは左右カートリッジ化に加えトップキャップ の変更で減衰調整とプリロード変更を可能にすることも可能です。
純正でも右側のみカートリッジ(減衰発生機構)が在りますので、これを調整式に改める事も十分にできます。
リアショックをFGでオーダー制作し、フロントフォークを左右カートリッジ化した場合、約45万円を見込みます。
さらにフロントフォークにオーリンズのFGK、FKRシリーズを組み込みスーパースポーツと同等に仕上げるのも楽しそうです。この車両は純正状態ではそれほどお金の掛かったサスペンションでは在りませんが、特にフロントはベースが良いので改造によりどれだけ上質な動きが出せるのか楽しみです。
楽しいバイクに乗ってみたい方は、ぜひ問い合わせください。