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2019年5月

分解するとエア抜きの精度がわかります。

 今日の午前中は、明日の全日本へ向けKISSレーシングのFGをオーバーホール行いました。

 作業内容としてはプレミアムライン水準の組みです。

 分解してすぐわかるのは、エア抜きの具合です。シールヘッドを抜けば判断がつきます。エア抜きがしっかりできていない、ブラダ型を長期間使ったなどのダンパーはかなり泡立っています。
写真のダンパーはレース用のために、かなり入念なエア抜きを施してありました。そのおかげでご覧の通りの状態です。しかし、オイルは新品なら黄色い有色透明ですが、抜いたオイルは茶色く変色しています。これでは減衰の効きが弱くなるため、オーバーホールとなりました。

 今回も詳細な手順書を作りながらの作業となり、半日かかりましたが、エア抜きもしっかり行え満足のゆく仕上がりです。

 ダンパーは機械であるため、機械加工の精度や設計者の考えがダンパーの動きを決めます。ですが、最後の最後はエア抜きの出来次第で設計者(設計値)の狙った通りに動くかが決まります。
ならば、仕様変更を伴わないオーバーホールでは、エア抜きは最重要項目だと捉え作業にあたっております。

 もしこのブログを見ている同業の方がいらっしゃるなら、その方々に伝えたいのは「一度でも使えば泡がモクモクとなるのは当然」、という認識は間違っているという点です。しっかりしたエア抜きを行えば、シールヘッドを抜いてもエアは出ません。ロッドを抜いても多少泡が出る程度です。

 一味違ったオーバーホールを体感してみたい方は、是非、ご用命ください。

 

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KWのダンパーを分解。

 連休前に問い合わせを頂き、ドイツのKWをオーバーホールしました。

 KWを「カーヴェイ」と読みます。ヨーロッパの多くの地域でWはVと同じ読みをします。

 BMWなどのドイツ車では馴染みのメーカーですが、依頼いただいたのは初めてでした。俗に言うカートリッジタイプのため、代理店ではオーバーホールが出来ないそうなので、当社に話が回ってきました。
開けて確認したところカシメ型なので、非分解型ですから代理店さんもオーバーホールは受け付けなくて当然です。
 しかしお客様は価格も安くない為にぜひ作業をしたいとの意向であり、私自身も分解してみたいという欲があったので、依頼を受けた次第です。

 以前、BMW・E90の320iのリアダンパーを分解した経験があり、その時の作りに似ていると感じます。カシメの安価な(といっても1台分で10万円を優に超えるそうですが)ダンパーのために、作りはとても簡素です。
 特に際立った箇所はありませんでしたが、ピストンリングが外れてシリンダーとピストンが摩耗材を無しに直接触れてしまい、音がなっていた様です。これは旋盤でリング溝を加工し、違うメーカーの品を使うことで解消しました。

 ダンパーの設定は非常に圧側の減衰が強い設定です。伸びは圧に対する相対でも絶対値としてもかなり弱いと感じました。この様な設定は機敏なハンドリングを狙っているいのか、相当重量のある車かのどちらかだと思います。

 直せるかどうかや、料金の交渉など手間はかかりますが、初めてのダンパーは分解が楽しみです。

 

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フロントフォーク色々

 最近はまたフロントフォークの依頼を沢山いただいております。

 BMWのS1000RやZX-12RにZX-10Rのオーリンズカートリッジを組み込んだ品などですが、ビモータのチェリアーニも入ってきています。

 現在は手順書を作りながら作業を進めているために、進行具合はやや遅いものの、これにより社内で作業の平準化が進み、個人の能力に頼らず会社としての能力を上げてゆけば、どのお客様にも安定した性能を約束できます。
 現在はプレミアムラインのオーバーホール作業を行えるのが私と梅山の二人のみです。プレミアムライン・プラスのスペシャルPKGは私しか作業できません。この辺りの特別な作業ができる人材を育て、私自身は次の目標へ移行してゆきたいと考えています。

 先日納品したCB1300SBのプレミアムライン・プラスのフロントフォークを受け取ったお客様から連絡があり、これまでの動きとは数段レベルが高くなり、驚いていると話して下さいました。
 単に良いサスペンションを提供するだけでなく、お客様が考えている以上の性能を提示し、数年乗っても底の知れない懐の深さを持ったバイクに仕上げて行くのが、私の目標です。サスペンションに限らず仕上がったバイクには製作者の人柄が、少なからず感じ取れると思います。
 

 すごいバイクを作る為にも、私自身の成長が欠かせないと感じます。それには日々多くの事を学び吸収し活かして行く必要があり、今日も読書をし、音楽を聴き、運動をして従業員と話をします。休日に妻や子供達と過ごすのもとても大切だと最近は切に感じています。

 

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筑波サーキットの走行会

 皆様こんにちは。

 昨日は横浜市の飯田輪業様の走行会へ行ってきました。筑波のコース1000です。
 ここは過去に2〜3ど走った経験があります。しかし最後の走行が6年以上前のため、走り方をすっかり忘れておりました。

 BT1100は私の腕では44:3が精々でした。ですが、全日本チャンピオンの小林龍太さんがアドヴァイザーでいらっしゃっており、小林さんの最終コーナーを走る姿からラインを盗み、1コーナーの走りを思い出し何とかタイムアップしたのが左記の数字です。

 アクセルを開けた際の前に出る感じは圧縮を上げポートを加工し、バルブスプリングの改造によりセット荷重を落としたことが功を奏し、しっかり前に進みます。

 フロントフォークは、サーキットを走るには十分な手応えでした。伸びと圧を調整可能なフルアジャスタブルにしてあるおかげで、狙い所へ落とし込むのは簡単です。シムの組み方も街乗りではもう少し抜いてもいいかと思いましたが、サーキットにはピッタリです。
 街乗りでもう少し様子を見たのち、シム組と油面を変更してみます。

 リアショック は土曜の深夜から早朝にかけて仕上げましたが、減衰が足りない(ダイアル段数を5段程度抜けるように)と感じシム組を変更しました。動きそのものは良いのですが、考えていた調整幅からずれたので、こちらも近日中に組み直す予定です。

 この走行会でアルバイト梅山の走りを鍛え、アルバイト中村の走りを確認でき、とても有意義でした。

 

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BT1100動き出しました

 皆様御機嫌よう。

 今日の午前中はYSP杉並南様から依頼をいただき、フェザー800のサスペンションセッティングへ行ってまいりました。

 詳細は今後に譲りますが、往復の道のりは愛機のBT1100でした。シリンダーヘッドの加工、バルブ周りの改造、フロントフォーク、リアショックなど沢山の変更点がありました。それにも関わらず概ね良好な走りだしで、一安心です。

 明日は横浜市の飯田輪業様の走行会でつくばコース1000へ行きます。今日の業務終了後にリアサスをもう一度仕立て直し、さらに一段上の質感を狙います。この辺りは面白いネタを仕入れたので近日ブログに書くつもりですが、キーワードは「エア抜き」です。

 BT1100は代車にしませんが、試乗車は随時受け付けておりますので、興味を持たれた方はいつでも連絡ください。

 

 

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自社製造のピストンと製作の意義

 昨日はBT1100の改造が忙しくブログを休みましたが、皆様はいかが過ごされましたでしょうか?私のBT1100は今週動き出します。

 お客様の納期もありますので、作業を終えた夜10時頃から2時まで作業を進めました。下の写真は圧減衰(コンプレッション)のピストンです。10年以上前に図面を引いて、4台分作りました。

 わかる人にはどうという事の無い、特徴のないピストンです。八つのオイル穴がありますが、なぜ八つのなのかと申しますと、フライスで長穴にすると製作費が高くなるからです。一つの大きな穴では穴の中心が真ん中に寄ってしまうため、それを嫌い小さい穴をなるべく外周付近に寄せました。

 このピストンを造り使う(シム組に悩んだり実際に乗り)事で、ピストンとシムの関係等、油圧機器の理解が飛躍的に高まりました。専門書では2/3乗型と呼ばれるピストンです。一般にリニアなどとも言われますが、これに対しデグレッシブ(ダイグレッシブやディグレッスィーヴォとも呼ばれる)はかなり違った特性を持ちます。
 デグレッシブとは字引によれば「逸脱」などと呼ばれる非線形の特性なのですが、フロントフォークにはかなり使えます。これは他の要素も大きく影響していると考えますが、現在でも市販車のカートリッジの大半に採用される、20mmピストンの容量を上げたような感触を得られます。

 表面処理、クリアランスの設定、ピストンの形状にシム組、当然ばね定数からイニシャル、油面、油種、突き出し量、リアとの関係性など多くの要素から成り立つフロントフォークは、未だに飽きずに試し遊んでいます。

 サスペンションセッティングの楽しさに身を埋めてみたいと考える方は、一度相談ください。

 

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クアンタムのオーバーホール

 相変わらずクアンタムのオーバーホール依頼を頂いております。

 オイル漏れで困っている方に向け、オーバーホールというよりもオイル漏れ修理と呼ぶべき作業内容です。ただ、使うシールは実績のある国産品であり、長期の使用にも充分耐えます。

 クアンタムの純正オイルシールは二種類あり、長時間たつとボロボロと割れてしまう物と、耐久性がそこそこある品です。写真のクアンタムは前者の崩れてしまう型でした。そこで部品を外し旋盤による加工でオイルシールをハマるように加工致しました。小さい穴を進み部品の中間部分に段付き加工を施すのは、少々骨が折れます。自作の溝入れバイトで奥まった深い溝も何とか加工をできるようにしています。

 クアンタムはレーシングショックとのうたい文句ですが、ホームページを見るとエア抜きは手で抜く手法のようです。全ての種類で可能という訳ではありませんが、バキュームポンプによる機械抜きも行える場合がございます。別料金にはなりますが、性能の向上と耐久性を上げるにはバキュームポンプの使用は必須となります。

 アルミシリンダーが削れている場合は、純正部品が用意できない当社としては心苦しく思いますが、そのまま再使用するか新規で作るかの二者択一となります。アルマイトを掛け直すことも物理的には可能ではあり、実際そのような案内を出しているお店もあるように聞きます。ただ、アルマイトは剥がす時に寸法が変わってしまうため、ある一面では状況が悪化します。
 

 色々な点を考慮しなければならないダンパーですが、どうにも困っていらっしゃる場合は一先ず連絡ください。

 

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医者とオーバーホール

 二月の末に右手中指を開放骨折して、現在は通常営業可能なところまで治っています。

 写真で見せるのは少々気がひけるので、今回は文字だけにします。

 この手の修復は、「骨がついた」「指を縫った」「ピンを入れた」など字面では同じ作業に思えますが、実際の仕上がりは、お医者様によりかなり変わる点がサスペンション(に限りませんが)オーバーホールと同質だと気づきました。
 骨がつき抜糸も終えましたが、中指は折れ捻れた状態でついてしまいました。自分の不注意から招いた怪我ですから愚痴を言う気はございませんが、同じオーバーホールでも単にオイル漏れが治るから、新品以上に仕上がる場合まで様々です。
 しかし折れ捻れた指は普通の方とは違った使い方もできるのではないかと、考え方によって非常に有意義なのではないかと思います。

 皆様もオーバーホールに出される時には、価格と納期だけに捉われず本当にご自身の考えた通りの仕上がりになるのか、お店の能力を吟味されてから依頼されたならば、後悔も少なくなると考えます。

 

フロントフォークのオーバーホール+

 みなさま御機嫌よう。ただいま、日曜日の夕方ですが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

 2年前にカートリッジを改造したSC54のフロントフォークが、オイル漏れを起こしたので入荷しました。
単にシールを替えるだけでは面白くないので、シムの組み替えも行う事にしました。

 プレミアムラインのカートリッジ内部洗浄だけでなく、作動性の向上を全ての部分で考え組み立てて行きます。狙いはオーリンズの30万円フォークに勝る性能です。
オーリンズ新型フォークの中身は非常によく出来ていて、単なる程摩擦抵抗という意味でなく、しっかり制御された摩擦感です。純正フォークでも突き詰めた先に何があるのか?見たい衝動にかられトコトン追及しました。

 純正フォークは限界が低いのです。
 これはインナーチューブの表面処理、アウターの内壁仕上げ、カートリッジ各部の仕上げ、ピストン径など多くの部品が関連し最終的な作動性を演出するため、どれか一つを良くすれば済む話ではなく、全てを底上げしなければ達成できないため、費用がかなりかかり、それならば社外品を買ったほうが安くて早いという意味です。
  それが「純正の限界は低い」に相当します。
 

 今年の2月にNSR250SPのフロントフォークに40万円の費用をかけて作りこみましたが、これは素晴らしい動きをしていました。
インナーチューブをコーティングし、ピストンをFGへと交換し、スプリングがインナーチューブ内壁と触れない様に特別なスプリングを作り、さらにカラーでバネを円周方向に動かないよう、固定してあります。

 このSC54のフォークは上記のNSRほどの予算はかけていません。プレミアムライン+αにモディファイ、部品代などでおおよそ16万円ほどでした。
右リバウンド、左コンプレッションへの減衰調整フルアジャスタブル化、スプリングレートの変更は2年前に終わらせてあり、これらの改造を同時に行う場合は約22万円ほどになります。

 当社が提唱する概念「ロードコンタクトテクノロジー」を体現すべく、これらの大掛かりな作業が必要になります。その概念とはタイアと路面が常に状況に適した圧力で接し続ける事で、ライダーに安心を付与し、それが操る面白さ、走る楽しさを生むというものです。

 今後も純正フロントフォークの中で一番凄い作動性、乗る楽しさ、操る面白さを感じて頂けるような提案をして行ける様に、考え実行してまいります。

 

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BT1100いよいよ車検通します。

 昨年の秋頃にエンジンが完成したBT1100ですが、来週あたり車検を通します。

 フロントフォークもいよいよ完成が近ずいております。リアはFGです。

 エンジンはシリンダーヘッドのバルブ・ポート関連を改造し、バルブスプリングも改造、バルブリフターも新品を使いました。もともと高回転まで回らないので、エンジン製作を頼んで方には「4000回転までで楽しければ良い」と伝えポートを仕上げてもらいました。

 シリンダーヘッドは面研を0.7mm行い、圧縮を大幅に上げています。

 キャブレターは純正のリストラクターを外ししっかり開く様にしました。19日はつくばコース1000の走行会があり、それに間に合う様に仕上げます。ただいま代車に出しているZRX1200Sも含め、試乗車としてBT1100も活躍してもらます。ただ、このBTは個人所有なので、代車には出さない予定です。

 タイアはミシュランのパイロットパワー2CTです。本来はリアに160が好みですが、サーキットやバンク角を考え今回は180を選択しています。

 復活が楽しみです。BTが動く様になると、第二工場が広く使えるようになり、お待ちいただいている車体預かりのお客様の作業も進めやすくなるので、頑張ります。

 

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