2017年8月
加工あれこれ
CRMの乗り味はかなり良く、書き始めると相当長くなりそうなので、週末に譲ることにします。
今日は旋盤加工が多く、新しバイトも造ったのでそれらを紹介します。
FGの部品を製作していましたが、突っ切りに油を使わずゴリゴリ刃押し切ったら、写真のような汚い面になりました。これは後で端面加工をするので、問題ありません。その次に突っ切りで仕上げる品には、ワコーズのTCを存分に使いましたところ、綺麗な仕上がりとなりました。これは薄くてつかみずらいため、一度の加工で終わらせるために、切削油を用いています。
アッサブの完成バイト8mm角を削り、正面から溝を掘るバイトを製作しました。横移動により、リブ加工もできます。シールヘッドにトップアウトスプリングやリバウンドストッパーを取り付ける加工に便利です。仕上がり面は思いのほかきれいです。8mmを正面から押し込むので、かなりビビると予想したのですが、かなりシャープな仕上がりに、大変満足しています。出来てきたキリコは大槻の表現を借りるなら「チョコレートの包み紙」です。
上手くいったり、失敗したり
昨日は、オイルシールなどが嵌る部品、シールヘッドを複数製作しました。
午前中はヨシムラカヤバのシールヘッドを、制約がありステンレスで造りました。二つ造りましたが、どちらも一回で上手くゆき、満足していたのですが、午後にSZR660の部品をアルミで製作を始めたところ、細かいミスをして材料を無駄にしたのですが、極めつけはガイドブッシュを圧入する穴グリ加工で、寸法を大きく開けすぎて、一から造り直しになりました。とは言っても、二回目は勘所を掴みとても早く造り直し出来ました。
失敗した寸法は7/100mmほど大きくしただけですが、滑り軸受の圧入寸法としては致命的で、ガタガタで隙間だらけになります。このガイドブッシュ圧入部の穴グリは、公差をプラス0mm、マイナス1/100mmに設定しています。そのためかなり神経質です。この部分の加工にはアッサブの完成バイトを用いますが、先端はNR無しの尖がり形状です。当社では大量生産しないため、刃先の寿命よりも面の仕上がりを重視して、このような形にバイトを仕上げます。NR無しなので、100分の1の切り込みにもしっかり反応します。
スローアウェイの交換チップでNRが0.4mmではその100分の1の切り込みでは、面が荒れてしまい上手くゆきません。NR0.2はかなり忠実に反応しますが、NR無しの方がより忠実です。しかし、チップブレーカーが無いので、面倒もあります。
ヤマハ・SZR660
鎌ヶ谷のお店から依頼があり、ヤマハのSRZ660純正ダンパーをオーバーホールしました。
ザックス特有の造りは、純正部品が手に入らない立場では作業が不可能なため、造り物で対応しています。今回はオイルシールのはまるホルダに、新たな仕組みで対応し、製作時間を短縮できました。ザックス純正に似た造りながら、一般的なパッキンを採用し、長持ちするようにしています。ザックス純正のオイルシールも長持ちする良い品ですが、ガイドブッシュがない焼結材とロッドが直に触れ合う仕組みは、簡素化以外の何物でもないと考えています。製作した部品は、滑り軸受を圧入してあります。
ピストンリングも樹脂製から樹脂コーティングの金属製へ交換してあります。これは性能向上よりも、交換可能にするための変更です。シム組も変更し乗り味を少し変えました。そのほか、ロッドは自社製のSGSA14です。