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2017年6月

スーパーシェルパのリアサス

 何年も前から付き合い下さっている個人客の方から3度目の依頼を頂き、カワサキ・スーパーシェルパのリアサスをオーバーホール致しました。

 純正の12.5mmロッドからSGSA14の14mmロッドへ変更しました。前回は再メッキを施しましたが、トータルパッケージの観点からこのように変更しています。

ノーマルは12.5mmのロッドと12mm幅のガイドブッシュです。14mmロッドとシールヘッドを交換した都合もありガイドブッシュは9mm幅を採用しています。縦寸を短くし抵抗を調整します。

 FGでシェルパ用を造った時は、同じ36シリンダーでロッドも14mmでした。純正で改造を望む方は、今回のように14mmロッドへ交換するとともに、ピストンをFGにすれば、ダンパーの動きは大幅に変わります。興味を持たれる方は一報ください。

 

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失敗例

 練習ではない品で初めてネジ切に失敗しました。

 段取り含め1時間かけ、あとはほんの少しネジの掛かりを緩くするため、100分台でさらっていたところゲージの位置を間違え、ずれて切ってしまいました。何とも言えない焦燥感に襲われますが、嘆いていても元に戻るわけもなく、気持ちを切り替えて作り直しました。ちなみにカワサキ・スーパーシェルパ用のロッドです。

 汎用機でのネジ切は回転が低いので、表面を綺麗に仕上げるのは難しいようです。多分に漏れず、私もなかなか綺麗に作れません。一度だけかなり綺麗にできた事があります。今回は145回転で切りました。265回転でも造った事があります。しかし単に速く回せば良い訳でもなく、切り込み量などが影響します。ほぼ毎日ネジ切作業を行っていますので、早い段階で見極めて安定した製品を造りたいと思います。

 ハードクロームに直接ネジ切を擦る場合は、工作物が非常に硬いため特に努力せずとも、非常にきれいな面に仕上がります。

 インスタグラムにはもっとアップにした写真を載せていますので、詳しく見たい方はそちらもどうぞ。「セイクレッドグランド、インスタグラム」か「sgfacendo.com」で検索して下されば、すぐに見つかります。

 レンズの都合で、持っている一眼レフではあまり接写が出来ません。こういう時に携帯電話の汎用性に助けられます。単にカメラのレンズを買えば解決しますが、カメラ小僧でもないのでなかなか踏み切れません。

 

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カートリッジ構造、フリクション、ダンパー

 昨日作業を行ったドカティのフロントフォークはオーリンズでした。

 純正採用のオーリンズは徐々に部品の材質転換を行い、明らかなコストダウンを図っています。見た目で分かる一番大きな変更は、インナーチューブのコーティングが全体から半分になっている点です。オーリンズのフォークは殆どが固定勘合なので、これは明らかに摩耗性と摺動性が落ちるはずです。

 カートリッジのロッドもアルミから鉄へと変わっています。これは研磨により動きを滑らかに出来るため、それほど問題になりません。問題は重量だけかと思います。

 サスペンションにおけるダンパーはなぜ必要かと言えば、スプリングの制振が一番に挙げられます。乗り心地にも直結する問題です。その次はコントロール性だと考えます。スプリングは基本的には位置制御が主になります。もちろん定数と初期荷重の組み合わせによりサスペンションの動く速度制御も可能です。しかし位置制御に重点を置くと、速度制御に不都合が現れます。従って、一般に高性能ダンパーと呼ばれる品は、スプリングとダンパーの両者を合算して最大性能を確保し、その中でバネと減衰の均衡を作り出します。

 減衰とは私の中では抵抗、またはフリクションと同義です。必要な時に必要なだけ現れる抵抗が減衰で、不要な時に現れてしまう減衰が抵抗と自身の中で定義しています。しかし、カートリッジ構造は部品点数が多くなり、摺動部品も増える事で抵抗も増大します。その部分の抵抗を減らせば、かなり乗り味に寄与します。

 カートリッジのロッドはアルミでも鉄でも応力を受けしなった際に、かなりの抵抗を発生します。ここをハードクローム、またはそれにコーティングを施せばかなり摺動抵抗を減らせそうです。実際にそうなっているダンパーはクローズドカートリッジを採用した製品です。これは機構の内部を閉じるためにオイルシールが必要になり、面粗度を上げないと早期に油漏れが発生します。必要に迫られてそうなっていますがフリクションロスの低減という観点からは、かなりメリットがあります。しかし逆にオイルシールがあるという点でオープンカートリッジよりもフリクションが増えるデメリットもあり、前者と後者を合わせそれほど意味がないかもしれません。

 特にクローズドカートリッジで加圧してあると、オイルシールが締まる為、抵抗は増します。シリンダー内に侵入してくるロッドの体積変化を受け止めるための、ガス室、空気室(ブラダ型もある)から受ける反力はかなり抵抗になります。場合によってはガス反力に応じるよう、最初からスプリングレートを落とす場合もあります。フリクションとガス反力を減らすために、オーリンズの加圧型カートリッジではロッド径を12mmから10mmへ細くしたり、8mmもあったような記憶があります。

 モトGPを走った中野真矢さんに聴いた情報では、初期の加圧型フォークはブレーキの安心感は凄かったが、そのほかは乗りずらかったと言っていました。それは上記の点が大きく影響しています。八王子のモーターラボさんと組んで、クローズドカートリッジをスルーロッド方式(要するにステダン)で造った際も、その問題が露見しました。そこでばね定数を大きく落とし、油面を下げ対処しました。

 それに対する回答らしき物が、FGのカートリッジです。Pressione Zeroと呼ぶ品ですが、訳せば「圧の無い」と言う意味です。これもステダン型なのですが、加圧していません。そのためオイルシールの締まりも弱く、ロッド侵入の体積も問題にならないため、実際に試乗した時もかなり好印象でした。現在のトップグレードのオーリンズはガス反力のあるタイプでも、相当良い動きをしていましたので、流石にその点を解消したようです。モトGPでは早くから加圧型スルーロッドを採用していると聞いています。

 減衰と抵抗(ダンパーとフリクション)については、出来ることから実践して徐々に結果を報告します。

 

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Moto Guzzi V9のリアサス

 静岡県のバイク屋さんから依頼があり、モトグッツィ・V9のリアサスを25mm短くしました。

 KYBの2本ダンパーで、旧来のツインショックとは大きく違う内部構造です。とはいえ、他社では当たり前の仕組みです。しかし、分解作業は大幅に時間短縮できるので、ありがたいことです。

 オーバーホールも難しくないので、オイル漏れや仕様変更を希望の方は、連絡ください。それほど高額にならずに作業可能です。

 

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CB400SF、試乗

 皆様こんにちは。アルバイトの矢作です。

開発車両のCB400SFのフロントフォークのバネを変えたという事で、試乗をしてみました。

以前試乗してから時間が空いてしまったため体感出来ない所もあったのですが、前回までの良かった点はそのままに、フロントの不快な突き上げ感が滑らかになました。

試乗を終えて話を聴くと、以前よりも高いレートのバネを使用しているみたいですが、これがノーマルだよと言われても納得の出来る自然な乗り味になっていました。

今回まででフロントのセッティングは決まり、次はリアサスペンションに進むので、今の感触を忘れないようにして次も体感できるようにしたいと思います。

 

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旧いドカテイのマルゾッキ

 昔の登録証には「ドゥカティ」ではなく「ドカテイ」とありました。それに習い旧車はあえてドカテイと書くとします。

 250ccか350ccのシングルデスモのリアダンパーです。埼玉在住の方からの依頼で作業を行いました。マルゾッキのオイルシールを販売しているお店もありますが、写真のカシメ型は分解できないから、販売がありませんでした。

 今回は純正のカシメを分解し、内部を加工して再カシメで対応しました。スプリングの塗装も施し、綺麗に仕上がりましたので、お客様も満足して下さると思います。

 先日、カシメ型でないマルゾッキのオーバーホールを行いましたが、オイルシールは専用品ではなく汎用品が使えるように、部品を製作して対応しました。写真のダンパーもスライドメタルを入れるように、ガイド部分に機械加工を施しブッシュを入れてあります。純正は12mmのロッドに対し10/100の隙間がありました。圧入したブッシュに関しては3/100で仕上げてあります。

 ブッシュを入れる理由は、純正のアルミとロッド直に擦れ合う構造では、両者の摩耗が激しくオイル漏れの要因になるうえに、動きも悪く性能も出ません。性能が出ない理由はロッドとガイドの隙間からオイルが流れ出るため、オリフィスが大きいのと同様に減衰を立ち上げられないからです。そこで、ガイドブッシュをはめることで、作動性の向上、耐摩耗性の向上とクリアランスの縮小による設計値の減衰を得られるようになります。

 

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ロッド製作途中

 CBR1100XX、ブラックバードのロッドを造っています。

 相変わらずネジ切りに心を砕いています。早く仕上げるのがとにかく難しい。精度は何とかなるのですが、一本仕上げるのに難し品で3時間。簡単な物で1時間強ほどかかります。今後はこの辺りが課題になります。

 スズキのモトクロッサー、RMも依頼があるので製作する予定があり、そちらは16mmシャフトで200mm以上の長さがあるため3時間コースになりそうです。

 しかし表面の膜厚、母材、母材とハードクロームの馴染み性、各部の寸法を造り込める自由度の高さは自作ならではです。

 メッキと比較して高価ではありますが、製作に掛かる手間と材料代に耐久性を考慮すれば、かなりの良品だと自信をもって言えます。

 

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オイルが真っ黒

 CBR1000RRの純正オーリンズフォークを整備しました。

 オイルは写真で分かるように、真っ黒でした。このフォークは固定勘合なので、アウターチューブは削れません。従ってカートリッジ内部が削れていました。アルミは削れるとオイルが黒くなるため、すぐにわかります。

 ピストン径30mmなので、現代のタイアとスプリングレートにあった径だと思いますが、左右に減衰を振り分けているので、単体で動かすとかなりヘンテコな感触です。フォーク、ステムとアクスルシャフトの結合剛性が高ければしっかり動くはずですが、ここまでスイッチ感の強い動きをすると、少し心配になります。

 そうは言っても乗って訳ではないので、実際は問題ないのかもしれません。

 

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ロッド製作、16mm

 直径16mmのロッドも製作します。

 この太さはモトクロッサーやCBR等のレースベース、オーリンズなどの社外品で主に用いられる寸法です。製作にかかる手間は、削り代の多い分だけ掛かりますが、それほどの違いはありません。

 長さを変更したい場合には、製作ロッドは有効です。径を変えダンパーの特性、作動性も変えられるので面白いと思います。なにか希望があれば問い合わせください。

 今週はシェルパの12.5mmを14mmに太くする企画もあります。

 

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筑波選手権

 土曜日に行われた筑波選手権に参加しました。

 金曜日の練習は大槻が帯同し、CBRとNSFのセットを詰めていました。今回はチーフエンジニアの方が不在だったので、いつもと役割が違いましたが、大槻が頑張ってくれたようで、チームからの評価も高い物でした。

 私は仕事が終わらず、決勝しか見ることがかないませんでしたが、それでも有益な物でした。CBRの桜井芽衣選手はなかなか満足の行く走りが出来なかった昨今、やっと切っ掛けを掴んだようで、レース中盤から見ごたえのある走りを見せてくれました。一コーナーで観察していたのですが、ブレーキを強く握れるようになった印象です。もっと強くなって残り2戦は優勝争いを見せて欲しいと思います。

 GP3に参戦した松山琢磨選手は、今年から大きな車両に乗り始め、NSFの走行時間はそれほど多くない中で好タイムを記録しました。本人にも課題がはっきり認識できたと思います。

 今年は担当ライダーも居ない上に、監督からも「その辺をふらふらしていて下さい」とお墨付きをもらっているので、ティームテントにはほとんど居らず、レース観戦を存分に楽しんでいます。

 

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