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2016年11月

二種類のNSR250リアダンパー

 NSR250にはSTDとSE,SPのような調整機構を持つダンパーの2種類があります。MC18,21,28共に同様の形態ですが、MC16だけは左記のダンパーとは違う仕組みを取り入れています。ですがオーバーホールは問題なく可能です。

 今回は同時に二種類の依頼があったので、参考に写真を載せてみます。STDはリザーブタンクを持たないので、ガスを入れるための注入口を造らなければいけません。この加工無しでオーバーホールも可能ですが、抜けたガスを足せないので推奨していません。

 他方のSE,SPはリザーブタンクを持ち、減衰調整も伸び、圧共に備えています。こちらもガス注入が特殊なので、オーバーホール店の特色が表れます。当社は純正の外観を壊さないように、1mmの穴を開けるだけで終わらせています。

 今回は2本ともロッドに痛みがあったため、当社のリアロッドSGSA14へ交換しました。このロッドは製作加工まで含めすべて日本国内の生産なので、高品質、高精度を実現しています。

 エア抜きに関しても両ダンパー共にバキュームポンプを使い、内部を真空状態に近づけてエア抜きを行うので、手作業よりも作業精度を高めています。

 

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マスの集中化とピッチング、ホイールベース

 NSF250Rに関わった今年、ある人が言っていた言葉を又聞きして、再度考えをまとめる切っ掛けとなりました。

 その方が言っていたのは「NSFはマスが集中し過ぎて、ピッチングを使いずらい」。おおよそこのような事でした。この問題について数年前に答えを出していたので、それにNSFを当てはめてみました。

 参考車両は2ストロークのNSR250です。ホンダ以外の2ストレプリカも同様ですが、これもやはりエンジン特性が車体に大きな影響を及ぼしています。2ストロークはシリンダーから上が非常に軽量なため、重心がかなり低くなっています。このためブレーキに際して、質量がフロントタイアを上から押さえつけるのではなく、前に押すような力が掛かります。それを低減するために良く動くダンパーを備え、軽い入力でもしっかり前のめりになるような造りになっています。もちろん車重が軽いのも大きな要素です。

 この2スト車両の方程式を用いてNSFを解説すると、マスの集中化がピッチングを起こしずらくしているのではなく、①低重心、②集中させた場所が悪い、この二つが大きな要素ではないかと疑っています。しかしこの二つもあくまで仮定ですから、参考程度の駄文と捉えご自分のセットアップに活かしてもらえれば幸いです。

 ただ、NSFが間違った造りだと指摘するつもりもなく、250ccのシングルエンジンを備えた車が運動性を求めすぎると、あまりに神経質になるため、スタビリティー重視の造りは正解であり、そこから運動性をより引き上げる場合の手段をどの様に選ぶかの下地として、上記仮定を参考にしてください。

 ホイールベースも大きな意味を持ちます。全ての話はホイールベースをどう設定するかに関わってきます。この話はしばらくしたら、まとめてみようと思います。

 

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SRVの乗り味、エンジンが車体を決める

 昨晩試乗したSRV250の乗り味について言及したうえで、再三話題にしている軸感についても話を勧めます。

 SRV250を勧めている理由の一番は、エンジンのボアストローク比がロングな点にあります。二輪車は一般にロングストロークと言いつつも、スクエアに近いショートストロークを「ロングストローク」と呼ぶ事も多々あります。私も以前所有していたSRX400などがこの例にあたります。

 ロングストロークの代表はハーレーや、ヤマハのMT-01などがあります。SRVも想像した通りの粘りのあるエンジン特性で回転上昇は穏やかですが、アクセルに対して過敏に反応しないので初心者の方や、ロングツーリングにも向いた仕組みだと思います。

 ハーレーは古いスポーツスターの883などが粘り強いトルク特性を持ち、1200ccなどと比較してパワーがない分だけ、エンジン回転上昇が遅く息の長い加速を楽しめました。もちろん絶対速度は遅いのは間違いありません。しかし楽しい乗り味です。同様の乗り味をSRV250のエンジンは持っています。結局のところ2輪、4輪問わずエンジン形式と特性が車両を決定付けるとの結論を私は持ちました。

 その空冷V型2気筒の250ccで軽量、その恩恵で幅の狭いフレームとタイアを可能にしたSRVですが、軽量で幅が狭いデメリットを感じさせないように、足回りのセットは非常に考えられた造りこみです。18インチホイールで前後接地面を確保してタイアに穏やかな特性を持たせ、フロントは軽く動くセットに対しリアのダンパーは伸びを強めに効かせた仕様です。なぜかと言えばギャップのアタリをフロントで逃がし、リアも入力側だけはすんなり動かします。しかしリアの伸びダンパーは強く効かせて、車体に不要な振動をさせません。このことがピッチングセンターをかなりリア寄りにしています。乗車感覚としてはリアアクスル近辺。スイングアームピボットよりも確実に後ろだと思いました。このピッチングセンターをどこに感じるかが、再三申し上げている軸感です。

 ピッチングセンターは前後位置と、高低の二つの観点から読み解きます。ピッチングセンターの理解は意外と簡単な話です。ここで思考実験を行ってもらいます。仮にフロントフォークは通常の仕組みとし、リアは固定式を備えている場合にブレーキで何が起こるかを想像してください。フロントフォークは沈みリアは固定式なので全く変化しない。その時にバイクのピッチングセンター(回転軸)はどこにあるか?

 答えはリアアクスル(リアホイールの軸)にあります。逆にフロントを固定しリアを動かした場合の軸は、フロントアクスルにあります。現実には前後サスペンションが動くのでホイールベース(軸間)のどこかに存在する事になります。SRVのリア寄りの軸感とは、現実にどのようなサスペンションの動きになっているのでしょうか?

 その答えはフロントが柔らかくリアは硬いという事です。軸感を感じ取るにはリアの伸びダンパーを調整してみれば、かなり早い段階で理解できるようになると思います。リアに軸感を置く事は、穏やかな特性を車両に与えます。

 軸感の話についての第一段階はここまでとします。基本の動きだけを書き記しましたから、疑問を持たれた方はバイクに対して深い理解を持っていると思います。今後はホイールベースが運動性能に与える影響につていも徐々に私見を述べてゆきます。

 SRVの車体に戻ります。軽量な車体は一般に美徳とされていますが、私は大きなデメリットを感じています。軽量な車体は振動が細かく、スポーツ性は高い反面外乱にたいして弱い一面も持っています。エンジンに対して適切な重量はあると思いますが、重いバイクのメリットも考えてみて損はありません。細い大径タイアは見た目の迫力はないのですが、軽い操作性に対し大径による安定性を持っている素晴らしい特性です。

 SRV250は安価なセカンドバイクではなく、しっかりと考え抜いて造りこんだ良質の250ccだと感じました。私の所有するBT1100やヤマハのフラッグシップともいえるXJR1300と比較してもより上位にあると思います。とは書きましたが案外、「簡単に造ったらすごく良かった」という事もありますが、とにかくSRVは良いバイクです。

 

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SRV250,軸感

 いろいろありまして、先週から作業していたSRV250Sの納車が今日に迫っています。先ほど試乗がてらガソリンを入れに行ってきました。

 この車両をお客様に勧めた理由の一つは、スタイルの良さ。その次にVツインなうえにロングストローク、18インチホイールなどです。私自身が乗ってきた250ccの中では一番楽しい車だと言い切れます。パワーはありませんが、ロングストロークの粘りあるエンジン特性は排気量を意識しない楽しさで、60kmも出せばエンジンと車体の楽しさを体感できます。

 現行の法律の下では、法律違反を犯さずに十二分に楽しめるので、250ccクラスの車両を探している方は選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。ただ、ベース車両は20万円以下で沢山ありますが、エンジン本体以外の全てに手を入れるとなると、乗り出しで50万円を覚悟しなければいけません。そこまですれば他では味わえない深みのある乗り味を堪能できます。

 明日はSRVについて行った作業と、GSX-R1100で触れた軸感についてSRVを例にとり説明するつもりです。

 

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最後は遊んでみました。

 くよくよしても仕方ないと気持ちを切り替えて、レース後には埜口君と去年の耐久レースで知り合った片山さんをからかい、楽しく鈴鹿を後にすることが出来ました。

 私の頭の中で、二人は恋愛シュミレーションゲームの主人公でして、年上のお姉さんに恋する中学生埜口君と、年下を意識する高校2年の片山さんという設定です。残念ながら今回の鈴鹿で一旦電源を落とさなければいけませんが、またいつか二人を煽って遊んでみたいと思います。

 下の写真は自由に使ってくださって結構ですよ、遥希君。

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NGK杯、結果、

 久しぶりのブログ更新となってしまいました。

 今回はNGK杯でしたので、金曜日から鈴鹿へ入り練習を行いました。担当の埜口君は事前練習から調子がよく、好調を維持したまま2本の練習を終えました。セットはほぼ動かしませんでしたが、ライダーのわからないところで細かく動かし乗りやすさを追求、調整しそれも良い方向へ進み良い感触のまま金曜日を終えられました。

 土曜日は練習が無い状態で予選へ向かいましたが、3位と結果は悪くなかったものの、監督はもう少し内容のある予選が見たかったようです。推察ですがポールポジションを獲得したライダーを引っ張り、スリップを使われてしまった事よりも、メンタル面に課題を感じたようです。

 決勝の日曜日は朝から雨模様でしたが、GP3の時間帯はしっかりと降るコンディションと変わり、直前までセットに悩む事となりました。スタートのごたごたがあり7周へ減算となり始まったレースは、最終コーナー出口でハイサイドとなり、あっけなく一年を終えました。

 ライダーは当然ですが、監督は一番悔しかったはずですが表情に出さず、終始平時と変わらぬ対応に尊敬を覚えました。

 CBRの渡辺君も、予選12番手からスタートし、スプーン手前で2位まで躍進しこのまま独走優勝かと期待した刹那、前車との接触を避け転倒となり、自走でピットへ戻り、レースを走り切りました。

 手を差し伸べて下さるスポンサーや観に来てくれたお客さんには、残念な結果となり申し開きできませんが、来年も変わらぬ応援をお願い致します。

 今年は浮き沈みの激しいシーズンを送ってしまったのですが、その要因を考えてみました。年初に監督から私と大槻へ課題が投げかけられたのですが、その課題の意味を体で知ったのが、NGK杯を終えた後でした。二人のライダーに「後で理解しても助けにならないので、いま理解して欲しい」と言っていましたが、私自身が全くその状況でした。この事が年間を通してチームに迷惑を掛けたと実感しています。もちろん私の力で優勝するわけではありませんが、結果に対して邪魔をしていたかもしれません。

 決勝前にレインのセットに対して話し合いがありましたが、私はリアのイニシャル1回転、フロントのイニシャル1と1/2回転抜きが落としどころかと考えていましたが、前回のレインコンディションの結果とライダーの要望を聞き入れ、よりドライコンディションに近い状態でコースへ送り出しました。自分の意見を通して、もう少し柔らかくしていれば、転倒を免れたのではないかと思うのですが、そのセットで走った訳ではない為、答えはありません。私自身の弱さを感じ、どうすれば良かったのか答えを見つけられません。

 行動の結果に対する責任をどの様にとるか、じっくり考えてみます。

 

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新嘗祭 、勤労感謝の日

 五穀豊穣、なによりでございます。

 大東亜戦争後は勤労感謝の日になってしまった、新嘗祭の祝日にも仕事に励んでおります。

 明日の夜には鈴鹿へ向け出発するので、通常業務の進めています。今月に入り、CB400SFやCB1300SFのリアダンパー依頼が多く頂いています。自社製ロッドのSGSAは完全国内生産で、母材も国内メーカーで製造加工をお願いし、設計・製造は当社で行っています。機械加工で外注の部分もあるのですが、柏市内の業者さんで密に取引があるので、発注から2~4日程度で全ての工程を終え完成します。納期が短く精度も高く耐久性も上がるので、お客様にも安心して進められる品物です。

 価格はロッドの形状により、変動しますが、おおよそ1~1.5万円程度です。モノサスの長尺物でまれに2万円近い物もありますが、事前に見積もりを差し上げますので、見積もり連絡後に、納得いただいてから製造にかかります。

 現在は12.5mmの太さはラインナップになく、10mm、12mm、14mm、16mm、を主に取り扱っています。今後は発注量を増やし12.5mmロッドとSHOWAやKYBの傘付きロッドも製作できるよう、努力してゆきます。

 

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GSX-R1100、試乗

 油冷1100のGSX-Rの前後サスペンションをオーバーホールし、試乗を行いました。

 油冷エンジンは好みで、GSX1400やGSF1200など楽しいバイクだと思っていましたが、今回の1100も楽しいバイクでした。80年代の車両なので倒立フォークだとしても、基本はリアタイアで曲がる車両だと考えていましたが、予想通りの動きをみせました。ただ、基本的な車体の造りはしっかりしているので、車体姿勢とダンパーの前後セットを造り変えれば、フロントタイアで曲がる比率を増やすのも、それほどの無理はなさそうです。現代のスーパースポーツがコーナーの入り口で100%フロント依存を可能と例えるならば、純正状態のR1100は30%といった感触です。これはセットアップ次第で50%までは簡単にいきそうです。私見では70%依存までは可能に思えます。旋回の前半をフロントタイア、後半をリアタイアと明確にした車両はYZF-R1が出てくまでは、私の知る限りはありませんでした。

 上記の変更を施すのは単に前下がりの姿勢にするのではなく、オイルロックピースなどを加工してフロントフォークの実質ストロークを増やし、静的姿勢だけでなく動的姿勢も前下がりを作れるように仕立て直し、ポジションを変更するなどすれば、より運動性を高くし現代的なスーパースポーツに近くなりそうです。

 ノーマルは見た目と違い、ネイキッドにカウルがついたような乗り味です。サーキットで速く走りたければ、フロントの依存度を高める必要はありますが、街乗りを楽しく走るのならば、フロント荷重を高める必要はありません。アクセルを開けてぐいぐい曲がっていく感触も楽しいので、乗り手の好みや走りの楽しみ方をお話頂き、お客様が楽しめる車両を一緒に作るのがこの仕事の楽しみでもあります。

 余談ですが、持ち込まれた状態のセットアップが秀逸で少々変更を施しましたが、やはり元の状態が一番よく最初のセットになってしまいました。こんなにレベルの高いセットは初めてだったので正直驚いたのですが、お客様の話では以前当店に話を聞きに訪れた際、私自身が乗り変更を施したとの事でした。それをすっかり忘れていたのですが、自分で味付けをしたのですから、好みにピッタリで当然でした。

 一般にサスペンションはバランスだと言われますが、何をどのように均衡させるのでしょうか。私なりの答えは持ち合わせていますが、それは現在の答えであり、その経験を踏まえて数年後にはまた違う答えが見つかりそうです。現在の答えは「ピッチングセンターをコントロールする」です。ピッチングセンターがどこにあるか感じているその感覚を私は「軸感」と呼んでいます。軸感を変更する手段としてスプリングや減衰を変更しています。

 

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学習の続き

イタリア語を学習しつつ、ダンパーの専門書も翻訳する一石二鳥の作業を毎日15 分続けています。

新たな知識を得たり、経験で得た知識の答え合わせも同時にできるので、楽しい時間です。もう少し学習時間を増やしたいと思います。それと並行して英語の勉強は1日5分程度だけ進めています。全くの門外漢なので、中学1年生の一学期レヴェルからのスタートです。

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雨の朝

 今日は朝から雨が強く降り、外の掃除ができませんでした。本日はアルバイトの矢作が出勤なので、工場内の清掃は彼に任せ部品発注などを行っています。

 11月17日は父の誕生日でした。56デザインから購入した帽子とユニクロの服を贈り、明細の入った56デザインの封筒をみて来年は封筒や段ボール、ステッカーなどにも気を使わなければいけないと、思いを新たにしました。

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