2016年7月
最大の難関、ロッド製作。
リアダンパーのロッドを製作しています。今までも減衰調整の無いロッドは通常業務に取り入れ、製作してまいりましたが、いよいよ減衰調整のロッドも製造を開始し致します。
リアロッドを製作する意味は、多種多様な寸法に素早く対応するのを主眼に、再メッキなどでロッドが弱くなるのを解消したいと、積年の思いがいよいよ形になりました。
今回は試作の意味もあり、内製でした。最大の問題は150mm以上になる貫通孔を開けることです。硬い材料を用いているので、ドリルも材料に合わせ用意しました。これでかなり作業性が上がります。
今後は自動機による、潤滑油の吹き出し口のついたドリル加工で量産化をはかり、価格と納期を市場価格に合わせていきます。単価を下げるのは重要な項目ですが、長寿命によりメンテナンスサイクルの長期化を図り、お客様の経済的な負担の低減と環境負荷の軽減や、中古車の仕上げオーバーホールで価格に転嫁される際の負担低減も意味します。
サスペンションのオーバーホールやメンテナンスに興味を持つ方もいらっしゃいますが、大勢の方々は余計な事を考えずに、楽しく乗りたいと思っているのではないかと推察します。したがって、長寿命は低価格に勝ると判断し製作を進めて行きます。
写真は手前が中古の純正ロッド、奥が製作ロッドです。
BMW K1200S
高知県のバイク屋のオジマ様から依頼があり、BMW・K1200Sの純正リアサスペンションのオーバーホールを進めていたのですが、減衰調整のモーターが壊れてしまったので、代替品としてFGを選択してくださいました。
ダンパーの修理は難しくないのですが、電制の部分は当社の能力では力が及ばないので、現在はお客様に判断をゆだねています。
写真のモデルはFQE11で、定価税別¥92,000で送料込みです。非常に使いやすく自分好みなので、お客様にも強く勧めています。もちろんFFX(TTx)やFSM(リザーブタンク一体型)、ホース連結のFQTもありますが、FQEの取り回しの良さや価格、バランスは一番良いと思います。
TRX850やBT1100のFQEもとても乗り心地のよい、いい設定でした。
二本同時にエア抜き
先週、エア抜きのアダプターを新たに造り、本日初めて使いました。
CB400SFのリアサスペンションをセットでオーバーホール依頼があり、それに用いましたが、やはり2本同時に作業が可能となり、大幅に作業時間の短縮が可能となりました。具体的には15分程度は縮まり、今後は作業の練度をあげればもう少し短縮可能だと思います。
2台の機械はホースを介し連結しているので、同期させることも個別に扱うことも可能です。FGの機械は動力を使う大型のバキュームポンプなので、一気に引くことができ、その他に2台のポンプを使い補助しています。今後は自社発案の独自エア抜きシステムを構築し、サスペンションオーバーホールに対する独立性をより高めていくつもりです。
アダプターを造るのに、アイデアを練るのも含め5時間前後使いましたが、早期に元が取れそうです。
エア抜きのアタッチメントを造る、バイト自作
FGのバキュームポンプに使用するアタッチメントを造りました。これまではレーステックの機械を用いていたので、FGのエア抜きもそのアタッチメントを使えるように製作していたのですが、自社製にすることで造りやすく、使いやすい物にできました。さらに、製造メーカーに依存しないので、何かあった時にも困らずにすみます。
ワンタッチカプラのついた部品がバキュームポンプと接しますので、これがあれば後はダンパーに合わせ一つ一つ造るだけです。この写真の品はすべて自作したバイト(刃物)を使用しています。今までの刃先では仕上がりが荒く気に入らなかったのですが、外注で頼んだ品の形状をよくよく確認し、その仕上がりから刃先を想像して造ったところ、狙い通りの表面に仕上げられました。
学校や現場で学んだ方には当然の事でしょうが、自分で発見し考え、解決できたのでとても満足です。