2015年5月
今日はこれから
明日は、鈴鹿で練習走行がありますので、夜中に集合し出発です。
セットアップよりも情報収集を主な目的としているので、いつもとは違ったかたちで練習を観ようと思います。
高速域のセットアップ
長くかかりましたが、低速域で決めたセットを、高速域でも合わせていく手順を書き記します。
低速域のセットアップでバランスを取った後、今度は速度を上げコーナーを通過します。その時、低速では綺麗に回れたのに、高速になったら外に孕んだり、内側へ寄ってしまう場合は前後の動的車高が変化した結果と結論付けます。
最初に外へ孕む場合ですが、入り口で寄れないか、パーシャルの待ちや、出口で外へ向かうかを判断します。外へ向かうのは極論すれば前が高い(後ろが低い)から起こる現象です。
内へ寄ってしまうならば、逆に前下がり(後ろが高い)からです。それらはばね定数、プリロード、伸び圧の減衰が渾然一体となり生み出す現象です。その現象を分解して感じ取る(ライダーから聴き取る)能力がセットを決めるには必要となります。
話を単純にするために、フロントだけを述べます。入り口で寄れない=前が高い=ばね定数が大きいか、プリロード過多、または圧の減衰がきつい。そのいずれかを柔らかい方向へ振れば問題は解決します。ここで突き出しを変えるのは無しか?と疑問が浮かびますが、低速域のセットで車高は合わせてあるので、この段階では選択肢に入れません。仮定としてプリロードに問題があったとし、それを抜き問題を解決した場合、当然前下がりになるので、低速域で前が入ることが考えられます。その時は突き出しを減らし前をあげます。そこでまた高速域を試し問題が出ないかを確認し、あれば再度同じ作業を繰り返します。
一回で決めるのは至難の技なので、同じ作業を繰り返しその調整幅を狭めていけば、望んだセットを手にすることが出来るはずです。
結局は驚くような解決策は無く、地道な作業を繰り返す事が、人間の能力を高め、その結果セッティングに悩むことが減ると思います。
心拍数と緊張
サーキット走行中の心拍数はかなり早くなります。おおよそ、その人の有酸素運動の上限値まで心拍が上がると思います。ですから、普段からご自身の心拍を管理し、有酸素運動なのか無酸素運動なのかを把握しなければ、レースディスタンスで体力が続くのか、判断できません。
もし、無酸素運動の領域まで心拍が度々あがるのならば、ランニングなどで体を鍛えなければ、レースの途中でばてる破目になります。
レース前に、軽いランニングを行う方がいらっしゃいますが、あれは体を準備する意味合いもあると思いますが、緊張で心拍が上がるのを、運動で誤魔化す意味も多分に含んでいるのではないでしょうか。
緊張により心拍が上がるのは、これから訪れる事態に対する準備だと読んだことがありますから、緊張しない人の方が運動状態への移行が円滑に進まないので、その方が問題だと思います。
低負荷時のセッティングを始める
車体の足廻りの設定をする場合、私は低負荷時(低速)の車体姿勢を基本とします。その方が問題点を把握しやすいからです。
先ず、跨いだ状態のハンドル、シートそしてステップの位置を確認しなければいけません。そこが車体の中心から大幅に外れた位置にありますと、車を上手に操れません。詳細はここでは論じませんが、重量物から遠い位置でそれを操作するのは、近い場合と比べ力を必要とするからです。
ポジションが良いならば、次は走り出します。直線でかつ低速で、2~3速ギアを使い軽く車を振ります。その時前後車高のバランスが取れているか、おおよその判断がつきます。前輪の動きに対し、後輪がどのように動くのかを、注意深く感じ取ります。違和感があれば、とにかく前後どちらかの車高を変更してみます。その経験を積み重ねると、即座に変更すべき数字が頭に思い浮かぶようになります。以前書いた事なのですが、車が気持ち良い動きをするかどうか、それを感じ取ります。その感覚を鍛える意思を、常に意識します。
次に低速30~50km/hで曲率が一定な上に、なるべく距離の長いコーナーを曲がります。そうすると前輪と後輪の軌道が、同じ位置を通っているか感じ取れはずです。同じかどうかはご自分の判断で結構ですが、これが違っていると、やはり前後の車高を変更しなければいけません。
何度かの変更により、良い状態を作りだせたら、次の段階に進みます。次回は車高変更とばね定数、イニシャル(プリロード)の関係を通し、高負荷時のセッティングへ結びつけます。
上の変更を施す時には、まだ車両の地上からの絶対高は意識しないでください。前後の相対高に注意を払えば、その後に問題を検証し解決は難しくありません。