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2015年4月

実際にセッティングを進める手順。CB900F

 先日納車した、CB900Fは元の純正状態ではなく、前後とも大きく寸法が変更されていました。

 今回はフロントフォークのカートリッジ化と、伸び圧の減衰調整に、イニシャルアジャスターも追加しました。

 リアはFGのFQE11pr36へ交換しただけですが、内部はCBに合わせたシム組みとしています。

 実際にセッティングを進める場合、何が問題なのかを把握することが、最優先事項となります。私共は空気圧などのメンテナンスを行った後に

 1 車高

 2 ばねの硬さ

 3 ダンパー、の順に確認を進めます。ですがこの三つを確認する以前に、ハンドル巾、シートの形状、ステップ位置などの問題点を理解しておきます。

 この車両はフロントが大幅に高いと確認できたので、最初に突き出しを7.5mm下げ、足りないので更に2mm下げました。

 ここでようやく、サスペンションの動き方に問題を感じるようになったので、イニシャルや減衰調整を変更し、一応のベースが決まりました。ここから更に車高が気になったので、リアを0.6mm上げたところ、車が動きすぎると感じたので、0.2mm下げ、最終セットが完成しました。この間、約1時間です。

 前でも後ろでも調整が大詰めを迎えると1mm以下でも把握できるのですが、最初のようにあまりにも大きく外れていると、「5~10mmの間くらいかな」とあいまいにしか感じ取れません。細かい調整を行い変化を感じ取れない時は、変更幅が足りないか変更箇所を間違っている疑えば、答えを導きやすいと思います。

 セッティングは良くわからないとか、いじっても変わらないと思っている方に申し上げたいのは、サスペンションに興味があり、セッティングを行えるようになりたければ、先ずは、ばねに関係した部分のみ調整するとよい。と言うことです。なぜなら、サスペンションはばねに大きく左右されます。ダンパー系はばねどのように補佐するかなのです。ですから、車高を整えた後はばねを触ってください。

 次回は車高とばねの関係を論じたうえで、「ばねを硬くすると曲がらない」といった俗説を論破してみます。

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車高の相対的高さと、絶対高さの違い。グランツーリスモ

 車高を変更する時に、前後のどちらを変更するべきか?その判断材料はどこに置くべきなのか?

 前を1mm下げても、後ろを1mm上げても(前後ともレバー比を無視します)、重心の移動量は同じです。だから、実際の場面では短時間で変更しやすい方を選びがちです。これが相対的な高さ、前と後ろの比です。

 絶対的な高さとは、地面から車両までの距離です。前後のバランスが良かったとしても絶対高が低ければ、倒しこみは重く曲がりづらくなります。逆に絶対値が高すぎる時は、倒しこみは軽いのですが、地面まで一気に倒れるような怖さがあります。低い場合と高い場合の間で好みの軽さ、言い換えれば、好みの安定感を選べば、セッティングを進める上で、非常に早く正解に近づけます。

 この車高について考えるきっかけを与えてくれたのは、ゲームのグランツーリスモ(初代)です。初代プリメーラでセットを変更していた時、前後を均等に上げ下げした場合、ロール量やコーナー速度が変わりそれが面白く、色々な事を試しました。その時一緒にゲームを遊んでいた先輩から「バイク屋になればいいのに」と言われたのが、懐かしい思い出です。

 ばね定数とイニシャル、それは車高に直結します。乗り物は重心高でコーナリング速度の限界が決まり、ロール量やピッチングにも大きく影響しますので、車高を重視してセッティングを進めると、楽に回答を発見できます。

 

 

 

ばねとダンパーの役割分担

 ばねとダンパーがどのように作用しているのか、そしてなにを制御しているのかを考えます。

 先ず、雑誌などでも見かける「ばねのみで、ダンパーが無い場合」を思考実験してみると、衝撃を受け、その力の大小によりばねは縮みます。何度かの伸縮を繰り返した後で収束し、静止しますが車両が走行していれば路面からの入力は絶えずありますから、ぞくにいう「ふわふわした」状態となるわけです。静止状態で一度の衝撃を受けた場合、なぜふわふわが収まるのかは二つの大きな要因があります。第一に車両の重量により、ばねが押さえつけられる。第二にばね自体にも減衰作用があるので、収束する。余談ですが、もし収束しなければ永久運動という事になります。

 今度は逆にダンパーのみで、ばねの無い場合です。ダンパーだけでは重量を支えられず沈んだ状態ですから、糸のようなもので吊るしていると想像してください。受けた衝撃はダンパーによりやわらげられます。しかし、ばねが無いので路面からの入力が続いた場合、ダンパーはストロークを使う(沈んだ)だけで、元の車高に戻ることは出来ません。

 これは何を意味するのか。ばねは位置(ストローク)を決め、ダンパーは時間を決めます。サスペンションを10mm沈めたい場合、1kg/mmのばねに10kgの入力でそれは達成されますが、10mmに到達するまでの時間をどう決めるのかがダンパーの仕事です。

 上記入力でストロークを5mmにしたい場合は定数を2kg/mmにすればよいのですが、では、入力は同じ10kgでストロークが10mmと5mmの場合、時間は同じなのか?机上論では多分同じでしょう。ばねが柔らかい場合は速く動き、硬い場合はゆっくりです。0.0以下の単位を測定誤差とすればほぼ同じような時間になると思います(これは私の意見ですが)。

 物の移動には必ず時間が伴います。移動距離と、移動時間。距離はばね、時間はダンパー。ばねの決めた移動量に、どうやって到達するかがダンパーの仕事です。1kg/mmのばねに2kg/mmのばねと同じ移動時間をもたらすのが、ダンパーです。この理屈を使えば、柔らかいばねで硬いばねの代わりを、ダンパーにさせることが出来ます。しかし、非常に限定的な場面でしか有効では有りませんから、文章から読み取れる方だけ、試してみてください。

 今回は文章だけで伝える難しさを実感しました。次は今回の補足と、車高についての原体験を書かかせていただきます。

サスペンションは何のために存在しているのか。

 前回でばねを選定する思考方法を論じました。

 そもそも何のために、サスペンションが必要なのか。一番判りやすいのは「衝撃吸収のため」です。よくある設問に「路面が鏡のように平面ならば、サスは不要なのか」、これについての私の回答は「必要」です。

 なぜか。現代の二輪車は「衝撃吸収」のためだけにサスを必要としているのではなく、「荷重制御」を主な目的としているからです。それは詰まるところ、タイアをどれだけ活かせるか、と言う意味です。もしブレーキを握った刹那、ブレーキ効力がタイアに伝わったならば、転倒の危険は高くなります。タイアと路面とは、歯車のようにかみ合っているのではありませんから、当然すべります。タイアのたわみ量ほんの数mmだけでブレーキをコントロールできませんから、転ばないためには、とても慎重な操作を要求されます。

 もし、どのような操作でも前後タイアが路面から離れないのならば、サスペンションは不要だと思います。しかしそれは、現実ではありえません。ジェットコースターにサスが無いのが、その証左です。

 まとめると、現代の二輪車におけるサスペンションは、衝撃吸収を主な仕事としながらも、車体の荷重変化を車任せにするのではなく、乗り手に移譲し操作の範疇に置く事もまた、重要な仕事なのです。

 次回は、荷重変化をサスペンションがどのように受け止め、作り出しているかを考えてみます。ばねの役割とダンパーの仕事、ダンパーでばね定数不足を誤魔化す方法などです。

 

 

ばね定数の選定

 ばねの硬さは何によって決まるのか。

 セッティングの際に体重を気にされる方がいます。バイクは100~200kg以上あるので、50~70kgの人間の体重は、全体に占める割合が1/2~1/4となり、小排気量ほど体重の影響が大きく、逆は小さくなります。

 一から車を作るにあたり、いかにして定数を決めるのか考えた場合、

1 車重 

2 エンジン出力

3 タイア

上記3点が決まれば、使うばねは経験的ににも、実用上でもほぼ決まります。なぜならば、この3点がバイクの走る場面も決めるからです。街ち乗り、ツーリング、サーキットなどです。ですから、小さい事に悩むよりも、気持ちよく走れているかを考え、楽しくなかったり危ないと感じたならば、ばねを交換する価値があると思います。

 たびたび、「硬めが好み」「僕や柔らかめが好み」など耳にするのですが、ご本人が気持ちよい状態が一番良いはずなのだから、言葉の選び方としては「僕はちょうど良いのが好み」となるはずです。だから硬め柔らか目が好みとおっしゃる方は、自分の感性から外れた物を選んでいる可能性があります。ぜひ、丁度良い硬さを感じて欲しいと思っています。

ダンパー考察の続き

 ダンパーを考える場合、一番重要なのは車両の性格です。

 想像ですが、メーカーの方が車両を開発する場合、先ず

 車両の狙い(購買層)

 車体カテゴリー(車両重量)

 エンジン型式(トルクや馬力)

 タイアサイズ

 などを決めた上で、それに見合ったダンパーを取り付けるのだと思います。となれば上記の枠の中でしか、ダンパーは力を発揮できないのではないでしょうか。なぜなら、タイアや車体(エンジンを含め)が車の性格を作り、ダンパーはそれを補うものだからです。あるエンジニアの方は「荷重の移動量はパッケージングで決まり、荷重移動の時間を変えるのがセットアップ」だと示してくれました。これが事実ならば(僕自身もその通りだと思いますが)、パッケージング(車体)の微調整しかできないのです。ですが、二輪車はステムオフセット、スイングアーム長、ピボット位置、などパッケージングの領域を変化させる場合もあるので、四輪車と比べると大幅にパッケージを変更することで、車体特性をより好み(目指す方向)へ持っていけます。しかしそれは明確な目的、目標を持った人には有益ですが、見えていない人には悩みの種にもなります。

 

工具

 日常の前後サスを分解する場合は、一般的なハンドツールを使用します。ドライバーや工具の一部を加工する事も多々ありますが、寸法の制約が無い場合はそのまま使用します。

 主にスパナはスタビレーとハゼット、プライヤーなどはクニペックスとバーコ、ドライバーはKTCとPB、ヘキサもPBを軸にBETAやTONEなどを使います。

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旋盤いろいろ

 お客様から、ストロークセンサーとしてOリングをはめて欲しいと依頼がありましたので、遊びでストロークセンサーを作ってみました。細かく寸法変更を施したほうが、より良くなりますが初回としては悪くない出来でした。

 当社の旋盤は卓上なので小型ですから、主軸貫通口が20mmなので制約が大きいので、少しでも改善すべく、チャック部分を広げました。旋盤自体で削れるので、自分で自分を削る行為が、少し面白いなと思いました。

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減衰と抵抗

  二輪車とダンパーを考察し、整理してみようと考えまして、先ずダンパーの基礎を踏まえた上で完成形である車体を分析してみます。

 減衰とは減じて衰えさせる。ちまたで低抵抗オイルシールなどがあります。減衰も抵抗なのにオイルシールの抵抗は悪で、ダンパーの抵抗は良とはなぜなのでしょうか。ここから先の話は全て私見ですが、コントロールできる抵抗を減衰と呼び、その逆、つまり制御不能な減衰を抵抗と呼ぶのではないでしょうか?

 ばねも減衰をもっていて、同じ定数でも減衰の大小があります。

 今回伝えたかったのは、見方や立ち位置が違えば、同様な動きが違う呼び名になると言うことです。

 

また売れました。

 新品のオーリンズが売れました。

 ただ新品を販売するだけでは芸がありませんから、お客様から依頼のあった、ばねの色変更だけで無く定数変更を提案し、より乗り心地の良い品物を提供できました。

 喜んでいただければ望外の幸せです。

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