2015年2月
DMSダンパー
以前ご依頼いただいた、車のダンパーでDMSと言うメーカーです。
シールヘッド、フリーピストンなど簡素な作りを高度化すると、一台分で15万円は必要となりますが、一度作り直せばメンテナンス費用だけですみますし、写真で分かる通りガスがオイル室に入り込み、ダンパー性能を体感できるほどに悪化させます。ランエボのダンパーなのですが、これではレースで使い物になりません。
DMSは代理店の取り扱いがなくなり、メンテナンスが出来ない状態らしいのですが、なかなか興味深い作りで、ロッド先端に伸び、圧の減衰調整が付いています。SHOWAのBPFのトップキャップを超小型化したような感じです。こういう発想には、敬意を抱きます。
MT-07試乗
雨も降らなかったので、MT-07に乗ってみました。
基本はMT-09と同じくホイールベースを短く感じる車体です。よく聞く「フロントが柔らかくて怖い」部分は、一般的なレベルだと感じました。それ以上に感じたのは、リアのプリロード過多、低レート、伸び減衰の圧倒的な不足です。プリロードを3段目で乗ると、リアが常に高い状態となり、アクセルを開ける場面で、タンデムシートに当たるまで後ろに乗らないと不安を覚えます。ですが、それはリアスライドの場面で人間が大きく振られるので、リカバーが難しくなりますから、あまり気持ちよくない状態です。試しに1段目で乗りました。動的車高は低くなるので、望んだ部分は得られたのですが、スプリングレートの不足に起因するダンパーの動きすぎと、伸び減衰不足でフワフワが収まりませんでした。ただ、改善点と問題点を発見できたのが、収穫です。
車体の設計から、上記の乗り味になっていると思うので、サスの変更だけでどこまで対処できるか興味を持ちます。先ずは、リアダンパーの自由長を見直し、スプリングレート、減衰、を合わせます。そこからフロントの突き出しとイニシャル量で車体姿勢を作れば、大幅に改善するのではないでしょうか。簡単な仕事ではありませんが、挑戦してみます。
レバー比の測定でわかったこと
今日もリアサスペンションのレバー比を測定し、傾向を探っていました。
年代でトレンドがあるようで、大きいレバー比で漸進率の少ないもの、その逆に小さいレバー比で漸進率の大きいもの。
全て空車1Gでの状態を測定しました。モリワキのmotoGP車両やmoto2車両も測定し、ついでにキャスター角も測定。調べた中では、カワサキのmotoGPマシン初年度は、結構いびつな寸法だと思います。2007年は一般的な寸法に落ち着いていました。もちろん冒険は大切でしょうが、同時に「外せない枠」も存在していて、その枠の中で「どうのように組み合わせるのか」、それが重要なのでしょう。
そこまで考えて「外せない枠」とは?と自問するのが常ですが、レースで言えば規則やタイアになるかと思います。最低重量、エンジン型式、ホイール巾などと経験(データ)で色々見えてくるはずです。