2014年12月
CBR600RRのフロントフォーク延長
カートリッジ型のフォークを延長する場合は、いくつかの制約があります。その中でも重要なのはスライドメタルやガイドブッシュのかんごう長です。
CBR600RRの倒立フォークは上記の点に問題がなく、15mmの延長は難なく達成できそうです。この依頼は筑波選手権などに参加している、篠塚さんからの発注でした。一般にフォークの延長はトップブリッジ付近の、フォークトップに手を入れる場合が多いのですが「見た目をスマートに価格を安く」との要望をかなえるため、以前から持っていたアイデアで解決しました。
日々の夢想が、こういう場面でよい発想を生み出します。
年内営業、年明け
いよいよ今年も残り数日となりましたが、当方は29日の夕方5時まで通常営業です。それ以降は連絡をいただければ時間を合わせますので、御用の方はお知らせください。
年明けは5日から営業いたします。急用の方は対応いたしますので、やはりご連絡ください。
フロントフォークの大幅な改造
TRX850のフロントフォークを、カートリッジ型に変更する改造です。
最近流行の、左右で伸びと圧を分ける仕組みにします。このフォークの発展には、いくつかの理由があると推測していますが、先ずは安価に作れる事が重要だと思います。
フォーク下端に調整ダイアルを必要としないので、型や通路を簡素に製造できるからです。その次にカートリッジ内部の部品点数を、大幅に減らせる点も着目しています。
この左右独立した減衰を持つ仕組みを活用すれば、もともと伸び調整しかないフォークはもちろん、調整機構を一切持たないフォークを、「伸び圧調整可能」にできるようになりますので、フロントフォークの世界が大幅に広がります。
問題点は、高荷重や減衰やスプリングレートが高い場合など、フォークエンドの結合剛性が低いと、明らかな違和感を感じます。最近では筑波選手権などでBMWのS1000RR、CBR600RRにこの左右別減衰の発展系を使用して頂いていますし、全日本選手権などでも使用例は多数ありますが、問題は見当たりませんので今後は積極的に推奨していくつもりです。
フロントフォークの改造
カートリッジの無い、昔ながらのフロントフォークを改造する際にはいくつかの選択肢があります。一つ目は、バネ、オイル粘度、油面を変更する、加工を必要としない方法です。
二つ目は溶接で穴を埋め、穴径を任意に変更する方法ですが、これはオイル粘度を好みに変えられるので、柔らかい油を使えるようになりますが、圧ダンパーが効かなくなるデメリットも併せ持ちます。
三番はカートリッジを追加します。現在請け負っているTRX850のフロントフォークはこの方法で改造します。(詳細はまた後日)
その他に、昨日納車したニンジャ250に施した「バルブ追加」と言う方法があります。一般には「カートリッジエミュレーター」などと呼ばれるようですが、当社では製作にいたった経緯から「クシダ・バルブ」と呼び現在はその改良版「クシダ・バルブ改」となりました。
クシダ・バルブ改は旧来の形式では、ほぼキャンセルされてしまうコンプレッションダンパーを発生させるために、オイル通路にフタをした上で経験から得た寸法の穴をいくつか開けます。大メーカーならば、オイル粘度とオリフィス形状で基本的な減衰力を導きだせるのでしょうが、そこはプラグマティスタな私ですから、面倒な計算をするよりも実際に使って試して、数字を探り当てました。オイルは10番を使い(厳密には40℃の動粘度で合わせ)ます。
CBR250R,NINJA250、CBR400RR、APE100(DE耐)、ハーレー883などに実績があります。ブレーキからの倒し込みがとても面白くなる部品なので、カートリッジまでの予算のない方には、勧めたい一品です。価格は部品代で3~5万円ほどです。