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カートリッジキット SGCF kit 4P

CB1100EXの試乗

 先週CB1100EXを試乗しました。

 2年ほど前に私がサスペンションの改造を行った車両です。そのため純正ではありませんのでその点を申し添えておきます。

 外観は好みもあるとおもいますが、私は好きです。特にモデルチェンジ前の初期型がより好みです。

 エンジンはとても素晴らしいと感じます。綺麗には回りませんが4千回転手前までゴロゴロとした、ゼファーとは違った心地よさがあります。トルクも十分です。むしろ9千回転まで回すと恐ろしく速いので、一般道ではそれほど回転を上げる必要は有りません。
 低回転からアクセルを多めに開け、グッと加速する様はなかなかの快感です。

 純正のサスペンションはリアショックのバネが突っ張った印象で、靭やかさが有りません。細かい凹凸でも過敏に反応するため疲れます。そこでリアショックはバネを緩めの設定としました。車高に関しても前が低い(後ろが高い)と感じましたので、リアを下げフロントも作り直し持ち上げました。

 この設定が功を奏して、リアタイアを軸に気持ちよく曲がる車両に出来ました。18インチホイールはクイクイと曲がりはしませんが、私の感覚にはむしろ丁度よい位で忙しなさも感じずに済みます。大径ホイールは旋回の為の入力を行ったあとで、少しの間を持って旋回体制に入ります。
 これがより顕著なのはZ1などの19インチ車両です。17インチから乗り替えれば、確実に体感出来ます。私は19インチでも楽しいと思いました。
 CB1100EXはエンジン特性とホイールを含む設計思想(ジオメトリ)が良く、設計者の知見とこういった車両を発売する許可を出した上層部の方には心から感謝と賛辞を贈りたくなります。

 ただ、サスペンションの初期設定には疑問を感じますので、それは残念です。しかしそのお陰で当社のような街のサスペンション屋に依頼があるので、有り難いのかもしれません。
 

 CB1100を良くする肝は、リアショックのバネの硬さ、イニシャル荷重、それにダンパー長です。フロントはその後に変更すれば大丈夫です。最高の一台に仕上げようとすれば、50万円~となりますがその手前から段階的に良くする方法もありますし、更に飛び抜けた仕様もありますので、自分の車両を面白くしたい方は是非相談して下さい。

 

 

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求めるのは感性にあうエンジン

 今日はCB1100EXの動画をアップしました。

 https://www.youtube.com/watch?v=zHZ8DLzPn5U&t=44s

 私がバイクや車に求めるのは、結局エンジンフィールなのだと改めて認識しています。

 CB1100のエンジンはボア73.5mm/ストローク67.2mmのショートストロークです。ネットで検索すればすぐに見つかりますが、同エンジンはバルブタイミングに変化を持たせ、回転上昇に独特の味を持たせています。
 この記事を読む前に乗って、私が感じた素直な印象は4千回転位までは2気筒のような、ある種のザラつきやガサツさを持たせていますが、表現がおかしいのは承知で言えば、洗練された雑味とでも言いましょうか、そういった類の新しい感覚です。
 普段2気筒に乗っている私には好ましい特性ですが、これが高回転まで続くとさらに嬉しくなります。それに、余計なお世話と思いますが、個人的に、あんなに高回転まで回らなくても良いと思います。7千回転程度で低速にもっとゴリゴリのトルク感をだし、アイドリングから7千回転まで全域で「洗練された雑味」を表現できれば、信じられないくらいの世界観を表現できると考えました。

 否定しているわけではなく、私の好みを前面に出すとそういった感じになります。ただ、現代に空冷エンジンでこのような車両に挑戦するホンダには尊敬と敬意の念を抱きます。

 これまでに乗った中で特筆すべき好ましいエンジンは、ハーレーの883Rです。何が重要かと言えば、ロングストロークな点です。四輪車のエンジンが良いのはほとんどの場合でロングストロークであり、粘り強いトルクを持っているから、私は好ましいと感じます。

 この観点から論ずれば、ヤマハのMT-01やXV1900のエンジンでスポーツバイクに仕立て、乗ってみたいと夢想します。

 私はサスペンションを主にした仕事をしていますが、二輪四輪問わず車両を決めるのはエンジンだと、その様な結論に至りました。その答えに行き着いたのは、足回りを通じ車両に変化をもたらした際、行き着く先はエンジンなのだと、私自身が感じたからです。

 多くの経験をバイクと車を通じて得てきました。それも全てお客様のおかげです。

 

 

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挑戦

 このところ手掛けているCB1100EXですが、お客様の要望である街乗りでのしなやかな乗り味を求め、今日は出かけてきました。

 前回の試乗は首都高で速度域が高く、街乗りの評価とはならないため本日はなるべく高速を乗らないよう心がけました。

 柏から所沢までは常磐道、外環、関越の所沢まで行き、そこからは全て下道です。高速に乗る前に会社から自宅までいつもの通勤路を走り、簡単なリセットを行い方個性を出し、所沢を降りた後もチョコチョコ変更し、ホンダドリーム 所沢店に到着です。

 サービスと営業の従業員さん計四人が試乗をして下さいました。異口同音に、乗り心地が良い、バイクが軽い、疲れないとの評価をいただけました。皆さん普段から接しているCBなので評価対象としてスタンダード車両も知っている上での発言です。
 取り回しの段階で軽く感じるのには、訳があります。人が乗らない状態(空車1G)でサイドスタンドからバイクを直立させると、純正と違いこの車両はサスペンションが幾分か沈みます。これにより重心が下がるため重いものが下に移動し軽く感じさせます。
 CB1100RS(17インチホイール)の試乗車があり、それを同様に起こしてみましたが、その重さに驚きました。

 乗った時の軽さはどの様に演出するかといえば、動力性能とサスペンションの動きで作ります。トルクのある車両は重量があっても軽く前に進められます。曲がる、止まるに関してはサスペンションを適度に動かすと「スパッ」や「フワッ」など狙った方向性に軽くしたりシットリと、調整機構が多くついていればより緻密に演出可能です。

 良い評価を頂き気分を良くしてホンダドリーム 狭山店へ到着しました。
 ここでは3人の方に試乗してもらえました。数年ぶりにバイク業界へ復帰した方からは「よくわからないが軽くて乗り心地が良い、柔らかいと思って意地悪く強めのブレーキでも踏ん張る」、次の方は「もう少しフロントを低くして曲がりやすくしたい、ちょこっと硬くしてメリハリを出した方が好み」、最後のスタッフさんは「乗り心地が良い、軽い」とこちらのお店は色々な意見をもらえました。

 狭山から柏まで一路16号をひた走り、低速での車両の動きをつぶさに観察して、最善のセットを模索しながら、かなり良いと思える仕上がりに到達する事が出来ました。しかし、試してみればもっと良くなりそうな気もします。スプリング交換、シム組の更なる組み替え、それらのセットアップ方法にタイア交換など。これで良しとせず、更なる挑戦する心構えが大切だと気持ちを引き締めました。

 サスペンションセッティングの頂きに到達するには、まだ遠い道のりです。

 

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CB1100EX評価会、スポーツラグジュアリーは体現できるのか?

 土曜日の夜はCB1100EXの走行評価を柱に、私のBT1100、MT-07とパニガーレも同時に試乗し確認を行いました。

 CB1100ですが完成直後の試乗ではわからなかった雑味を発見し、そこの修正を考えました。フロントの動きに対しリアが若干硬めです。車高もリアが少したかそうです。この二点を同時に変化させるにはバネ系を変更するのが良いと考え、リアのイニシャルを少し抜きました。それによりだいぶ改善し、リアを軸に曲がるいかにもネイキッドといった動きを見せるようになりました。

 イニシャルを抜くことで車高も下がりあたりも柔らかくなったので、全てにおいて良い方向に変わり良くなりましたが、リアの動きが少し軽すぎるようにも思えます。さらなる向上を目指しリアの伸び減衰を2クリック強めたことで、かなりの安定を得られやっと納得できる水準となりました。

 私よりも前に試乗していた梅山が「タイアの空気圧が少し高い」と話していたため、タイア空気圧を0.1~0.2Kほど下げ最後の試走を行ったところ、機敏性と安定性にグリップ感も大幅に向上しました。タイアの空気圧は少し変更し好みの範囲に入ってくると、素晴らしい操縦性を得られます。 

 このCB1100はかなり作り込んだ車体ですが、もっと良くなる要素がたくさん発見できました。現在の課題「スポーツ・ラグジュアリー」がどの程度CB1100において体現できたのかといえば、現状はスポーツとラグジュアリーが同居しているものの、面と裏といった印象です。その表裏一体の両者を、「表と裏」ではなく「横並び」にしてより親和性を高める必要があると感じました。

 BT1100は当社のアルバイト梅山が乗ってきてくれました。代車に貸し出しして一月以上も乗っていなかったのですが、車体構成が好きで選んだ車体。それに自分好みのセットアップを施してあるので、やはりしっくりきます。長年連れ添った女房のような。と言いつつ実際にウチのカミさんよりも付き合いが長く、前の持ち主の方からずっと手がけているため、十年以上の付き合いです。

 今年の5月に五年ぶりに動き出したBT1100ですが、リアサスはFGの最高峰FFXを使います。このダンパーは作動性が極めて良く絹のような手触りを感じさせる動きをします。
フロントフォークはカートリッジ化を行い、スプリングを以前よりも少し柔らかくしてあるので、街乗りのギャップも難なくいなします。カートリッジ化で減衰を付与すると、スプリングイニシャルに対する自由度が増し、ギャップのいなし方が上品にできます。

 MT-07はダンパーメーカに勤務する友人が個人所有し、仕事の研究のため材料として仕入れたバイクです。こちらも細部は明かせませんが、仕上がりはBTやCBと同じ方向性でフラット感のある乗り味です。上記二台と比較し、車重が軽くゆったり感は少なめですが、その二台よりもシャープでスポーツ走行には向いています。
 前後の車高とダンパーのかかり方が、私好みでした。特にリアの車高がほんの少し低いのですが、それがフロントタイアの実舵角を自然なものとしいる点が好印象です。リアが若干低いせいでリアタイアから曲がってゆく様も素晴らしい。
 この点を友人と話していたところ、彼は私の好みを知っているのでその方向で仕上げてみた。と教えてくれました。なかなかの策士です。

 パニガーレに関して、一番気になったのはポジションです。高すぎるシート高、後ろ過ぎるステップ。シート高が高いとアクセルを開けた時に自然とリアタイアに(逆の場面ではフロントに)荷重が乗りやすくなります。しかし間違うと過剰な変化が起こり、ウイリーやジャックナイフを誘発しやすくなります。シートの高さは足つき性以上に、前後の荷重変化をどのように取りまとめるか、という観点から設定すべきだと考えます。
 ステップはシートの位置から規定されますが、この車両はかなり後ろでした。シートストッパに当たるほどお尻を後ろへ持って行っても、それ以上にステップは後ろです。これでは体を横移動することが難しく、倒しこみの一瞬斜め前方へ体をダイブさせるのは容易ですが、下半身で支えられない上体を腕だけで支えなければならず、ハンドルの切れ角を阻害するように思います。
 持ち主の方は190cmの身長があり、シート高やハンドルが遠いなどの、一般的な日本人が感じる不満はないと思いますが、イタリア人でもドイツ人でも190cmは流石にあまり見かけない、大柄な体格です。身長が高くても低くでもシート、ステップ、ハンドルの位置関係はそれほど大きく変わるもではないので、これはドカティの設定がおかしいのだと、私は断定します。
 ですが、私の知らない乗り方や使い方があるのかもしれないので、また機会があれば試乗し探求してみようと思います。

 総勢5人が集まり、2時間半余りの試乗会でしたがとても有意義な時間を過ごしました。それぞれ、バイクという物を探求する人たちなので、素晴らしく良い集まりだったと思います。またCB1100とBT1100の仕様変更を施した来週にも開催しようと考えていますので、その際は報告致します。

 

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CB1100EX試乗の感想

 CB1100EXの前後ショック改造を施した車両の試乗を行いました。

 前後ショックで50万円以上かけるとバイクは別物になります。と、お客様には常に申し上げております。今回の車両もその例にもれず前後ショックだけで50万円以上。総額では80万円に迫ろうかという改造費用をかけております。

 部品点数が多いカートリッジフォークの摩擦抵抗を減らすための徹底的な仕上げ、シム組による減衰設定、スプリングレート、油面、前後ショックの取り付けによる車高合わせにタイアの空気圧調整まで含めて全てが調和して、本当に楽しいバイクになると考えています。
 細部に目をやれば長く語ることになりますので、いくつかの要点を取り上げ説明します。先ずはサスペンションの動作、入力に対する反応とCBに求められる乗り味の順に話を進めます。

 サスペンションの動作ですが、これにおいて一番大切だと考えているのは摩擦抵抗です。これを可能な限り減らすことにより細かな路面の荒れもまるで存在しないかの如く、走れるようになります。そのために重要となるのがプレミアムライン・プラスと呼ぶどこまでも作動性を追求する分解組立作業です。皆様が想像する以上に全てと申し上げても良い部分までトコトン手を入れてゆきます。

 次に入力に対する反応ですが、これは主に後からは変更できない設定を指します。つまりばね定数、スプリングイニシャル(後から変更できない本当の初期値)、オイル粘度、油面、ガス圧、自由長にシム組などが当たります。これら不動の要素を基に後から変更可能なダイアル等により走りを作ってゆきます。
 ブレーキレバーを握った際のフォークの沈み込み(量、速度)をどれだけにするか?それに連動し持ち上がるリア部分の動き。一言で表現すれば「ピッチングをどうするか?」なのですが、そのたった一言を実現するためには前述の多岐に渡る内容を吟味する必要があります。
 ブレーキパッドもこの範疇に入ります。パッドにより初期制動がかなり強い品から握り込む程に効いてくるリニア型などで、フォークの動きは別物になってしまいます。

 入力に対する反応は、フロントはブレーキで変化させますが、リアはアクセル操作で変化を作り出します。開け方によりバイクの印象はガラッと変わるため、人によって好き嫌いが大きく分かれます。これはフロントのブレーキパッド選びに似た性質がリアではアクセル操作に該当するのではないでしょうか。走るのが速い遅いにかかわらず、丁寧にスッと開く方もいれば、豪快にグッと開ける方もいます。
 これによりアンチスクワットの出方が変わりますので、プリロードや伸び減衰の設定でバイクの印象が大きく変化するのです。

 CB1100という前後18インチのホイールを採用した車両は、どういった味付けが適正なのか試乗しつつ考えてみました。
 現代のスーパースポーツは加減速の際、それぞれフロントとリアに最適な荷重移動が求められます。減速時にはフロントタイアに100%か、それ以上を求めながら加速時には同様にリアに100%の荷重を求める。これは速く走るためには正解でしょう。しかし街乗りではそれは疲れます。簡単にいうと強いブレーキ操作と大きな開度のアクセル操作が求められるという事に他なりません。ですが街乗りにおいてそこまでの場面はなく、あったとしても危険な要素が増し安全に楽しく走れません。
 そこで昔のバイクのようにこのCB1100はリアへ常に印象で20~30%(実際にはもっと低い値、10%程度)の荷重を残すようにしました。強い原則の場面においてもリアの存在感が強く主張されるような、極めて安定志向の乗り味です。それだけでは曲がらないバイクになるので、フロントフォークはしっかり使えるように硬め過ぎないよう注意を払います。セッティングの当初、リアの存在感が若干希薄に思えたため、プリロードと伸び減衰の変更によりこの安定感を演出しました。この変更でエンジンブレーキを強くかけながら倒し込み回り込む場面(フロント荷重により旋回するコーナー前半)でリアの存在をライダーに伝え、どこからでもアクセルを開けて行けるような安心感を前面に表しました。これで私が考える旧車と、現代のネイキッドの良い面を併せ持つようなとても楽しいバイクにできたと自負しています。

 このバイクで一番驚いたのはフロントフォークの動きです。当社の敷地に入るには縁石がありそれを超える際に大きな衝撃があります。しかしこのCBではその段差がまるで無いかのように感じるのです。正直、タイアの空気圧が1.5kとかそんな値では無いかと疑うほどです。ただ、試乗直前に前後共しっかり調整したのでそんなはずはなく、そもそもパンクしていたらのならすぐにわかります。それでもそう思わせるほどの動きです。
 この素晴らしい衝撃吸収性はMercedes BenzのW211かそれ以上の動きです。Porscheの911タイプ996に乗った際にも感じた動くのにそれを感じさせずしっとりと収まる、ものすごい柔らかながら腰のある実のある動きです。

 この仕事を始め16年目になりましたが、初めて速い遅いの域を超えた高級な乗り味を作れたと思います。これまで四輪には「高級車」があるのに二輪には「高価格車」しかないと(私の拙い経験から)嘆いておりましが、今回のCBにより二輪車でも高級車たり得ると知り、自信を持ちました。いよいよ800~1000万円クラスの乗り味をバイクでも作れるようになって来ました。
 勿論、まだまだ上の世界があると思いますが、ここから更に上を目指し大きな部分から細かな部分まで含め、常に限界以上に挑みたいと思います。

 余談ですが、初めて感じた事象がありました。CB1100EXはハンドルがかなり高くにあります。これはハンドルポストからハンドルを大きく曲げ上方手前へと持ってきます。それにより減速で強い力が加わるとハンドルが開いてしまい、操縦性を落としていると気付きました。この部分は意外な程にライディングの限界を引き下げます。セパレートハンドルにはこの剛性の問題も解消できる利点がるとこの時知りました。
 アルミハンドル、というよりも肉厚のある頑丈な品に替えれば解消すると思います。最近ロードバイクにも用いられるプロテーパーでも良さそうです。BT1100はハンドルポストが高い位置にあり、付け加えて私の乗る後期型はプロテーパーを採用しているため、この問題は発生しません。
 色々なバイクに乗ると、面白発見があり飽きません。

 

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CB1100EX完成 仕様説明

 CB1100EXが足回りの完成をみたので、一旦客様に納車してまりました。

 この後、シートとエグゾーストの交換は残っていますが、連休中に乗りたいとお客様の意向もあり、手元へ届けてまいりました。

 CB1100は当初から興味のある車両でしたが、この年式はサイレンサーが二本出しの型でした。4気筒エンジンで二本出しは低速のトルクがとても私の好みです。これは何に起因するのか、今回のCBに乗ってみてわかりました。低回転から太いトルクを感じられるからです。ショートストロークのCBがロングストロークに感じられるほどでした。これが本当にロングストロークであったならどんな快感を味わえるのか、非常に興味深く思います。

 前後サスペンションの仕様は、フロントにはCB1300のカートリッジを使用して、リアにはFGのツインショックFSM11pr36を提案し了承頂きました。

 リアのFGもCB1300用を長さと内部を組み替えてあります。その理由はSC54の場合リアには180の太いラジアルタイアなのですが、1100は18インチの現代では割と細めのタイアだからです。スプリングレートはほぼ同じような値を用い、減衰を伸び圧ともに抜いています。
 アッパーマウントの寸法はSC54と同じなのでそのままでしたが、スウィングアーム側は部品を一品製作しベアリングを持った仕様となっています。
 写真でご覧いただけますが、FGのダンパー(フロントも含め)は殆どにトップアウトスプリングを採用しています。現在でもリアのトップアウトを価格の別なく採用しているのはFGだけです。特にツインショックへの採用例は個人的にまだ他社で見かけたことはありません。SHOWAやKYBにあるのですが、それはリバウンドストッパーの意味合いが色濃いため、ここでは前者に区別しません。

 フロントフォークは大掛かりと表せる内容です。カートリッジを追加するだけならそれほどでもありませんが、SDBVと呼ばれる特殊な機構がインナーチューブ先端にあり、それを外すとフォーク長が大きく変化するので、そこの寸法を変えないようにステンレスで部品を作り対応しました。その部品はカシメられ分解ができないようなっています。そこで、一度分解し部品を製作挿入後に当社得意の際カシメで対応できたのは幸いでした。再カシメ以外の手法で長さ合わせを行う方法もありますが、色々と面倒もあり今回はこの手法を用いました。
 アウターチューブはお客様の意向に沿い、パウダー塗装を施しました。

 内部の減衰は5月に仕上げたCB1300SBを基本にしつつ、先日のX4も参考にしながら1100に合わせ更なる微変更を加えてあります。このほんの少しの変更が乗り味に大きな変化を与えるとは、試乗するまで私自身にも想像できませんでした。これについては後半の試乗部分に記します。
 スプリングレートは当初9.5Nmを想定していました。しかし、新たな乗り味を模索する中で結果としてもっと低い値に落ち着きました。この辺りは製作者と乗り手の好みで大きく変わるので、正解は人それぞれだと思いますが、動き出しのフワッとした感触から奥で踏ん張る仕様を作り飽きていた私には結果として、極めて面白い仕様を作ることに成功した一番の立役者はこのフロントフォーク・スプリングの定数にあると考えます。
 オイルロックピースには、旋盤で加工し効き始めを6mm奥へとずらしました。CB1100の2018年型は実ストロークが110mmです。ここにロックピースで使えなくなる分を差し引くと実質は90mm強となります。

 純正の油面は左右で使うスプリングの違いから大幅に違います。この車両は左右とも同仕様なので170mmとしました。

 

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ホンダX4LDを試乗

 先日依頼を頂いたホンダX4LDの仕様変更が無事に終わり、試乗し納車いたしました。

 リアはFGのリザーブタンク付きのツインショックFSM11pr36を、車高調整を省き製作の容易さと価格を抑えることを同時に達成しました。

 フロントフォークは減衰調整式に改め、しかも右伸び/左圧でイニシャルアジャスターも備えたフルアジャスタブルです。プレミアムラインのオーバーホールに基本となるSGCF4P(当社独自のフルアジャスタブル・カートリッジ加工)の作業です。SGCF4Pもスプリングとトップアウトスプリングの交換、部品研磨、減衰特性のさらなる向上を目指すとその価格は青天井となりますが、今回作業したベーシックでお客様は充分に満足いただけました。

 試乗の前に跨がり基本設定を行います。フロントの減衰を左右とも1/4を抜き、リアのイニシャルを3mm強め、空気圧を調整し走り出しました。パッと乗ってエンジン特性の楽しさに気づきます。特にキャブとインジェクションの差を考えたことはありませんが、現代の進んだエンジンマネジメントを持ってしても、違いがあるように思います。アニメで言えば昔のセル画と現代のデジタルデータの様な差を感じます。キャブは輪郭が曖昧で、デジタル制御は奥行きのない平板な印象です。そのキャブの良さと充分な低速トルクのおかげで、車体が軽く感じます。

 フロントフォークのスプリングは純正をそのまま使い、イニシャル調整で合わせてあり、油面は純正よりも10mm下げの140mmにしました。減衰特性はSC54で得た詳細を元に少し動かす設定です。これはなぜかと言えばキャスターが30度以上あり、その様な車両は横倒しの分だけ摩擦抵抗も大きく、少し動かし気味に設定しなければなりません。

 リアのFGはSC54をベースに少し内部変更を行い、バネを選びしっかりとしたエア抜きで良い動きを出しました。

 最近乗ったバイクの中でもかなり上位の楽しさでした。機会があればまた改造したいバイクです。今回は税込総額で43万円ほどかかりましたが、とても面白くなりました。私も楽しく乗らせて頂けて良かったです。

 

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CBR250RR/MC51のフロントフォーク改造

 旧知の方から、CBR250RRのフロントフォークをもて耐仕様に改造する案件を依頼いただきました。

 スンナリとは進まず納期や仕上げの面で問題があった事を告白しつつ、お客様に迷惑をかけてしまったのは大きな反省点でした。それを踏まえ、顛末をお楽しみください。

 最初はオーリンズのFGKカートリッジキットを使用予定でしたが、インナーチューブが細く、当然内径も小さくなるために使用できませんでした。そこで、旧来の25mmピストンを用いてNIX(オーリンズの呼び方)構造へ改造し、取り付けを可能にしました。
 そうはいっても簡単には付けられません。右フォークはスプリングだけしかないので、カートリッジを固定する方法がありませんし、左フォークはエンドのボルトがあるとはいえ、オーリンズはそのような仕組みではないためこちらも一筋縄では進みません。

 両フォークとも、カートリッジを加工しアダプタを製作する事で取り付けられました。インナーの内径とカートリッジの外径はかなり危うい寸法ですが、なんとかオイルの流れを妨げないギリギリの数字で一安心です。

 トップキャップもはまりません。これはもう途方にくれるしかない・・・とはならず、採寸し寸法を検討し、なんとかなる(心の中では映画ラピュタの中盤で、ドーラがゴリアテに追いつけると算盤を弾いた時の「なんとかなりそうだ!」っと叫びました)と判断し、絵を描いて製作に取り掛かりました。慣れると一つ1時間程度で仕上がります。
 ここで思いついたのは、オリジナルのフロントフォークトップキャップを製作する事です。フロントフォーク交換は非常に高価なため、トップキャップを交換し格好良く、更にはノーマルのフォークではない事も主張出来るのではないかと期待しています。

 シム組はNIXとしては初めて使うピストン、車両であったため中々答えは見つかりません。手持ちのデータと経験を基にして、ある程度の処で賭けに出るしか決着しないので、最後は清水の舞台から飛び降りる覚悟で組み付けました。

 今日の朝、茂木へ納品しそのまま走行についていましたが、細かい問題点はあるものの素性は良さそうなので、今後はダイアルがキツ目なのを解消するためシム組で減衰を強め、スプリング交換や油面調整を楽にする構造変更を進めます。

 56レーシングとは違ったティームと仕事をすると、ライダーのコメント、メカニックの求める要件、セットアップの進め方の違い等を学ぶ良い機会となりました。そんな事を考えながら1コーナーからピットに戻る道すがら、なんとKISSレーシングの桜井芽依さんに会いました。彼女はBMWでもて耐に出走するそうで、当然といえば当然ですが久しぶりに会えたので就職の事や近況を話せたため、良い時間を過ごせました。

 帰路は途方もない眠気に襲われ、1時間ほど車中で仮眠を取ってから帰りました。

 

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フロントフォークのオーバーホール+

 みなさま御機嫌よう。ただいま、日曜日の夕方ですが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

 2年前にカートリッジを改造したSC54のフロントフォークが、オイル漏れを起こしたので入荷しました。
単にシールを替えるだけでは面白くないので、シムの組み替えも行う事にしました。

 プレミアムラインのカートリッジ内部洗浄だけでなく、作動性の向上を全ての部分で考え組み立てて行きます。狙いはオーリンズの30万円フォークに勝る性能です。
オーリンズ新型フォークの中身は非常によく出来ていて、単なる程摩擦抵抗という意味でなく、しっかり制御された摩擦感です。純正フォークでも突き詰めた先に何があるのか?見たい衝動にかられトコトン追及しました。

 純正フォークは限界が低いのです。
 これはインナーチューブの表面処理、アウターの内壁仕上げ、カートリッジ各部の仕上げ、ピストン径など多くの部品が関連し最終的な作動性を演出するため、どれか一つを良くすれば済む話ではなく、全てを底上げしなければ達成できないため、費用がかなりかかり、それならば社外品を買ったほうが安くて早いという意味です。
  それが「純正の限界は低い」に相当します。
 

 今年の2月にNSR250SPのフロントフォークに40万円の費用をかけて作りこみましたが、これは素晴らしい動きをしていました。
インナーチューブをコーティングし、ピストンをFGへと交換し、スプリングがインナーチューブ内壁と触れない様に特別なスプリングを作り、さらにカラーでバネを円周方向に動かないよう、固定してあります。

 このSC54のフォークは上記のNSRほどの予算はかけていません。プレミアムライン+αにモディファイ、部品代などでおおよそ16万円ほどでした。
右リバウンド、左コンプレッションへの減衰調整フルアジャスタブル化、スプリングレートの変更は2年前に終わらせてあり、これらの改造を同時に行う場合は約22万円ほどになります。

 当社が提唱する概念「ロードコンタクトテクノロジー」を体現すべく、これらの大掛かりな作業が必要になります。その概念とはタイアと路面が常に状況に適した圧力で接し続ける事で、ライダーに安心を付与し、それが操る面白さ、走る楽しさを生むというものです。

 今後も純正フロントフォークの中で一番凄い作動性、乗る楽しさ、操る面白さを感じて頂けるような提案をして行ける様に、考え実行してまいります。

 

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NSR250のフロントフォーク・・・

 NSR250のフロントフォークキットがとても評価が良かったので、FG製のピストンキットを使ってメニュー化出来ないか考えています。

 もちろん右伸び、左圧のSGCFkit4Pの加工も行いますし、ピストンキット単体の販売も視野に入れています。

 神奈川県のモトールエンジニア様ともリアショックのコラボ商品を企画していますので、今年はNSRを充実させてゆきますよ。

 

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